« 「財政の崖」の先に見えるもの | トップページ | 江戸紫について »

2013/01/02

生命とは破壊だ!

 大みそかは、仕事だった。
 暇なのは予想されたので、有給を取ってもよかったのだが、家にいても、暖房のため、灯油を消費するだけだろうと、外に出た。

9784334035754

← 長沼 毅 藤崎 慎吾【著】『辺境生物探訪記―生命の本質を求めて』(光文社新書)

 案の定、暇で、車中での待機の間、読書がはかどる。
 車中では、折々は新聞を読み、タブレット端末を眺め、テレビを見たりするものの、目を休め、体を休め、というのがメイン。
 それでも、『辺境生物探訪記―生命の本質を求めて』を110頁も読めちゃったのだから、仕事の営業結果の悲惨さは想像がつこうというもの。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人間・いのちへ
にほんブログ村

 さて、読了した『辺境生物探訪記―生命の本質を求めて』は、「辺境生物学者で、「科学界のインディ・ジョーンズ」の異名を持つ長沼毅と、『クリスタルサイエンス』『ハイドゥナン』などの小説で辺境を描いてきた藤崎慎吾が、地球の“極限環境”に生きる奇想天外な生物たちを訪ね、生命の謎や本質について語り合った」という一冊。

 読みやすいし、とにかく面白かった。カラー図版多数だし、長沼氏の写る写真は、表情豊かでいい。

Naganuma4

→ 長沼毅著『宇宙がよろこぶ生命論』 (ちくまプリマー新書) (画像は、「著者インタビュー:長沼毅先生」より)

 どの章も、興味深い知見があって面白かったが、「エピローグ 生命は宇宙を破壊する」が秀逸だったかもしれない。
 生命は、宇宙の破壊者的存在である! は、人間は、地球のガン的存在と云うよくある安易な見立てのようだけど、生命自体が、エントロピーの観点からも、エントロピー増大の主役に他ならないのだから、仕方がないか。

 以下にて、二人の話のやり取りの様子が伺える:
第4回 高エネルギー加速器研究機構にて、生命と放射線を語る(その1) (辺境生物探訪記)
第4回 高エネルギー加速器研究機構にて、生命と放射線を語る(その2) (辺境生物探訪記)
第4回 高エネルギー加速器研究機構にて、生命と放射線を語る(その3) (辺境生物探訪記)


Naganuma5

← 長沼毅著『「地球外生命体の謎」を楽しむ本』 (PHP研究所) (画像は、「著者インタビュー:長沼毅先生」より)

Anima Solaris 著者インタビュー:長沼毅先生」がなかなか面白いし、著者の人柄が伺え、参考になるかも。

 長沼氏の若き日の読書体験を知りたいので、「Anima Solaris 著者インタビュー:長沼毅先生」から、一部だけ、転記させてもらう。

「宇宙生命体の発見が夢となられたのはいつ頃からなのでしょうか(また、そのきっかけはなんだったのでしょう)」という質問に対し長沼氏は:

1977年、僕が16歳、高校1年の頃、2つの大発見がありました。木星の第一衛星イオに火山活動があること、そして、太平洋のガラパゴス諸島沖の海底に熱水噴出孔(このときは温水というくらいでした)があって、そこに謎の深海生物「チューブワーム」が高密度に生息していたことの2つです。
 その後すぐにすごい説が提唱されました。イオのお隣の第二衛星エウロパは氷に覆われているが、その底にも火山があって、氷の底が融けている、つまり、氷底下の海底火山がある、そこに生物が住んでいる、という説です。
 1984年、僕が大学院に進んだ頃、エウロパの海底火山と生物を題材にしたSF『2010年宇宙の旅』(アーサー・C・クラーク)の邦訳が出ました(原書1982年)。この辺りから、「エウロパの生命探査」という具体的な研究イメージが浮かんできたのは。

Fujisaki8_2

→ 長沼毅著『生命の起源を宇宙に求めて パンスペルミアの方舟』(DOJIN選書 ) (画像は、「著者インタビュー:長沼毅先生」より)

 同じく、「Anima Solaris 著者インタビュー:長沼毅先生」にて、「SFやSF映画(ドラマ)で、好きな異生命体とか気になる異生命体がありましたら、教えて下さい」という問いに対して長沼氏は:

まず、イギリスの天文学者、と矮小化しちゃっていいのかな、とにかくマルチな科学者であるフレッド・ホイルの『暗黒星雲』にでてくるガス星雲生命体ですね。星雲そのものが生命体なの。この宇宙にある「4つの力」(強い力、弱い力、重力、電磁気力)のうち、地球生物は「電磁気力」のからみで生きているけど、星雲生命はもしかしたら重力をも利用しているかもしれない。
 それから、やっぱり『ソラリスの海』ですね、惑星をおおう海全体が生命体であるような。これは夢がある。その惑星が中心恒星の周りを回るんじゃなく、放浪惑星だったりしたら、もっと面白い。あるいは、中心恒星そのものが放浪恒星で、それと一緒に宇宙を旅してるなんて考えたら、すてきじゃないですか。

 やはり、SF(に限る必要はないのだが)では、『2010年宇宙の旅』や『ソラリスの海』の影響は絶大なものがある。
 その点、小生は、前者はともかく、『ソラリスの海』は数年前に読んだばかり。比べるのが身の程知らずか。

|

« 「財政の崖」の先に見えるもの | トップページ | 江戸紫について »

書評エッセイ」カテゴリの記事

コメント

NHKブックスに、生命の星エウロパ、という本がありますね。
実際、地球でも太陽の光の届かない深海でも独自に進化した生命がいるわけで、生命の存在は普遍的かもしれませんね。
ところで、週刊朝日に、百年の孤独、の書評みたいのが載ってました。
明後日にはもう、週刊朝日新しい号出るのですね、正月あっという間。

投稿: oki | 2013/01/02 21:53

okiさん

大みそかは仕事でした。早めに切り上げた。営業所で月報を書いているうちに年が明けた。情緒のかけらもないです。
まあ、年を越して、命ありけりの感が強いです。
お互い、無事が一番でいきたいですね。

投稿: やいっち | 2013/01/03 13:31

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/52847/56446407

この記事へのトラックバック一覧です: 生命とは破壊だ!:

« 「財政の崖」の先に見えるもの | トップページ | 江戸紫について »