アラレからマドレーヌへ
一時期、妙にチョコレートが食べたくなった。
いろんなチョコレートを買いだめしておいて、食後のおやつに食べていた。
それが、昨年のある時期から、なぜか煎餅(やアラレ、かき餅)を無性に食べたくなった。
アラレ症状(?)は今も続いていて、買い置きは絶やさない。
→ 「アルタミラの洞窟壁画」 「アルタミラ洞窟壁画は、先史ヨーロッパ時代の区分で主にマドレーヌ期(約18,000年 - 10,000年前)と呼ばれる旧石器時代末期に描かれた野牛、イノシシ、馬、トナカイなどの動物を中心とする壁画」。 (画像は、「アルタミラ洞窟 - Wikipedia」より)
デヴィッド ルイス=ウィリアムズ著の『洞窟のなかの心』(港 千尋訳 講談社)を読んでいたら、ちょっと気になる記述に遭遇した。
まあ、なんてことはないくだりなのだが、せっかくなのでメモしておく。
1912年、テュック・ドードゥヴェールの洞窟で、(後期旧石器時代末に暮らしていた)マドレーヌ人が作った粘土像を発見した。
発見したのは、アンリ・ベグーエン伯爵の三人の息子たちで、父の領地であるピレネー山麓の近郊、アリエージュ県の複合洞窟での探検でのこと。
アルタミラの洞窟壁画が話題になり、その真贋さえ疑われていたころから、それほど年月が経っていない頃でもあった。
マドレーヌなる名称を目にして、よせばいいのになー、という連想が小生の素朴な脳底で直ちに働いてしまった。
プルーストが半生をかけて執筆した大作『失われた時を求めて』の有名な冒頭のくだりである。
「物語は、ある日語り手が口にしたマドレーヌの味をきっかけに、幼少期に家族そろって夏の休暇を過ごしたコンブレーの町全体の記憶が鮮やかに蘇ってくる、という「無意志的記憶」の経験を契機に展開してい」く。
← デヴィッド ルイス=ウィリアムズ著『洞窟のなかの心』(港 千尋訳 講談社)
本作品が書き始められたのは、1908年頃のことだが、当初の形での作品(評論)の出版が拒否され、「「無意志的な記憶」の作用が作品の冒頭と最後に置かれて作品全体の構成を決定することになった」のは、1912年頃のことである。
まあこれもただのこじつけの符合を言い募っているだけである。
マドレーヌなるお菓子は、フランス発祥の焼き菓子で、どことなく1912年に発見され話題を呼んだ粘土像を思わせなくもない(小生が妙に食べたくてならなくなっているかき餅をも連想させる。どれもこれもこじつけ)。
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