島崎藤村『夜明け前』を、今、読む(10)
島崎藤村作『夜明け前』も今回から、いよいよ第二部の下巻となる。明治である。
明治の世になり制度の改正は混乱を伴わずにはありえない。
木曽の地にある半蔵にも、例えば地租改正による非常な苦難の最中にあった。海の民なら海での漁、野の民なら米作りが枢要であるように、木曽の山の民にとって、山の木々に絡む様々な生業は命である。
→ 渓斎英泉「木曽街道六十九次・馬籠」 (画像は、「馬籠宿 - Wikipedia」より)
が、新しく赴任した役人は地元の事情に疎い。いきなり先祖代々山の民の生業の森や山を、官のものと宣言して、一切、地元の者の陳情を受け付けないのである。尾州藩の役人が権限を持っていた頃は、細々と事情を忖度していたのも、昔のことになってしまった。
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