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2012/11/26

四面体の呪縛

 ある雨の日だった。
 霙(みぞれ)になっても不思議じゃない、冷たい雨。
 傘を持つ手が悴(かじか)む。
 傘をたたく雨の音は、まるで心を穿(うが)つようだ。

 いくら晩秋で雨天だとはいえ、夕暮れ時には間があるというのに、辺りは薄暗い。
 知らない町を歩いている。誰かを訪ねるために。
 目印となる郵便ポストを見逃してしまったのかもしれない。
 このままだと、人里を離れてしまいそうだ。
 戻るべきか、それとも、もう少し歩いて、様子を見てみるか。


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