四面体の呪縛
ある雨の日だった。
霙(みぞれ)になっても不思議じゃない、冷たい雨。
傘を持つ手が悴(かじか)む。
傘をたたく雨の音は、まるで心を穿(うが)つようだ。
いくら晩秋で雨天だとはいえ、夕暮れ時には間があるというのに、辺りは薄暗い。
知らない町を歩いている。誰かを訪ねるために。
目印となる郵便ポストを見逃してしまったのかもしれない。
このままだと、人里を離れてしまいそうだ。
戻るべきか、それとも、もう少し歩いて、様子を見てみるか。
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