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2012/11/16

『眠れる美女の飛行』の周辺

 この数日、特に木曜日になって、急激に寒くなった。
 富山は日中の最高気温が10℃に届かなかった。
 9月17日に、富山における今夏の最高気温を記録したのが、夢のようだ。

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← 吾輩の心象風景のような光景。

 でも、その日から2か月さえ経っていない。
 木曜日にはとうとう灯油ストーブを使い始めてしまった。

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 9月の中旬には、冬が来る、まして雪が降るだろうなんて、信じられない思いだったが、今では暖冬どころか、とにかく積雪はほどほどにとどまってほしいと祈るばかり。
 断熱カーテンを家の要所に張り巡らすなど、寒さ対策も始めているが、築60年になろうとする我が家、隙間風ばかりはどうしようもない。
 窓などは対策を施せても、床(畳)やまして天井などはどうしようもない。

 学生時代を過ごした仙台を立ち、東京暮らしを始めた最初頃、住んだアパートが、やはり古くて隙間風がどうにも我慢がならず、ある苦肉の策を弄したことを思いだす。
 隙間テープはもちろんだが、それより、アルバイト先でひょんなことからもらった(恐らくは高級な)厚手の生地や、何故仙台からわざわざ持ってきたのっか自分でも分からない(たぶん、捨てられない性分だから…)古着の類を天井裏に敷き詰めたりしたものだった。
 そんな付け焼刃でどうにもならないのだが、何かしないと居られなかったのだ。
 今も、というのが情けない。

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→ 我が母校(中学校)のマーチングバンド「BLUE OCEANS」(吹奏楽部)が、「第24回 マーチングバンド・バトントワーリング 北陸大会」で金賞を獲得し、来る12月15日(土)「マーチング・バトントワーリング 全国大会」(in さいたまスーパーアリーナ)に出場する!

 木曜日には、シャワーのシステムをどうすべきかということで、ガスの工事屋さん、灯油(ボイラー)の工事屋さん(販売店の方)に来てもらって、調査してもらった。
 そんな寒さに怯える日々が続いているが、細々ながら読書も欠かさない。
 というより、本は傍らにないと過ごせないのである。

 ところで読書していて、一瞬、驚くような偶然があった。
 G・ガルシア=マルケス著の『わが悲しき娼婦たちの思い出』(木村榮一/訳 )を読了後、同じくマルケスの『予告された殺人の記録/十二の遍歴の物語』(木村榮一/訳)を読みだしたことは、既に本ブログ日記にも書いた


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←  G・ガルシア=マルケス/著『予告された殺人の記録/十二の遍歴の物語』(木村榮一/訳  新潮社)

 マルケス著の『わが悲しき娼婦たちの思い出』は、川端康成の名作『眠れる美女』に影響を受けている、なんてこともメモしておいた

 驚いた偶然と云うのは(考えてみると、偶然と云うのは大袈裟かもしれないのだが)、『わが悲しき娼婦たちの思い出』に引き続き読み始めた短編集である『予告された殺人の記録/十二の遍歴の物語』に所収となっている作品に、『眠れる美女の飛行』という題名の作品が載っていることなのである。
 題名からしても、川端作品をモロに連想させるが、これは意図的なもので、作品のテーマにも無縁ではないのである(この辺りの経緯自体は、有名な話。マルケスは、同じ題名「眠れる美女の飛行」のエッセイも同時期、書いているのだ)。

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→  G・ガルシア=マルケス/著『わが悲しき娼婦たちの思い出』(木村榮一/訳  新潮社)

 私は、航空機会社勤務のある美しい女性を空港で見かけた。
 その女性は偶然、同じ便に乗り合わせ、席も近く、私は話しかけたいという衝動に何度も襲われる。
 けれど、女性は付け入る隙を一切与えない。8時間余りのフライト中、起こすなという指示をパーサーに出すと、睡眠薬を飲んでぐっすりと眠り込む。

 私は席の並びに恵まれ、かの美女を心行くまで眺めることができ、彼女に思いの丈を語りかける、などの妄想に耽るのだった。
 作品中では、私は川端の『眠れる美女』を読んだばかりという設定になっていて、私は、川端作品中の主人公の「老境の洗練を理解しただけでなく、それを十全に生きた」のである。

 かの美女は頑固に眠りつづける。
 着陸直前に目覚め、(しなくても十分美人なのに)化粧をし、「アメリカ大陸の純然たるスペイン語で、ありふれた謝罪のことばを口にしながらほとんど私の上をまたぐようにして通路に出」、私には一切、関心を払うことなくニューヨークの雑踏に消えていった。

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← 川端康成著『眠れる美女』(新潮文庫)

「今日にいたるまで永久に姿を消したのだった」というのが本短編の最後の一文である。

 気が付かれるように、(小生には)明らかに同じく川端康成の『雪国』の冒頭シーンをも連想させるシチュエーション(列車と飛行機の違いはあるが、同じく夜間の場面である)もあったりして、『雪国』の魔術的表現には到底、及ばないが、実に興味深い小説なのだった。

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