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2012/10/31

日米地位協定…治外法権という現実

 沖縄県の20代の女性 に対する集団強姦致傷容疑で米兵2人が逮捕された事件が、(情けなくも沖縄県においてのみ…)今も熱い。
 アメリカ軍(政府)も日本の当局も、ひたすら傍観し、世論の鎮静化…ほとぼりの醒めるのを待つだけという、相変わらずの姿勢である。

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→ 素顔で米兵犯罪の抑止を訴えるフィッシャーさん=9月、都内 (画像は、「2002年に性犯罪被害の豪女性、米で民事訴訟「加害者逃がさない」/横須賀 (カナロコ) - Yahoo!ニュース」より)

 日米の地位協定もあり、沖縄(に限らず日本)においての米兵による犯行は、どんな凶悪な事件でも、ほとんどが不問に付され、被害者は泣きを見るだけという現実が、戦後ずっと続いてきた。

 日米地位協定で、(言うまでもないことだろうが、必ずしも広くは知られていない憾みがあるが)米兵の犯行が治外法権的に扱われるのは、沖縄だけではない。

 テレビでは(ラジオでも)あまり報じられなかった(あるいは全く等閑視された?)事件に以下がある:
2002年に性犯罪被害の豪女性、米で民事訴訟「加害者逃がさない」/横須賀 (カナロコ) - Yahoo!ニュース

 情けなくも小生はこの事件については、経過もだが、あったこと自体を知らなかった。
 知ったのは、昨夜、J-WAVEというラジオ番組での特集(J-WAVE 81.3 FM : JAM The World)において、である。

 当局は、困った問題(特に外交や安全保障に関わる問題が生じると、世論を鎮静化させる、あるいは関心を逸らす目的で、奇異な事件を(でっち上げとは言わないが)発掘し、ことさらその事件の猟奇性を強調することで、マスコミの焦点を呼び込む、という目論見に出る(小生はそう考える。今回の尼崎の事件も格好のマスコミの餌でえある。少なくとも日本本土(本土…この表現のいやらしさ!)では、沖縄の米兵によるレイプ事件は、呆気なく忘れ去られている。あくまで沖縄の問題であって、日本人の問題ではない、というわけである。政府にすれば、しめしめ、だろう)。

2002年に横須賀市内で米兵から性犯罪被害を受けたオーストラリア籍の女性が、米本国で加害者を捜し出し、民事訴訟を起こした。日本では加害者に賠償を命じた民事判決が出ているが、米兵は判決前に帰国し、司法判断が宙に浮いていた」というもの。
 以下、事件の重要さと、日本の外務省を始めとする政府当局の無関心ぶり…というより寝た子を起こしたくないという、事なかれ主義があまりに目に付く事案ゆえ、上掲のサイトから大部分を転記させてもらう。

以下、転記文:
 

 東京在住のキャサリン・ジェーン・フィッシャーさんは02年、米海軍横須賀基地の近くで、当時同基地に配備されていた空母キティホークの乗員に暴行された。

 フィッシャーさんは捜査当局に被害を訴えたが、起訴には至らなかった。米兵を相手に民事訴訟を起こし、04年11月の東京地裁判決は300万円の賠償を命じたが、審理中に米兵は帰国して除隊している。

 国からは08年4月、判決で認められた賠償と同額の見舞金がフィッシャーさんに支払われた。だが、加害者自身からの賠償は現在もなされていない。

 加害者の所在は分からないままだったが、その後に米中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーにいることが判明。「これで、ようやく10年の闘いを終えられる」。現地の法律事務所を訪れた時に、涙が流れた。

 それまではミドルネームの「ジェーン」と名乗り、帽子とサングラス姿で被害防止を訴えてきた。だが今年春に事件から10年が過ぎたことを機に、公の場で本名を明かす。加害者に対して日本の司法判断を守るよう求める訴えを、5月にミルウォーキーの郡裁判所に起こした。

 原告側は法廷で、「国際礼譲の原則」に基づいた外国の判決の執行を主張する。原告側代理人を務めるクリストファー・ハネウィッツ弁護士は「礼譲原則では判決執行は義務ではないが、今回の事件では事実に基づき、日本の司法判断を執行するのが適切だ」と説明する。

 米退役軍人からも共感の声が上がっている。イラク戦争に反対して外交官の職を退いた元陸軍将校アン・ライトさんは、08年のシンポジウムでフィッシャーさんと出会って以来、支援してきた。「米軍人の犯罪にはうんざりしている。犯罪者は処罰を受けるべきだ」
 だがフィッシャーさんは、在日米軍人の違法行為への日本当局の対応にも不信感を募らせてきた。「犯罪者が逃げてしまえる限り、被害は相次ぐ。日本の外務省も動いてほしい」。9月に都内で開いた会見で、フィッシャーさんは訴えた。

 日米の同盟関係を維持することと、日米の地位協定の維持はイコールなのか。
 日本は(表沙汰になる事件の事例がほとんどが沖縄なのは何故だろう。本土では事例がない? あるいは外務省や警察、地元関係者がうまく事件を封殺している?)、これからもアメリカ軍(兵士)にとっての治外法権の巷であり続けなければならないのか。

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コメント

基地問題は厄介ですね。
日米安保条約、日本は自衛隊を持っているのになぜアメリカとそんな条約を結ぶのかと言う疑問がまずある。
それなら、自衛隊を軍隊とした方が良いとも思える。
思えば非核三原則も有名無実だった。
アメリカは核を持ち込んでいた。
基地の周りの住民は多大な苦労をして来た。
砂川闘争、内灘闘争、けど、権力に負けた。
いろんな矛盾を抱えながら、何故国はアメリカを守るのか?
それなら、憲法改正して、自衛隊を軍隊と位置付けた方が良いように思えるのですがね。

投稿: oki | 2012/10/31 22:46

okiさん

地位協定からすると、日米同盟はあくまでアメリカのため、というのが露骨にわかる。
治外法権だから、日本で好きなことできると思ってくる米兵もいるようだし。
沖縄をアメリカの基地化に、というのは、終戦直後、天皇制の護持と引き換えというから、天皇制が続く限り、事態は変化なしでしょうね。

投稿: やいっち | 2012/11/02 21:50

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