源氏鶏太作品を読み始める
富山県人としては、富山のかつては有名なベストセラー作家だった人物の本を読む義務(プレッシャー)を感じる。
改行の多い、いかにも通俗作家の読みやすい文章が延々と。読み始めた瞬間から、読むのが憂くなってしまった。どこまで頑張って読めるか。
「1955年に発表された『七人の孫』も、森繁久彌主演でテレビドラマ化され、人気を博した」とか(代表作に、『三等重役』など)、「サラリーマン小説の第一人者」と呼ばれたりもしたのだが、「1975年に刊行された『わが文壇的自叙伝』では、「自分の作品で死後、読まれるものがあるだろうか」と自身、懸念しているが、実際に現在ではほとんどの作品が絶版・品切となり、「忘れられた作家」となっている」のである。
本書は高度成長期の銀座の人間模様。
仕事柄、富山市の繁華街(とは到底、思えない閑散ぶりが目に付くことがしばしばだが)である桜木町界隈を走ることがある。
今の時代の人間模様は様変わりしているはず。
なんといっても、日本人のホステスが少ない(多分、店の中にはいるのだろう)。表で呼び込みをしているのは、東南アジア系ばかり。
富山の繁華街を走って驚いたのは(驚く必要はないのだが)、西欧系のホステスをほとんど(まったく)見かけないこと。六本木などでは溢れんばかりだったのだが。
← 源氏 鶏太【著】『幸福さん』(毎日新聞社)
さらに今は日本はグローバル化する世界の潮流に呑み込まれ方向性を見失っている。
マイナス成長さえ危惧される経済状況なのである。
接待や交際費、広告費は真っ先に削られる対象。
自腹で飲み屋街に繰り出すのは、大概のサラリーマンには難しい。
源氏鶏太氏が活躍した時代の小説は、夢物語にすら映るかもしれない。
余談はともかく、銀座通いの頻繁ぶり、酒豪ぶりを自慢されていた、我が富山出身の作家の本で、かつての景気の良かったころの日本、そして銀座の光景を偲ばせてもらうか。
とにかく、とりあえずは、虚心坦懐に読もう!
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