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2012/10/15

青い闇の道

 夢の中の道を歩いている…そんな気さえするほどにリアルな感覚がある。
 踏む足に大地の厚みを覚える。
 砂利と雑草と、コンクリートの破片とが奇妙に入り混じった、茫漠たる道が続いている。

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 道の先は見えず、振り返ることも後戻りすることも叶わない。
 振り返ろうとした途端、方向感覚を失っている自分に気付かされる。
 先というのは、顔がたまたま向いているがゆえに、先と思い込んでいるだけ。

 守り神だったはずの白猫も、すっかり老いて、そっぽを向いたまま。
 もう、お前を守る役目は引退の時期だと呟いている…。

 お前には、もう先がない。
 運は使い果たした。
 ワシの運さえもな。

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 夢ほどにリアルな空間が圧し掛かってくる。
 息が苦しくなる。
 肺胞が詰まっているのか。
 それとも、喉がねじれてしまったのか。

 懇願する思いが脳の血管に塊となっている。
 焦がれる思いは神経細胞を焼き尽くしてしまった。
 生き延びる余地は、夢の中にしか残っていなかったのに、その夢さえ、見ることは叶わない。

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 血反吐のような花が道端に咲いている。
 天国へ、それとも地獄へと導く道しるべ。
 それはそれは美しい花だ。
 お前に終わりを告げる花、彼岸花、曼珠沙華、血の花。
 肺から口へ、口から天へと吐き出された命の花。

 家の裏へ続く道は、青い闇の道。
 あるようであり、ないようでもある、限りなく透明に近いブルーな道。
 幽明の境を彷徨っても、やがては行き止まりとなる道。

 亡霊たちが幾人も先導してくれている。
 だから、決して迷うことはない。
 お前の行き着くところは決まっているのだから。
 
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 みんな、待っているよ。
 みんな…お前が地獄に突き落とした仲間たちだ。
 血の涙のような真っ赤な闇に流れる三途の川に流されて、みんなの元へ行くがいい。

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