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2012/10/14

シェールガスやメタンハイドレートは夢の話?

「シェールガス開発により世界のエネルギー供給量が大きく拡大すると予想している。ライス大学ベーカー研究所の研究では、アメリカとカナダにおけるシェールガスの生産量の増加によってロシアとペルシャ湾岸諸国からヨーロッパ各国へのガス輸出価格が抑制されると結論付けた」とか。

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→ 2010年メキシコ湾原油流出事故の光景。NASAの人工衛星テラが2010年5月1日に撮影した油膜。(画像は、「2010年メキシコ湾原油流出事故 - Wikipedia」より)

シェールガス - Wikipedia」によると、「シェールガス( shale gas)は頁岩(シェール)層から採取される天然ガス」で、「2000年代に入ってから水圧破砕(英語版)によって坑井に人工的に大きな割れ目をつくってガスを採取する技術が確立し、更に頁岩層に接している坑井の表面積を最大にするために水平坑井掘削技術(英語版)という技法で10,000フィート (3,000 m)もの長さの横穴を掘ることが可能となった。これらの技術進歩の結果シェールガス生産量が飛躍的に増加しシェールガスブーム、シェールガス革命などと呼ばれるようになった」もの。

 中東に限らず、地政学上の地図が激変する予感が濃厚である(既に大きく変貌しつつある)。
 このエネルギー資源革命は、夢のような将来をもたらすのだろうか。

 シェールガスについて、少しその負の側面を見てみよう。
 同じく、「シェールガス - Wikipedia」によると、「メタンの温室効果を考慮するとシェールガスの温室効果は石炭や燃料油よりもシェールガスの方が強いとの研究結果」が出されたり、「水圧破砕には、一つの坑井に多量の水(3,000~10,000m3)が必要であり、水の確保が重要となる。また用いられる流体は水90.6%、砂(プロパント8.95%)、その他化学物質0.44%で構成されることから、流体による地表の水源や浅部の滞水層の汚染を防ぐため、坑排水処理が課題となる[46]。実際に、アメリカ東海岸の採掘現場周辺の居住地では、蛇口に火を近づけると引火し炎が上がる、水への着色や臭いがするなどの汚染が確認されるようになり、地下水の汚染による人体・環境への影響が懸念されている」。

 さらに、「2012年4月26日、朝日新聞の報道によればアメリカ地質調査所は米国中部でM3以上の地震の年間の回数が10年前に比較し約6倍になっているとして」おり、「メンフィス大学 (University of Memphis) 地震研究情報センター (Center for Earthquake Research and Information) の研究者は採掘後に戻し注入された水によって断層が滑り易くなっていると考えている」など、環境、地下水の汚染、地震の誘発といった弊害が指摘されている。

 資源小国日本でも、つい先日、メタンハイドレートの実験的採掘に成功し、エネルギー事情の激変が期待され、将来展望が開けるかもと、一部で沸き立っている。

メタンハイドレート - Wikipedia」によると、「日本のメタンハイドレートの資源量は、1996年の時点でわかっているだけでも、天然ガス換算で7.35兆m3(日本で消費される天然ガスの約96年分)以上と推計されている」など、 メタンガスを採掘するコストは別にしても、「海中に湧き出したメタンが、大気中に出ることによって、地球温暖化の一因になっていると考えられている。大気中のメタンは、二酸化炭素の20倍もの温室効果があるのではないかと言われている」わけで、放っておいても自然に放出されるものを、敢えて人為的に取り出すことは環境面でいかがなものか、という議論は当然、あってしかるべきだろう。

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← 炎上するディープウォーター・ホライズン。(画像は、「2010年メキシコ湾原油流出事故 - Wikipedia」より)


 さらに、以上は、採掘がうまくいった場合の話だが、深度からの採掘は、技術革新があるとはいえ、常に想定外(?)の事故の危険性が伴う。
 記憶に新しいところでは、「2010年メキシコ湾原油流出事故」があった。
2010年メキシコ湾原油流出事故 - Wikipedia」によると、「2010年メキシコ湾原油流出事故は、2010年4月20日にメキシコ湾沖合80km、水深1,522mの地点で掘削作業中だった、BP社の石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」で、技術的不手際から掘削中の海底油田から逆流してきた天然ガスが引火爆発し、海底へ伸びる5500mの掘削パイプが折れて大量の原油がメキシコ湾へ流出した事故」である。
 さらに「BPによると7月16日までの原油流出量は約78万キロリットル(490万バレル)である。[5][6] 1991年の湾岸戦争(推計600万バレルとも)に次ぐ規模で、1989年に4万キロリットルが流出したアラスカ州の(エクソンバルディーズ号原油流出事故)をはるかに超えた」という。

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コメント

おお、ちょうど良い話だ。
先週の週刊朝日に、ちょうどシェールガスの話が出ていまして、これは600年使用できる埋蔵量があると。太陽光発電は高くて話にならないし、100年単位で考えたら、原発は壊れる可能性があるので、とりあえずシェールガスでやるしかないだろうと。
東大で美学教えていた、今道友信さん亡くなりましたね。
旧仮名遣いなんてするから、最終講義の時、左翼学生が入って来て、講義中止になったんですよ。

投稿: oki | 2012/10/16 22:02

okiさん

シェールガスがエネルギー源として有望だし、地政学的地図も激変するのでしょう。
しかし、石油もだけど、地下資源を膨大な量、採掘することの環境への影響は、もっと関心を払ってしかるべきと考えます。

今道友信さんが亡くなられた。
東大卒のokiさんには、同氏は特に関心があったのでしょうね。
講義も受けたことがある?
小生は、一冊くらい、読んだかなーという程度。不勉強です。


丸谷才一さんとか若松孝二さんとかが亡くなられましたね。
特に若松孝二さんなど、日活ロマンポルノ系の映画は学生時代など、結構、観ました。
反骨の映画作家。
時代は容赦なく移り変わります。
現役だった人間も退役し、やがて娑婆を離れ去る。

投稿: やいっち | 2012/10/18 21:22

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