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2012/09/17

水辺の戯れ

 臓物がのたうっている。
 まるで言葉のように。
 言葉がもんどりうっている。
 まるで腸(はらわた)のように。
Sscn0421
 口を突いて出る言葉は、吐き出す呻き。
 デコボコの言葉の塊は空気を揺らす。
 揺れる空気は言葉をあっさり呑み込んでしまう。
 大気はネズミを丸呑みする蟒蛇(うわばみ)。

 自らをも溶かしつくす胃液で言の葉を優しく嬲る。
 粘液と化した葉っぱは樹液のように、海を渡る風に舞う。
 飛び散って、そこらじゅうの生き物をベタベタに汚す。

 もう、言の葉の主の片鱗もない。
 あるのは、雲散する悲しみと凝固する本能。

 明るい晴れ渡った空と、木陰に投げ捨てられ湿気た吸殻とが、風の中での出合いを希(こいねが)っている。
 分厚い空気が煙幕となるはずだ。
 誰からの目線をも阻み、いつの日かの婚姻を静かに待ち続ける。

Sscn0428

 ボクは一歩一歩、前へ進む。
 水辺の戯れを夢見て。

 吐き出された言の葉の残骸たちが、断片たちがボクを迎えてくれるはずだ。
 この辺りは、ボクの言の葉の切れっ端で満ち溢れている。
 言うなれば、脂塗れの湿地こそボクの領地なのだ。
 その日のためにこそ、ボクは言葉の蠕動を続けてきたのだ。

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