水辺の戯れ
自らをも溶かしつくす胃液で言の葉を優しく嬲る。
粘液と化した葉っぱは樹液のように、海を渡る風に舞う。
飛び散って、そこらじゅうの生き物をベタベタに汚す。
もう、言の葉の主の片鱗もない。
あるのは、雲散する悲しみと凝固する本能。
明るい晴れ渡った空と、木陰に投げ捨てられ湿気た吸殻とが、風の中での出合いを希(こいねが)っている。
分厚い空気が煙幕となるはずだ。
誰からの目線をも阻み、いつの日かの婚姻を静かに待ち続ける。
ボクは一歩一歩、前へ進む。
水辺の戯れを夢見て。
吐き出された言の葉の残骸たちが、断片たちがボクを迎えてくれるはずだ。
この辺りは、ボクの言の葉の切れっ端で満ち溢れている。
言うなれば、脂塗れの湿地こそボクの領地なのだ。
その日のためにこそ、ボクは言葉の蠕動を続けてきたのだ。
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