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2012/09/12

泣くから悲しいのだ ? !

「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ」などと、知れたようなことを嘯く文化人がいたような。
 もしかしたらそのお方は一度も泣いたことがないのか、あるいは、泣いた経験から遠ざかって久しい、涸れた人間なのかもしれない。

 泣くにも程度もあるし、事情もあるし、かの文化人はどういう状況を想定して決めつけるような、何か新奇な文言を吐いたのか、もう忘れてしまった。

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→ 「大師ヶ岳」 過日、野暮用で、大師ヶ岳頂上近くに行く機会があった。二上山丘陵の北部に位置する、高岡市と氷見市に跨がる山。標高253.6m。ハイキングコースでもあるらしい。

 少なくとも小生の直近の涙を流した経験からすると、号泣や慟哭のような激しい泣き方ではなく、感泣というか嗚咽のような泣き方だったのだが、それでも、こみ上げるものがあり、目の周辺がうるうるプルプルし始め、間もなく涙が溢れ出す、という風だった。
 小生は、上掲の文化人にことよせると、涙がとめどなく流れることで、悲しみの度合いを思い知った…とは云える。


 実際、泣く表現にもいろいろある。
 涕泣(ていきゅう) 嗚咽 欷歔(ききょ) 感泣  鬼哭 号泣 慟哭 哀哭(あいこく) 嗁呼(ていこ)  啼血(ていけつ)…というわけで、これらにとどまらない。

 念のため、ネット上の辞書を参照して、大まかな意味を示しておく:

涕泣(ていきゅう):涙を流してなく

嗚咽:むせびなく

欷歔(ききょ):すすりなく

感泣:感動してなく

鬼哭:浮かばれない死人の魂がなく

号泣:大声を叫びなく

慟哭:声を上げて嘆きなく

哀哭:声を上げて悲しみなく

嗁呼(ていこ):なきさけぶ

啼血:血を吐いてなく

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← 銭湯帰り、近所の公園脇を通った。暮れなずむ、人気のない公園は淋しい。

 これまた別の著名な文化人によると、時代につれ、人前で大泣きする子供が減ったのは、直情の人間が減ったとか、人前での露骨な心情の吐露を憚るようになったこともあろうが、教育が行き渡り、言葉による表現能力が向上したことがある、なんて言っていた(らしい。柳田国男の「涕泣史談」辺りが典拠か ← 未確認)。
 つまり、知能程度の向上が昔風な、泣く子は育つ風な(野蛮な?)文化を過去のものにした、というわけである。

 身体表現が全面に出るのは、言語表現力が減退した場合に多くみられる。
 それが証拠に、年齢を重ねるほどに涙もろくなる、それはボケが入ってきて、言葉などでの表現能力が萎え(あるいは面倒になり)、泣く、怒る、拗ねる、笑う、などといった身体表現(行動)に直結してしまいがちではないか…云々。
 要は前頭葉の発達の度合いに関係する、らしいのである。
 このことを踏まえて、「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ」なる名言を解釈しなおしてみると、かの文化人が高齢となり、自分が悲しいとか悔しいとかの感情の有無を理解あるいは察知できなくなり、とにかく、実際に涙が流れる…泣く、涙が流れるという身体表現で以て初めて、自分が悲しいのだと気づかされるようになった、そういった悲しい内情を思いがけなくも曝け出してしまった、とも考えられる。

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コメント

あろは~、ニホンワムシアツイデスネ。

泣ける話とか、泣ける歌とか、
泣けるとは、人々を楽しませる娯楽です。
悲しい話や、芝居や、おそらく現実も、
どこか楽しいのではないかと。
少なくとも不快ではなく。

文化人と呼ばれる人なら、
泣くことと、悲しいことは別と知っているはず。
では、悲しいのほかに、なにか感情を探さないといけません。
悲しいときに笑えるのも、
笑った後に悲しくなるのも人ってもので、
度合いではなく、ほかの何かが混じっているのです、
たぶん。

投稿: 青梗菜 | 2012/09/16 21:39

青梗菜さん

そうですねえ。
馬齢を重ねると、人間、いろいろある。
情にもいろいろあって、一色じゃないってことは分かってる。

いろんな話や場面に接しても、感じることはいろいろで、呵呵大笑しつつも冷や汗を流していたりすることも。
感情がこみ上げてきても、単純に笑いもできなかったり、泣けなかったり。
自分でもつかみきれない情の動き。
涙が流れてることでようやく、もしかして悲しいのか、悲しいと感じているのかと、一瞬は悟らせられる。
…でも、涙が流れるのは、涙腺が弱ってきたから…、そう、下半身が緩みがちなように、とも思わなくはないので、泣いても悲しいと自信を持って思えないことも。
一筋縄じゃ、いきません。

投稿: やいっち | 2012/09/18 18:49

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