眼窩は奥津城を恋しがる
真っ暗闇の中、鮮烈な光の一閃。
目を射抜き、心を刺し貫いて。
原初、天に光があり、そこにいるオレを導いた。
違う! 導いたのではなく、曝けだし、引き裂いたのだ。
肉が切り裂かれる。
違う! 劫初よりの齟齬にメスが入っただけのこと。
そう、メスの煌めき!
それに隠れる場所はなく、居場所もない。
それは天のちょっとした過ち、それとも気紛れ、暇に業を煮やした悪戯。
肉のズレは心の歪み。
存在の無なる眼は深海に落ち、天球を睨む。
歪んだ肉は時空を厭う。
違う! 厭っているのは天のほうだ。
そこにあってはならない。
生じたこと自体が計算外。
そうである以上は、速やかに退場を希われる。
重なり合うことも閉じることもない、際限なく生な縫合。
吐瀉物は曖昧の海に彷徨する。
出逢いのない、孤独への旅。
眼窩は奥津城を恋しがる。
咽喉の奥の永劫の闇の彼方に見ているものは、瑕疵なき水晶宮。
[「原初の記憶それとも奥津城」(2012/6/18)を元に、一部手直し]
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