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2012/05/13

タクシー客事情(2)

 それでも二人がかりで何とか家の前に。
 お爺ちゃんが、鍵を出して玄関の戸を開けようとする。
 けれど、手が震えて、鍵穴にキーが入らない、溝の向きにも合わない。

Img_20120511_1509121

→ 富山市内某所の水田で水鳥を発見。水の張られた今頃の水田には、どこからともなく水鳥(カモ)が飛来する。

 じれて、男性が、ボク、開けますからと言っても、お爺ちゃんは聞かないで、長々とキーを鍵穴に突っ込もうとする。
 玄関先は暗い。軒灯りは、街灯のおこぼれが少々あるだけ。

小生は常に携帯している小さな懐中電灯をポケットから取り出し、鍵穴の周辺を照らしているのである。
 お爺ちゃんは男性を邪険にして、もう自分でできるから、帰っていいよの一点張り。
 無論、男性も私も、そうはいかない。
 玄関の前で10分以上、お爺ちゃんは鍵と格闘、何とか開いた!

 もう大丈夫だから帰っていいよ、と云う。
 ダメだよ、チャンと家の中に入るの見届けないと、不安ですよ、と、お爺ちゃんを促す。
 玄関の戸が開いてからも一悶着。
 それでも根負けしたのか、お爺ちゃんは玄関の中へ。
 そこには驚くべき光景が。
 しかし、その光景の意味するモノは、その時の私は分からないでいた。

 玄関を一歩入ると、そこは足の踏み場もない乱雑ぶり。整理整頓、まして掃除など久しくされた模様はない。
 家庭内のモノがゴミも含め、そこたらじゅうに放置、置き去りにされている。
 お爺ちゃんは、モノが堆積した玄関から家の中へどう踏み分けていくのか見当も付かない。
 付き添いの男性は、小生に確認を取るように、あるいは自らに得心させるように、言う。
 わたし、やるべきことは遣りましたよね、これ以上はどうしようもないくらいにね。

06120223

← 都内某所。街灯の下、運転手は仮眠… (画像は、「 枯れ葉掃除の日々 」より)

 車内の後部座席に身を沈め、述懐される。
 あの方、ある会社のえらい方だったんですよ。
 重要な任務を一手に引き受けてね。
 もうとっくの昔に引退されてますけどね。
 これまで仕事一筋で、家庭内のことは身内に任せっきり。
 あの方のお母さんと奥さんとが全部、やってきました。
 なので、家の中のことは何もできない。
 それなのに、お母様が亡くなられ、奥さんも認知症だったりして、入院してしまった。
 だから今、一人暮らし。
 家の中で一人きり、どうしてるのか…

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コメント

太田神社では昨日・今日と5月お祭りで大賑わいでした。
子どもと共に子供神輿で祭りに参加し楽しい時間を過ごしました^^。

投稿: ちょっと情報 | 2012/05/13 22:09

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