« タクシー客事情(3) | トップページ | 晴耕雨読は夢の夢 »

2012/05/15

タクシー客事情(4)

 間もなくAさん宅に到着。
 Bさんは、タクシーを降りると、Aさん宅の車庫のシャッターを開けようとする(玄関は車庫の内側の奥)。

Img_20120513_1822341

 その間に、支払いをAさんとの間で済ませ、私は車を降りて、Aさん側へ。 手を貸し、肩を貸し、全力でAさんを支えて(ほとんど体重の半分は私が支えて。
 今度は、車椅子がないので、ずっとAさんを支えながら車庫の中へ、玄関へ。 コンクリートの段差があって、Aさんを支えながら段差を乗り越えさせるのは、男性の私でも結構しんどい。

 Bさん一人では、玄関にはたどり着くのは無理に近いだろう。
  Aさん宅からの連れ出しの際も、我が社のタクシーのドライバーが丁寧に付き添い手伝ったものと、容易に想像が付 く。
 恐らくは、我が社の車椅子専用(設備のある)タクシーで普段は送迎しているのだろう。

Img_20120513_18285211

 玄関の戸を開けるのも一仕事。 鍵は秘密の場所に隠してあり、どう見ても、Aさん本人には、とてもじゃないが、出し入れ不可能に思える場所。
 何とか取り出して、Bさんに鍵を開けてもらう。
 車庫の段差を越え、次は玄関の中へ、そして玄関フロアーの廊下に上らせる。
 ここは、上らせる、というより、廊下に腰掛けさせる、というのが正確かも知れない。 Aさんは、歩けないのだ。

Img_20120513_1828471

 彼女は、車内での会話でも、送ってくれさえすれば、わたし、膝は悪くないんだし、這ってでも、どうとでもするか ら、と何度も云っていた。
 這ってでも、というのは本当だった。 手摺りの類は見当たらない。 また、仮にあっても、手摺りを伝っての歩行もままならないと思われるのだ。
 彼女は実際、這って廊下を過ぎ、隣の茶の間へ。

Img_20120513_1822271

 Bさんは、Aさんの荷物を廊下に置く。
 せめて気持ちだけでもと、荷物を茶の間の近くへと移動させる。
 我々に出来ることは、これまでだ。

 後のことは、身内の誰かが来て、やってくれるだろう…多分。

(本文中の挿入画像は、富山市内某所の夕景。5/13 撮影)

|

« タクシー客事情(3) | トップページ | 晴耕雨読は夢の夢 »

タクシーエッセイ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: タクシー客事情(4):

« タクシー客事情(3) | トップページ | 晴耕雨読は夢の夢 »