大飯原発…想定される事態
「 関西電力大飯原発3、4号機に政府が「運転再開妥当」との判断を出したことで、福島第1原発事故から13カ月余を経て、原発再稼働への動きが本格化する」という:
「 大飯原発:ぶれ続ける政府方針」
一方、「 枝野 幸男経済産業相は最近も「管内の電力需給に余裕がある場合は再稼働を認めない」と発言し、政府方針にはあいまいさが目立つ。大飯に続いて焦点となる四国電力伊方原発な どの再稼働にただちに結びつくかは予断を許さない」という、アリバイ作り風な姿勢も見せている。
エネルギー需給が逼迫している、あるいは、逼迫しそうだ、という懸念があるのだろう。
エネルギー源の大半を海外に(特に中東に)依存している日本は、戦略的には、原子力発電依存へ梶を切ったことは正しいかのような受け止めをされてきた。
再生可能エネルギー源へのシフトは急ピッチで進んでいるものの、少なくとも今年、そして来年、一気に基幹を成すわけではない、という現実は認めざるを得ない。
今夏、電力の使用制限、節電を、となると、日本の経済は復興の勢いを殺がれかねない。
だから、原発の再稼働を急ぐ…
不思議、不自然なのは、 関西電力大飯原発3、4号機に政府が「運転再開妥当」との判断を出したという、その根拠だ。
政府が大飯原発(や、あとに続くストレステスト済みの原発)の安全性に御墨付きを与えるなんて、何か変だ。
原子力安全規制庁の発足もみていない、半端な段階で、一体誰が安全性を客観的に審査できるというのか。
そもそも福島原発の事故の真の原因は何だったのか。
想定外の津波?
その前に地震で炉心や電源がやられた、という可能性はないのか。
膨大な数に上る、複雑に配管されたパイプの接続箇所、その悉くが事故への契機に繋がり得る原発の特殊性。
一年もかけて事故を検証してきた?
福島原発の検証はまだほとんど終わっていないのに!
地震火山大国の日本。
それでも、つまり、安全性における不安はあっても、多少の安全面での瑕疵はあっても原発に依存しないと日本はやっていけないというのか。
だったら政府は、正直に、原発は百パーセント安全は保証できない、だけど、日本の今の実情からして、脱原発依存は不可能なんです、この度の大飯原発の再稼働も、安全面に目を瞑るのも仕方ないんですと、正面切って国民に訴えかけるべきじゃないのか。
一旦、事故が起きたら、その事故は一国の経済・文化・政治を根底から揺るがし、世界に脅威を与える。
原発の事故はそれほどに影響力がある。
何年か後には、日本においてかどうかは分からないが、世界の何処かの原発で事故が起きるだろう。
これは不可避の、まさに想定内の事態ではないのか。
その悪夢の再現の最初の地が日本ではないと、誰が言い切れるだろう。
それでも、原発の(再)稼働を、というのなら、政府は、真率からの覚悟を国民に問うべきなのだ。
下手な屁理屈で誤魔化すな!
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コメント
「日本においてかどうかは分からないが」 - スマトラとかトルコとか地震地帯で原発を増発するならば分りませんが、やはり危ないのは日本の原発です。現実逃避の日本人の性格には合いません。
ご指摘のように、国民投票しかその再稼動の是非を問う方法は無いと思います。おそらくそれで賛成と決着が出たときは私のような移民が多数出ると予想できます。
敢えて繰り返しておきたいと思いますが、私は平和のための核開発賛成派ですが、原発の技術は受け入れません。もはや産業技術的にもこの二十世紀の過渡的技術の時代は終わりです。
投稿: pfaelzerwein | 2012/04/15 03:33
pfaelzerweinさん
再生可能エネルギー源へのシフトには相当程度の年数を要するのでしょう。
だからといって、既存の原発にカネを費やすのは、無駄の極みに思えます。
原発依存の福井県は、原発で五百億円、潤うとか。それだけの経費を費やすなら、百万キロワットの再生可能エネルギー源施設の設置に費やしたほうが合理的なのでは。
福井も福島も青森も、原発や放射能関連で潤い、犠牲となって都会に奉仕する。
地方と中央との不幸な格差。
事故を起こした福島の原発は古い型。新しいタイプの原発は安全…
読売などは昨年来、早々に原発推進を主張している。
よほど何か強い絆で原発村につながっているのでしょうか?
あれほどの犠牲を払っても目覚めない日本(政府)って、理解不能です。
自動車産業が基幹の日本。
車依存を強めるしかない?
東京などに比べ、車での移動に依存を強めるしかない地方。
新幹線が通って、ローカル線が、公共輸送機関が廃れていく。
そうした自動車などの産業のため、膨大な電力、原発が要る。
日本の基幹産業を先進諸国に先駆け、再生可能エネルギー関連産業にシフトする、絶好の時が今のはず。
このチャンスを逃してどうする?
投稿: やいっち | 2012/04/15 22:00
再生可能エネルギー関連産業は、多くがが中国に渡ってしまい、今からでは新機軸のものしか新産業にはなりません。日本は二十年ほどなにもしてこなかったので手遅れです。しかし国内市場の規模は節電式のシステムなど莫大な市場があります。但し国際競争力はそれほど高くないので、将来性はあまりないです。
車産業などは裾野も広いですが、大きなところは自家発電設備があり、もはや電力を食うだけの産業は日本国内には殆ど存在していません。そうした中で原発を操業する電気会社が重厚長大型産業として際立ってきた背景もあるかと思います。
読売は正力松太郎のライフワークである原発を否定できる訳がなく、原発は核保有の一つの政策であるとすれば、日本政府の立場は堅持しかありません。問題は、一度もそれを国民に問うていないことです。地元とはフクシマの影響範囲で分るように日本全体でしかありませんね。
祇園の事故でタクシー搭載の映像がアップされていてとても興味深く見ています。
投稿: pfaelzerwein | 2012/04/16 03:39
pfaelzerweinさん
日本は、国際競争力はともかく、エネルギー戦略の観点からも(可能な限り輸入への依存割合を減らす)、再生可能エネルギーへのシフトは徹底せざるを得ません。
失われた二十年は、経済だけじゃなく、エネルギー戦略もですね。
原発への過度の依存が、太陽光発電も含め、日本を再生可能エネルギーの後進国に追いやってしまった。
津波対策とかで巨費を投じるのなら、国費はもっと前向きな分野に使ってほしいもの。
「原発の父」正力松太郎、彼がただの地方紙を全国紙にした読売新聞なのですから、読売の原発推進の社是は変えようがない。
原子力の平和利用ということで当初はアメリカも正力や中曽根らを使って(ビキニ事件があったにも関わらず)日本の原発推進を強力に後押しした。正力亡き後、田中角栄が、エネルギーの独自戦略を打ち出し、アメリカに過度に依存しないため、原発の一層の推進となる政策を打ち出した。
ここまで来ると、アメリカも日本の独自なエネルギー戦略に不穏な意志を感じ、田中をロッキード事件で追い落とした。
正力松太郎はなぜ日本に原発を持ち込んだのかについては、アメリカの意図(核の平和利用など)もあるけど、一部には、正力の 正力松太郎に詳しい早稲田大学の有馬哲夫教授によ ると、読売新聞の社長で日本初の民間放送局日本テレ ビの社長でもあった正力の真の野望は、マイクロ波通 信網と呼ばれる国内通信網の実現だった、といった説もあります。
でも、原発推進に突っ走ったのは、正力や中曽根らに別の、アメリカにとって、許し難い意図があったのは紛れもない事実でしょうね。
そう、日本も核兵器を持つことです。
いつでも核兵器を所有できるため、原発推進は不可欠の戦略だった。
核兵器を持たないと、アメリカや中国、ロシア、北朝鮮、イスラエルなどに独立した立場で対峙できない、という危機感があったのでしょう。
自民党だけじゃなく、 民主党の幹部等の言動を見ると、 民主党も、その点では、同じ穴のムジナなのだということが、透けて見えるようです。
というより、核兵器をいつでも所有できるため能力を維持することが、つまり、原発推進が当然というのが、日本の官僚たちの基本的な常識なのでしょう。
投稿: やいっち | 2012/04/17 04:31