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2012/03/27

今年は源氏鶏太の生誕百年

 中学生の頃はどちらかというと、数学(幾何学や算術)や海の謎や宇宙の神秘、ピラミッドやインカ帝国などをテーマの考古学や古代史などの本に関心が集まっていた。
 一方、ロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」、トルストイの「戦争と平和」(ダイジェスト版)や三島、太宰の本、などをかじり始めていた。

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← 源氏鶏太原作の映画化作品の一つ。

 メインはSFだった。
 高校生になった最初の年、「ジェイン・エア」を読んで文学に開眼(?)したが、二年生からは失恋を契機に(?)宗教書や哲学書に傾倒しだした。
 源氏鶏太の小説には目もくれなかった。
 映画の原作者というイメージが強かった。

 それも 『ホープさん 』や『三等重役 』などのサラリーマンもので、まるで関心の埒外だった。
 サラリーマンもの以外では、 『 七人の孫 』などのテレビドラマの原作者という、これまた先入観が濃厚だったし、そうした映画やドラマの主役を演じるのは大概、森繁久彌で、小生の嫌いな役者の筆頭なのである。

 さて、帰郷して二年目のある日、思い立って、殊勝にも図書館で 源氏鶏太の本を物色した。
 すると開架のコーナーに一冊も見つからない!
 文庫本の一冊すら見当たらない!
 町の本屋さんでは尚更、置いてない。
 パラパラ捲って、どんなものかと、確かめることすらできない。

 図書館のパソコンで検索すると、書庫に在庫があると分かった。

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→ 角川文庫

 その時、 源氏鶏太の今日における位置付け、評価が遅まきながら分かったのである。
 もう過去の作家、今では読まれない、忘れられた作家……

 手続きしてまで借りるのが億劫で、その時は彼の本を借り出さなかった。
 そこまでして読むに値するのか分からない。
 そんなに読書家でもない小生、他にも読みたい本は目白押しなのだし。

 源氏鶏太は 図書館ですらこの扱い(誤解のないように断っておくが、冷たい扱いをしているわけじゃなく、借りられる機会が少ないから開架には置いてないだけ。富山に縁の作家といった特集を組む際には、必ずレパートリーの筆頭となる!)

 北日本新聞の囲み記事によると、今年は源氏の生誕百年だとか。
 4月18日からは、北日本新聞ギャラリーで 源氏鶏太展が開かれるという。
 21日には、代表作「三等重役」の映画上映会やシンポジウムも催される。

 他でも源氏関連の企画があるようだ:
源氏鶏太:サラリーマン小説の原点 生誕100年記念企画展、富山県立図書館で21日まで /北陸 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 高度成長期、日本を牽引してきたサラリーマンたち。
 学生運動が活発だった時代でもあった。
 学生等が安保反対とかで騒ぎ、世間が政治の時期だった(政治と文学、なんて視座が成り立ち得た!)時代世相にあって、一般のサラリーマンや労働者たちは、ひたすら働き、夜はひたすら飲み歩いた。

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← 昭和25年 東宝映画 「ホープさんサラリーマン虎の巻 」劇場映画ポスター  原作/ 源氏鶏太 監督 山本嘉次郎

 悲しいかな小生は 源氏鶏太作品を(恐らく)一つも読んでいない。
 何ゆえに松本清張は残り(と言っても、今のところは、だが)、 源氏鶏太は残っていないのか、今後、再評価の機運が高まる可能性は、あるのかないのか、あるとしてどれほどなのか、何も云うべき材料がない。
 
 とにかく新聞(の読書欄)に て源氏鶏太が扱われた、そしてその記事に目が止まったのも何かの縁である。
 近いうちに源氏の本を読んでみよう!

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