白い紗の女
不意に彼女が私の前に現れた。
あの人だ。
でもその姿がいつもと違う。
仕事を意識した私服、外出着じゃなくて、それは明らかに私を誘う、私に声をかけられるのを意図した格好だった。
白いヴェールのような、膝丈ほどの半透明の上っ張り。
あからさまに云えばすけすけの紗を羽織っただけだった。
肌の色も露わな後ろ姿。
肉付きのいい体。
真っ白なブラジャー、やはり真っ白なパンティが眩い。
顔が見えなくとも、誰だか分かる。
彼女はわざと顔を隠しているのか?
でも、いったい誰から隠してる?
幾ら鈍感な私でもさすがにモーションを仕掛けるしかなかった。
彼女をそこまで追い詰めてしまった…
ここは会社の中。廊下の曲がり角。
いつ同僚が通りかからないとも限らない。
早くあの人を誘い、人目の付かない場所に連れ込まないと。
幾ら切羽詰まっているとはいえ、彼女の名誉にも関わる。
こんな格好で会社の中をうろうろしてるのを見られたら、彼女はもう会社には居られない!
私は彼女の肩を抱くようにしてその場を離れ、どこか適当な部屋はないかと探し始めた。
今日、たった今、何とかしないといけないのだ。
このチャンスを逃してはならない。
生憎、どの部屋も塞がっていた。人の気配がしたり、鍵がかかっていたり。
私は段々焦ってきた。
早く彼女を抱きたい、彼女の体をまさぐりたい、その一心だった。
やっと見つけた部屋は更衣室だった。
そこしか人気のない部屋は見つからなかったのである。
私は、ロッカーの列を回り込んで、せめて廊下からは覗かれまいとした。
しかし、時すでに遅く、同僚の一人が私たちの傍に立っているのだった。
逡巡している間など、ありはしない。
せっかちな私は彼と一緒に彼女を挟むようにして、両方から彼女の体を弄り始めた…
その瞬間だった。
ロッカールームには更に別の同僚がいるのだ。
奴は、こんな所で…と、敢えて目線は避けつつも、私たちがどんな仕儀に及んでいるか、重々知悉していることをクールな横顔に感じさせるのだった。
ああ、もう無理だ、折角のチャンスが潰え去った…そう思った瞬間、私は目覚めた。
クソ!
参考にならない拙稿:
「 白いドレスの女 」
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コメント
やいっちさん。
残念ながら?!(笑)
おはよう御座います。
今日は・・ちょっぴりドキドキ、
拝見させて頂きました(笑)
あはは。
わたしは、夢の続きが知りたくて
無理やり二度寝してみたりしたこと
ありましたが・・
なかなか上手くはいきません〜(悔)
投稿: のえるん | 2012/03/04 23:33
のえるんさん
すぐにもぬぐい去りたい夢もあれば、二度寝してでもその続きを見たい夢がありますね。
ホント、意図的に二度寝して夢の続きを見れたらどんなに素敵でしょう。
いや、見たい夢を見られたらもっと素敵?
でも、好き勝手に夢を見れないからこそ、現実の中で多少でも叶えようとするのかもしれないですね。
投稿: やいっち | 2012/03/05 21:22