感覚は嘘をつかない
包まれているのか、覆われているのか。
膿みが瘡蓋になっているだけなのか。
何も見えない。何も感じない。
真っ白…というより蒼白の空。
雪のせいなんかじゃない。
内と外とが境目も腐れ果てて、浸潤し合っている。
私は真っ逆様に落ち、何処までも上り詰めていく。
終わりのない旅、止め処ない坂、木霊の返らぬ叫び。
腸はじくじくと蕩け、骨はしがらみにへばりつく。
指の先の、届かぬはずの皮膚までがべったりと木に張り付き、地に目合う。
真っ赤な闇が優しげに寄り添っている。
火照った血肉を愛おしむメスの煌めき。
切り裂かれた肉の欠片は地に蠢いている。
断末魔の悦楽に気もふれそうだ。
私は古びた花瓶、半透明の段ボール箱の中で喚きたいと希う金魚、池のメダカに恋するカラス、天から滴り落ちる血の雫、 眼球を嚥下(えんげ)する愉楽。
右も左も分からない。
あるのは、掴み所のない想念。
…思いのほかの傷の疼き。
感覚は嘘をつかない。
ただ、肉の身と齟齬しているだけ。
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