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2012/02/28

高野聖と「もぬけのから」

 過日、久しぶりに『高野聖』を読む機会に恵まれた。
 云わずと知れた泉鏡花の名作である。

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 但し、本作は名作であること以上に、物語中に富山の薬売りが出てくる、しかもいけ好かない、嫌みな奴として描かれていることで、最初から負のイメージベッタリで小生の脳裏に刻みつけられている。

 初めて接したのは、小説ではなく、テレビでドラマ化された世界だった。
 山深い、旅人もめったに通ることのない、怪しげな家の、さらに妖しげな女の色香に誑かされた、愚かな奴。

(尚、文中に載せた画像は、母の月命日にちなみ、仏壇や玄関に飾った花。誰一人見る人は居ないが、せめて父母だけは愛でてくれるだろう。)

 薬売りは、馬に変身させられ、馬方に連れられ、売り払われ、馬方は代わりに見事な鯉を得る。
 ドラマの中では、だから、馬、魚が登場する。

 大概の人には、そんな成り代わりなど、どうでもいいことだろうが、午年生まれで、星座は魚座、且つ富山の人間(売薬は富山の江戸時代以来の、今日に至る専売特許、富山の代名詞のようなもの)である小生には、ドラマ『高野聖』は、身につまされる物語だった。

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 小生がそのドラマを見たのは、中学生か高校生の頃のこと。
 昭和四十年代半ばの頃は、夏場ともなると、怪談モノが映画やドラマで題材となることが多かった。
 
 ドラマではなく、小説『高野聖』などを読んだのは学生になってからだが、その頃、若干、神経症というのか、妙に数字や名前の取り合わせなどに、屁理屈めいたこだわりを持つようになっていて、『高野聖』なる作品は、恐らくは作品本体の持ち味以上に小生を虜にしたものである。

『高野聖』や泉鏡花に覚えるコンプレックスは、他にもあるが、そのことはまた別の機会にメモしたい。

 と、別にそんな話を書くつもりじゃなかった。
 これで何度目の再読となるのか分からない、今回の読み込みで、これまた妙に細部の叙述や言葉遣いが気になってならない自分に気付かされた。
 小説の理解には一向に資することのない、無意味で不毛なこだわり。

 ドラマでも小説でも、その場面になると恐怖心が湧くというか、怖気をふるう、山の奥深い森の途中で、語り手のお坊さんが蛭(ひる)に襲われる、例の行(くだり)がある。
 訳もなく気になったのは、蛭は一体、どんな地域(棲息条件)に潜んでいるのか、だった。

 早速、ネット検索して調べたものである。
 数年前の田植え、毎年の草むしりの折りには、必ずのように蛭の襲来に見舞われ、今では中高生の頃より馴染みとなっている。

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 気になった言葉遣いは数え上げたら切りがないが、例えば、「もぬけ」がある。

 『高野聖』の中では「藻抜け」と表記してある。
 言うまでもなく、小生、何も正しくは「蛻(もぬけ)」であり、「蛻の殻」と記すべしと指摘しようってわけではない。
 夏目漱石など江戸や明治の昔の文というのは、表記は想像以上に多様多彩。
 平仮名だって、現代のように、精々、五十文字余りなんかじゃなく、二百ほどもあったというし:
江戸時代の変体仮名

 何が気になったって、「もぬけ」を小生、勝手に「藻抜け」と表記してあることに違和感を覚えつつも、何故の違和感なのか分からなかったし、「もぬけ」の字義上の意味合いも分からなかったのだった。

 まあ、ホント、本稿は、たわいもないメモである。


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コメント

素敵なお花の写真に
おもわず見入ってしまいました・・

初めてコメントをさせていただきます。

深いお話や写真を楽しみに
これからも拝見させていただきます、
です。

投稿: のえるん | 2012/02/28 22:36

のえるんさん コメントありがとう!


拙ブログにようこそ!
来訪、書き込み、うれしい!

花を飾る趣味など、もともとなかったのですが、父母の死後、月に二度あるそれぞれの命日に仏壇そして玄関の花を替えるようにしています。

拙い日記を日々書いていますが、これを機会にどうぞ宜しくお願いします。

投稿: やいっち | 2012/02/29 20:58

お返事のコメント、有難うございます!

とってもうれしい(笑)
です。
毎日の更新を楽しみにしております。

どうぞこれからも宜しくお願い致します!

投稿: のえるん | 2012/02/29 23:23

のえるんさん

コメントをいただけるのは、とてもうれしいもの。
本文とは、関係のない画像を載せることも多いのですが、それも読者との気楽なコンタクトを保つための苦肉の策だったり!?

日々、たわいもないことを書き連ねていきますが、大らかに、気長に見守ってくださいね。

ホント、コメント、大歓迎です!

投稿: やいっち | 2012/03/01 22:19

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