寒気の緩みの中、読書拾遺
一昨日来のやや暖かな日和で、根雪も随分と溶けてくれた。
太陽の光の威力をしみじみと感じさせられている。
除雪してても、これまでのように、どうせまた今夜にでもドカッと降るんだろう、雪掻きをあざ笑うかのように、除雪の甲斐を跡形なく消し去るんだろう、そう分かっていても俺たちはせっせと雪と格闘するだけ…、なんて不毛感・徒労感を抱かずに済む。
お日様にありがたや、ありがたやと手を合わし、感謝する。
大和岩雄・著『新 版 古事記成立考』(大和書房)を三週間ほどを費やして読了。
本書を再読して、改めて現存の『古事記』の成立は九世紀初頭との認識に確信を抱かされた。
本文と序文とのあまりの表記上などの不整合、『日本書紀』に比して『古事記』の言葉遣いの整いぶり、『古事記』の内容(『日本書紀』との異同)自体などからして、大和氏の主張に説得力がある。
昔、初めて『古事記』を読んだとき、序文に(多くの人も感じるだろうが)大いに違和感を覚えたものだった。
どう見ても「序文」は、付けたり風だし、勅書の序文とは見なしがたい…、素直に序文を読むと、恐らくは多くの人は違和感を禁じ得ないだろう。
一方、「記紀神話」もあって、「記紀」は一体のものだし、『古事記』は不可侵の書なので、多くの名だたる学者たちは、序にあるように712年の成立を信じ、論理的思考がねじ曲げられ、素人の小生が読んでも、ああこの学者、無理してるな、屁理屈になってるよ、と感じさせるような筋立てを強引に仕立ててしまう。
上掲書についての感想文は以前、初読の際に書いたので、感想はこれまでにしておく。
やはり、三週間ほどを要したが、 鶴岡 真弓 著の『 ケルト/装飾的思考 』(ちくま学芸文庫)を読了。
「古典古代の合理主義と並んで、ヨー ロッパ文化のもう一つの源流となった ケルト的想像力の軌跡を、豊富な資料 に基づいてたどる」といった本。
本書も再読である。
いずれも図書館から借り出して読んだものだが、気に入ったので、敢えて書店で買い求め、再読したのだった。
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コメント
東京は明日雨、さすがもう雪は降りませんね。
この寒さでどこが温暖化かと思えば、寒さは温暖化で北極の氷が小さくなったためとか。
太陽の光は何しろうつの人にとっては、脳内のセロトニンに不可欠ですからね。
弥一さんも読書、今年は神話の本が沢山出てますね。
渋谷でいきなり女性刺される、僕たちも何が起こるか解らないからね、予測不可能な事態が起こるのが人生かな。レールの上を歩くような人生つまらない
投稿: oki | 2012/02/22 21:59
okiさん
寒気、ちょっと緩んで、雪半減しました。
過日も okiさんのコメントへのレスに書いたように、短期的には温暖化が進行し、長期的には氷河期への突入。
事態は複雑だし、深刻のようです。
人生は、一寸先は闇、とはいいつつ、現実にはひたすらに落ち目街道をまっしぐら。
この道には、回り道はないようです。
投稿: やいっち | 2012/02/23 21:35