シャドーエコノミーと募る不公平感(前編)
まず、題名の「シャドーエコノミー」だが、日本語(訳)では、地下経済とか、裏経済、あるいはアングラ(underground)経済などとも呼称される。
「GDPに反映されない脱税や贈収賄、麻薬、売春、AV、偽ブランド等の違法取引、自給産品消費、路上販売などの経済取引一般を指す」ものだ。
→ 1月6日の昼下がり、小雪の舞う中、富山市の松川沿いの土手道で、こんな写真を撮った。
床屋さんとかラーメン屋さん、小さなたこ焼き屋さんとか、利用したり飲食したりしても、領収書を発行しない店は結構ある。
医者への謝礼金とか、お寺さんへのお布施、お賽銭、闇金融、賭博、ダフ行為、偽札、密漁品(盗品)売買、不正コピーブランド・海賊版の売買・レンタル、不正規労働etc.…。
領収書は、請求したら呉れるかもしれないが、客は大概、求めないし、求められない限り、店は出さない。
予め断っておくが、それらの店が非合法だとか、何かいけないことをしているとか、そんなことをここで書こうというわけじゃない。
ただ、世界を揺るがしている(しかも、現在進行形)、欧州危機のことに(さらには混迷する世界の経済状況のことも含め)このシャドーエコノミーの観点から、ちょっと触れてみたいだけだ。
すでに、テレビや新聞などマスコミを通じて、伝えられたことだが、ここでは、下記を参照する:
「図録▽シャドーエコノミーの規模(OECD諸国推計)」
ここには、かくのごとく書かれている:
2011年の欧州危機の発火点となったギリシャでは、危機の発端が政府の財政赤字隠しであるが、ギリシャ社会には体質的に賄賂、脱税が横行していることが指摘されるようになった。例えばユーロ圏の債務危機対策の要となる欧州金融安定化基金(EFSF)の規模・機能拡充案をスロバキア議会が否決しそうになった時の新聞記事では「アテネ北部のお金持ちが住む地域で、プールのある家は一体何軒?とグーグルの衛星地図で数えたら……。役所の申告記録324軒に対し、1万6974軒を発見!プール付きの家には税金が余計にかかる。だから申告をせずフェンスで目隠ししていた。財政危機になり税務当局がやっと動いて発覚した冗談のような話は、ギリシャで横行する脱税を世界的に有名にした。スロバキアの人たちには許し難い。ギリシャ人はたいてい、平均月収8万円のスロバキア人よりリッチだ。元郵便配達員が財政危機で年金を減らされたと怒っているけれど、まだ10万円もらっている。財政危機は税金をちゃんと集めず使うだけ使った結果なのに、なぜスロバキアが助けないといけない? 多くの人たちが理解に苦しむ。」(毎日新聞「発信箱」2011年10月14日)
同じサイトには、「OECD20カ国のシャドーエコノミー規模の推計結果」を示す図表が載っている。
実に興味深い。
「財政危機やその恐れが近年問題となっているギリシャやハンガリー、スペインの値がなかでも高い点が注目される」というが、GDPに対して30%乃至その近くに達する規模の闇経済が(あくまで推測値だとはいえ)厳然として存在している。
← 女性のヌードに飢えている? そんな小生の心中を察して(胸中の懇願に応えて)か、昨日、「ルネ・マグリット「オランピア」返還!」といったニュース報道があった。せっかくなので、関連の記事を書いたっけ。
日本にしても、GDPに対して10%を超える規模の地下経済があるわけだ。
となると、消費税を上げなくとも、闇経済の一端をでも把捉できたら、毎年の赤字国債の相当規模分が賄える可能性があるわけだ(現実性はかなり薄いとしても)。
「財政危機と闘う南欧諸国は、幻の歳入(シャドーエコノミーにより毎年入ることのない税収)の一部でも徴収できれば、財政の健全化が可能です。しかも、公務員給与・医療・社会保障・教育など国民サービスや生活に直結する予算の削減や増税をせずに」というのだから、万が一にも可能なら、国の財政状況は一変することもありえないわけじゃないのである。
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