照葉(てりは)! あるいは常緑樹の堤防(後編)
ガブリエル・ガルシア=マルケスの『族長の秋 他6篇』に驚倒されたあとは、今、ヴァージニア・ウルフ著『灯台へ』(河出書房新社 池澤夏樹編「世界文学全集Ⅱ-01」には、『灯台へ/サルガッソーの広い海』が所収)を読み始めている。
ヴァージニア・ウルフの地の文章の際立つ個性。
マルケスも凄いが、ウルフも傑出している。
→ 山茶花やナナカマドなどなど、車道沿いの垣根は秋色が賑やか。花が少ない我が家だけに、樹木たちには頑張ってもらいたい。
学生時代だったか、初めてヴァージニア・ウルフの小説を読んだとき、退屈したのが嘘のようである。
常緑の樹木は、寒さに耐えて生き抜く知恵の固まりのように感じてしまう。
紅葉もせず、年中、緑の葉っぱを誇らしげに(?)繁らせている。
そういえば、昨日(5日)、常緑樹に関する話をラジオで聞きかじった。
ということで、ようやく本題(というほど、中身は濃くないが)に入る。
← ナナカマドの赤、今年は勢いがある。「燦燦と降り注ぐ秋の陽を受けて、紅葉が色鮮やかに輝いている様子」を「照葉(てりは)」と呼ぶのだとか。
「日本の海岸地域で良く見られる松並木(人工的な植林)は、常緑広葉樹に比べ、津波に弱かった」とか。「人工的な環境作りが津波被害を大きくしてしまった可能性もある」とも考えられるというのだ。
宮城県だったかの松並木が軒並み津波にやられ、僅かに残った一本の松も、海水の塩分で、どうやら延命が難しいとか。
昨夕の話は、仕事中だったこともあり、断片的にしか聞けなかった。
→ 何の木だったやら。黄葉? 橙葉かもしれん。それとも、単に枯れているだけか。
宮城県の被災地を視察したところ、「沿岸部にたくさん植わっていた針葉樹の松は、ほぼすべてが倒壊して、危険な流木になっている場合が多くあ」った。
一方、「根が深い常緑広葉樹は、ほとんどが津波にさらわれることなく、元気に生きていて、波の威力を破砕する作用に働くと予想され」るという。
松並木。
白砂青松とかで、松並木は、海岸での一つの原風景になっている。
景観からすると、可能なら再び、松並木を再現させたいとも思う。
← これまた、何の木だったか分からない。不思議な色に紅葉した。垣根沿いのバラやカエデなどの木々で、秋口までは、荒れ放題の裏庭の中を隠してくれていたが、今は、スカスカ。なので、仕方なく、裏庭を掃除した。
「津波と植物「緑の防波堤」|池田明子オフィシャルブログ「奥様はフィトセラピスト」」なるブログを参照させてもらう。
しかしながら、ここでは詳細を省くが、根の浅い針葉樹の松は、海の塩分にも火にも弱く、災害時には、被害を増幅しかねないというのだ。
津波の被害を受けた被災地では、津波対策のため、ダム(堤防)を作る。
その際、高さが問題になっている。
高いほうがいいに決まっている。
しかし、あまりに高いと景観が妨げられ、観光地としての復興がなり難い。
しかも、堤防が高いと、波も見えないし、海の様子も窺いづらい。
→ その裏庭には、杉の木、紫陽花、笹、ツゲ、などがある。この名称不詳の木も。多分、誰の目にも触れないだろうに、真っ赤な実が生って…。
要は常緑広葉樹の堤防を作るということである。
どうしても、松並木の白砂青松の光景が惜しくてならないのなら、松並木と常緑広葉樹とを適度に配分するなり、帯状に植えて行くなりするという工夫もあっていい。
昨夕の番組でインタビューされていた方が言うには、コンクリートの堤防は、時間の経過と共に必ず劣化していく。
一方、常緑広葉樹の堤防(グリーンベルト)は、時間が経つに連れ、育っていくし、何より、景観というメリットもあるわけである。
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コメント
一番上の写真の向かって左側の縁側はBLOG初登場ですね。
投稿: pfaelzerwein | 2011/12/07 21:03
pfaelzerwein さん
縁側(の画像)、初めて!
って、言われて、そうだったかなー。
まあ、紹介するには、古びすぎていて…。
と思って、検索してみたら、やや斜めの写真を載せたことがありました:
http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/2011/06/post-35bc.html
ちょっと、変わったところでは、「縁側の下の砂場」なんて写真も:
http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/2011/05/post-9354.html
投稿: やいっち | 2011/12/08 03:46
池澤夏樹個人編集の世界文学全集買いました。
ヴァージニア・ウルフもいいですが、お気に入りはジャン・ケルアックの『オン・ザ・ロード』です。
ビート世代の躍動をうつした青山南の新訳がすばらしい。
《心臓が痛くなってきた。気に入った子がこの広すぎる世界で別方向に行くのを見るといつもそうなるのだ。》(『オン・ザ・ロード』 p.113)
などいいですよね。
もう一冊好きなのがゴーギャンとその祖母を描いたマリオ・バルガス=リョサの『楽園への道』です。
《どこで生まれるかは偶然で、真の祖国はその人の肉体と精神で選ぶものだ。》(『楽園への道』 p.146)
など、ゴーギャンの生き方が巧みに描かれていて感動しました。
投稿: 瀧野信一 | 2011/12/08 05:23
瀧野信一さん
世界の文学の動向に疎い小生には(日本の文学にも疎いけど)、池澤夏樹個人編集の世界文学全集は、魅力的です。
瀧野信一さんは、全巻、買われたのでしょうか。
驚き。
でも、そうでなきゃね。
ジャン・ケルアックの『オン・ザ・ロード』も、可能な限り近い将来、読みたいと思っています。
瀧野さんの話で、ますます読みたくなりましたよ。
マリオ・バルガス=リョサの『楽園への道』も、遅かれ早かれ、読むだろう本の一冊です。
そういえば、今日もウルフの『灯台へ』を読み進めたのですが、中で、ジョージ・エリオットへの言及があって、ああ、そうだよ、ジョージ・エリオットだよと、改めて、エリオット熱が掻き立てられました。
大好きなジョージ・エリオット文学。
瀧野さんは、どうでしょう。
投稿: やいっち | 2011/12/08 21:25
世界文学全集は全巻買いました。
近所によい図書館がないのと、線を引いてページを折りながら読む癖があるためです。
毎月送られてくるのを楽しみにしていたものです。
ジョージ・エリオットというと、漱石が東京帝大で小泉八雲の後任で教鞭を執るとき、『サイラス・マーナー』をテキストに選んでいた記憶があります。
やはり、漱石と絡めて読むと、おもしろさが増すような気がします。
投稿: 瀧野信一 | 2011/12/09 02:36
瀧野信一さん
やはり、池澤夏樹個人編集の世界文学全集、全巻、変われたんですね。
毎月、送られている、それをひもとく。
楽しみですね。
小生は、個人全集は、揃えたくなる。
でも、世界文学全集のメリットは、知らない作家、普通なら読む機会がないだろう作家の作品を読むことにあるのでしょう。
可能なら、小生もトライしたいものです。
漱石のジョージ・エリオット講義は、知らないわけじゃないけど、ジョージ・エリオットは、漱石に関係なく、凄い作家です。
最初に読んだ『ロモラ』に衝撃を受けた94年の夏が懐かしい!
投稿: やいっち | 2011/12/10 21:44