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2011/11/16

チャイナシンドロームそれとも想定外シンドローム(後編)

 このたびの3・11事故を受け、『チャイナシンドローム』なる映画が、一部においてでも、評判になったという話しは、(少なくとも小生は)聞いていない(ネット上では、「チャイナシンドローム」なる言葉は散見されてきた。)。
 恐らくは、映画の内容上の劣化というより、題名の「チャイナ・シンドローム」が、国際上、米中関係上、差し障りがあるということだろう。

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← 『チャイナ・シンドローム』 ([DVD] ジェーン・フォンダ/ジャック・レモン:出演,  ジェームス・ブリッジス:監督 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)

 題名を、何か相応しいものに変更すれば、再放映も可能なのか。
 それとも、福島の事態が現在進行形なので、生々しすぎて、放映(上映)は無理なのか。

 映画が公開された当時は、原爆(の悲惨)を経験した日本において、よもやこんな事態に遭遇しようとは、原発推進派の連中も想像しえなかっただろう……か(一部の人は想定の中にあったに違いない。ただ、一般世間に対しては、原子力の平和利用として、安全・安心・クリーンを呪文のように唱えていたのだろう)。

 勉強の意味もあり、本書の中で見出した、『チャイナシンドローム』という事態についての記述を抜粋転記しておく。
 本書においては、その項には、「チャイナ・シンドローム――想定上最悪の原子炉事故」と銘打たれている。
(念のため、断っておくが、本書は刊行は2011年の10月だが、原書は2010年以前に書かれている。)

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→ 今の時期にしては、季節はずれの暖かさ。そんな中、自転車で買い物していると、こんな屋敷に遭遇。立派な塀もさることながら、築半世紀以上と思われる蔵に見惚れる。何か古文書とか、静かに眠っているようで、気になってならない。


 原子力発電(原子炉)に絡む事故として、まさに想定の範囲にあってしかるべき事故であり事態なのである:
 

「チャイナ・シンドローム」という言葉を最初に思いついた人は、変わったユーモアセンスの持ち主でしょう。チャイナ・シンドロームとは、考えうる最悪の原子炉事故を表す言葉です。(ほとんどの人たちはチャイナ・シンドロームよりもさらに悪い事態、つまり原子炉が核爆発することもあると考えているようです。しかし、すでに述べたように、原子炉のウランはそれほど高濃度に濃縮されてはいませんから、爆発するようなことはありえません。
 チャイナ・シンドロームは、通常は連鎖反応によって沸騰している水が、突然漏れ出してなくなってしまうことによって起きます。外に漏れ出してしまうと、沸騰する水はもうありません。「冷却水流失」事故が発生したら、どうなるのでしょうか。想像できますか。
 最初に起きる事態は、ほとんどの人にとって予想外のことでしょう。連鎖反応が停止するのです。というのは、冷却水は、中性子の速度を落とす減速材の役割も果たしているのです。水がなくなると、中性子は減速されません。すると、ほとんどの中性子はウラン238に吸収され、連鎖反応が続かなくなり、核分裂は停止します。
 連鎖反応は止まりますが、核分裂片からの「廃熱」はまだ放出されています。冷却水がないので、原子炉の温度はどんどん上がっていきます。ついには、燃料が溶融します。燃料は、容器を溶かしてその下にしたたり落ち、鋼鉄の原子炉容器の底に液だまりをつくります。燃料の液だまりの温度は、さらに上昇していきます。そして、句鉄の原子炉容器までが溶け出し、燃料は地面に落ちます。それでもまだ温度の上昇は止まりません。土や岩を溶かしながら、下へ下へと沈んでいき、最後には「中国まで」突き抜けてしまいます。
 というのは、あくまでも架空の話です。実際には、燃料が中国まで達することは絶対ありません。(そもそも、アメリカから見た地球の反対側は中国ではありません)。燃料はそんなに遠くまでいきません。なぜなら、燃料は拡散して、その結果温度が下がるからです。しかし、そこに至るまでに、燃料を環境から隔離する鋼鉄の容器が破られてしまいます。その結果、燃料ペレット内のガスがすべて大気中に漏れ出します。チェルノブイリでもっとも大きな被害をもたらしたのは、こうしたガス(とヨウ素などの揮発性元素)でした。
                                 (本書 p.275-6)

 言うまでもなく、実際に起きた福島原発の事故は、こうした経過を辿ったわけではない。
 というより、むしろ、もっと悲惨で深刻な事態に立ち至っている:
福島第一原子力発電所事故 - Wikipedia

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← 湧き水の豊富な富山。至る所に用水路が張り巡らされている。中でもこの水路は気になる。何処から来て、何処へと続くのだろう。水路をずっと辿って歩きたい。

 なにしろ、冷却水が津波で流され、予備電源も働かず、原子炉建屋が水素爆発で吹き飛び、その際、原子炉格納容器、さらには原子炉(その一部配管との接続部分)までがダメージを受けたのである。
巨大地震及び大津波つまり天災が原因で炉心溶融および水素爆発が発生するまでに至ったのも、米国メーカー設計の原子炉容器が大きく損傷して放射能が大量に外へ漏れだしたのも、本事故が原子力発電史上初めて」なのだ。

 上掲の転記文中に、「巨大地震及び大津波つまり天災が原因で」とあるが、切っ掛けは天災かもしれないが、その発生を想定外としたことは、歴然たる人災なのだという点は、敢えて銘記すべきだろう。

 さて、肝心の燃料棒は原子炉を突き破り、さすがに地球の裏側には至らないものの、行方も変化の仕方も定かではない。
 原子炉内が百度以下といっても、燃料棒が拡散して、結果的に低温状態になっているだけなのかもしれない。

 現状が分からないのである。

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コメント

こんばんは。
週刊朝日の取材団が現地に入りましたね。
驚くべき写真を掲載しましたが、結論として原発がやられたのは、津波によるものではなく地震によるものだったと。
であれば、東電は想定外の津波といういい方をしたように思いましたが、地震国日本で地震に耐えられなかったと。
驚くべきことですね。
福島は本当に死の町なのでしょう。
うちの親戚が二本松市に居るのですが連絡取れません。
家があるのに帰れない人達の無念を思います。

投稿: oki | 2011/11/16 22:04

okiさん

「結論として原発がやられたのは、津波によるものではなく地震によるものだった」というのが事実ならば、話は随分、違ってきますね。

というより、むしろ地震に耐えられない施設だったという事実こそ、恐ろしい現実だし、そうした現実に目を背けていた(背けさせていた)東電の姿勢は、もう、論外です。

福島に親戚が居るとなると、心配ですね。
小生には、福島には縁者はいないと思いますが、サラリーマン時代の同僚の出身地だったので、気になっています。
本人は、多分、今も東京在だと思うのですが。


それにしても、福島原発の放射能が、日本の全国に拡散しているというのは、予想されたこととはいえ、恐ろしいことです。
ドンドン、悲惨な現実が露見してきますね。

投稿: やいっち | 2011/11/16 23:16

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