風向きは変わったのね
あの暑かった夏は、今は遠く、我が家も石油ファンヒーターを使う日々が始まっている。
灯油を使うのに、何故、石油ファンヒーターという名称なのか、長年の疑問はさておき、今日は、ちょっと引っ掛かっているもう一つの小さな疑問をメモっておく。
← 我が家の内庭。カエデなどがようやく紅葉。でも、ちょっと元気がない?
あの夏八月だったか、タレント(今や過去の肩書きとなった?)の島田紳助が、暴力団と親密メール(交際)が露見したことで、芸能界を余儀なくされた騒動があった。
島田紳助は、いろいろあっても、トークに関しては天才的なところがあって(時に暴走気味になることも含め)、その毒のあるトークは、余人を以って代えがたいものがあった。
実際、(少なくとも小生は)島田紳助が仕切っていた幾つかの番組を全く見なくなった(見る気がしなくなった)。
さて、小生、島田紳助を擁護しようとか、そんなつもりでこの呟きを綴っているわけではない。
この十月、東京都などにおいても施行されたことで、暴力団排除条例が日本全国で施行と相成った。
島田紳助の逮捕も、警察(庁)が、芸能界(やテレビ業界)も含め、暴力団との闇のつながりを警告する意味合いがあったとかなかったとか、話題になった。
NHKの紅白の常連組の大物タレントでも、出場が危ぶまれたりしたものだった。
それが、なぜか(あるいは定期的な異動に過ぎないのか)、この条例の施行に熱心だった警察庁の安藤隆春長官が退任し、新長官に片桐裕次長(60)が就任した。
暴力団排除条例の本格的な施行に時期をあわせるようにして、警察庁長官も異動となった。
小生の中で、ちょっと、不穏な予感めいたものが過(よ)ぎっていった。
→ ミカンの木に実が二つだけ。一昨年は、笊(ざる)に二つ分も採れたのに、何故、収穫が乏しくなったのか、分からない。
もしかして…。
すると、案の定の変化が現れた。
長官が代わった途端(人事異動の時期と、マスコミが騒ぐ警察庁が対策に力を入れている問題の変化とが符合したのは、単なる偶然なのかどうか、小生には分からない)、マスコミで話題に急に登り始めたのは、自転車の問題だった。
自転車に絡む事故・事件は、以前から問題だった。
でも、ピスト自転車などがあまりにも都合よく、問題の俎上に載せられているのでは、という不審の念を押さえることはできないでいる。
自転車は、小生も大好きな乗り物だし、日常的に買い物に使っている(機会があったら、サイクリングもいい)。
でも、エコと健康志向の中、最適な乗り物の自転車は、社会の鬼っ子的な位置にあるのも事実。
社会が警察が、地域が、もっと真正面から自転車対策に乗り出すのは、悪いことじゃない。
というより、喫緊の課題だとも思う。
← 富山の市街地を守り見下ろす立山連峰。やわらかな風が気持ちいい。夏でもないのに、稀代の天才絵師・葛飾北斎じゃないが、「凱風快晴」なんて言葉が浮かんでしまう。
でも、自転車対策が騒がれる中で、芸能界(マスコミ)との暴力団との関わりといった長年の闇は、警察庁の主要な関心事から、遠く離れてしまったように思えてならないのだ。
警察庁長官が代わって、警察庁の力を入れる方面も変わるのは、理解できなくもない。
でも、警察庁の方針の変化は、何か背後に闇の力の影響を嗅ぎ取りたくなってしまう。
小生の臆断、憶測に過ぎないとは思う。
でも、例えば、「島田紳助を引退させた大阪府警「情報漏洩警官」が逮捕される」(NEWSポストセブン)なんて、テレビなどでは全く扱われないニュースに接すると、小生の憶測めいた疑念は、やはり当たっているのかと思われてならなくなるのだ。
逮捕された警官は、「2000年に念願かなって府警4課に異動。『人の懐に入り込むのが上手い』と評判でした。しかし、それがアダとなった。2005年頃、暴力団の情報源として、当時はI会の組員だった元役員と懇意になると、接待などを受けるようになり、逆に相手に取り込まれた」とか。
これって、サスペンス風な刑事ドラマにありがちな筋書きではないか!
→ G・ガルシア=マルケス/著『族長の秋 他6篇』(鼓直/訳 木村榮一/訳 ガルシア=マルケス全小説 新潮社) 「…それらはいずれも荒れきっていた。牛がずうずうしくうろつき回って、ビロードのカーテンを食らい、肘掛け椅子のサテンを噛みちぎっていたのである。壊れた家具や真新しい牛の糞がちらかった床の上に、聖者や将軍たちの威風あたりを払う肖像が投げだされているのが見えた。牛たちによって食い荒らされた食堂や、その糞で汚された音楽室や、おなじく牛たちによって無残に壊されたドミノ用のテーブルや、牧場の草のように噛みちぎられたビリヤードの台なども見えた。そして片すみには、風洞が打ち捨てられているのが見えた。それは、大統領府の内部に住む者たちが今は消えた海への郷愁に溺れないように、羅針盤上のあらゆる現象をでっち上げるためのものだった。至るところに鳥籠が吊り下げられ、前の週のある晩にかぶせられた睡眠用のカバーが、そのままになっているのが見られた。そして無数の窓を透かして、明けそめた記念すべき月曜日にまだ気づいていない、眠れる巨獣のような首都が見えた。その首都のはるかかなたの地平線まで、かつて海があったところまで、粗い灰で埋まった死の火口のような、果てしない平原が広がっているのが見えた」…。こういった文章が延々と、そう、全編に渡って続く。間違っても、名作とは呼びたくないが、驚倒すべき物語世界だ。なんだか、励まされ(るだけじゃなく)、影響されそう! 同じ、南米作家で独裁者の孤独を描いた、マリオ・バルガス・リョサの『チボの狂宴』とは、描く意図が違うとはいえ、やはり力量において雲泥の差を感じる。
まあ、小生の憶測はともかく、警察庁の取締りの力点が変わってしまったことだけは、確かのようである。
安堵の胸を撫で下ろしている向きも、少なからずいるのでは。
驚くべき、警察とマスコミ界と闇社会とのアウンの呼吸だ。
テレビでは報道しないだろうが、こんな記事もある:
「「ケツ持ち」「トメ屋」「相談役」で汚れ役を担う ヤクザが芸能界に浸透する「巧妙手口」」( 雑誌記事:@niftyニュース」
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コメント
暴力団排除条例で祭りの御輿の担ぎ手もいなくなる、と書いたのはサンデー毎日でしたが実際どうなのかな?
ともかくサンデー毎日は暴力団排除条例にはいろいろ書いていて正規の記事て書いて、同じ号でコラムニストが二人書いて、まぁ編集長止めないのかな。
岩見隆夫さんのコラムも面白い。
サンデー毎日が宇野さんの下半身のスクープを放った時、それを止めようとしたのが岩見さんだという。
理由は簡単で政治家のプライバシーは政治家の力量とは関係ないというのが岩見さんの持論だから。
雑誌は面白い。
さて作家の川上さんが結婚されたそうで。
それは愛でたいけど、3.11後文学のあり方も変わるような気がする。
少なくとも私小説というか自分のプライベートばかり主張する小説は僕の趣味ではない。
投稿: oki | 2011/11/30 23:18
okiさん
週刊誌などでは、(タイムラグもあるし)まだ暴力団絡みの記事が載っているようですね。
でも、テレビ(やラジオ)などは、一切、話題にならなくなっている。
どっちにしても、週刊誌などは、問題にならない。
大阪の橋下氏にしても、週刊誌で親が暴力団員だったとか何とか書かれたけど、選挙に影響しなかった。
テレビで話題になるかどうかが、分水嶺。
警察庁長官の人事異動と、警察庁が取り組む優先課題のシフトとは、やはり、符号するように思えてならない。
もっとも、これから捜査が進めば、何か、事件性のあるものが浮上するかもしれないという可能性はある…と思いたいのですが。
投稿: やいっち | 2011/12/01 04:12