「生物と無生物のあいだ:ニューヨークの振動」余談(前編)
福岡伸一著の『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)については、あくまで周辺余談的にだが、一昨日・昨日と、若干のことを書いている。
← 「月に2度、1日と15日に取り替える習わしになっている」という。お神酒(の徳利)や狛犬を磨きたて、榊(さかき)も庭から摘み取ってきた。なかなか立派な榊が育っていて、助かる。父が植えたのだろうか。もちろん、榊立ても綺麗にした!
小生ごときが本書について、正面きった書評など試みるつもりはない。
ただ、今日、本書を読了して、幾分なりとも書き足しておきたいという気になった。
特に本書のエピローグの一文を読んで、そんな気になってしまった。
前項において、本書は面白いけれど、もう少し図版(や写真)があってしかるべきだと書いている。
この手の本には挿画を求めたがる小生ならではの、あわよくばの不満に過ぎない(大方の読者は本文だけでこと足れりと思っているのだろうか)。
本書が刊行された当時、随分と話題になっていたようである(小生が迂闊にも時流に乗れなかった…とも言い切れない。思い返したら、当時、本書の著者が結構、テレビに登場する機会があって、小生も見た(聞いた)ことがあったのだから)。
その際、どうも、筆者の文章家としての力量も含め、評判になっていたようだ(この点には、小生は、気づかなかった。なんたって、当時、福岡伸一氏の本は、本書を含め何も読んでいなかったのだし)。
だとしたら、本書は詩的な文章を書くセンスに溢れた著者の本として、挿画(挿入図版)の多寡なんて、全くの論外の感想に過ぎないことになる。
小生のもっと図版(写真)を! という欲求は、とんでもなく筋違いだ、ということになるわけである。
何しろ、本書は、かの内田樹が絶賛の本だというのだから。
→ 仕事明けの今日は、お昼前から、神棚の清掃に始まって、庭木の剪定に没頭。まずは、お神酒の瓶や神棚の狛犬(?)を石鹸で長年の汚れを洗い落とした。
上記したように、本書の末尾を読んで、なるほど筆者の詩的な文章家としての資質を遅まきながら、認識させられたというわけである(ただし、そのエピローグの一文は、同時に将来生物学者となるに至る資質をも如実に示す)。
せっかくなので、小生をそう感じさせるに至った当該の一文をここに転記して示したい。
その前に、本書においての(著者の主張の)眼目は、あるいは生き物を特徴付ける眼目は、「動的平衡」にあると思われる。
そして、以下のような下りに至る:
私はここで、シェーンハイマーの発見した生命の動的な状態 dynamic state という概念をさらに拡張して動的平衡という言葉を導入したい。この日本語に対応する英語は、 dynamic equilibrium (ダイナミック・イクイブリアム)である。海辺に立つ砂の城は実体としてそこに存在するのではなくそこにある動的な何かである。私は先にこう書いた。その何かとはすなわち平衡ということである。
自己複製するものとして定義された生命は、シェーンハイマーの発見に再び光を当てることによって次のように再定義されることになる。生命とは 動的平衡 にある流れである。
そしてただちに次の問いが立ち上がる。絶え間なく壊される秩序はどのようにしてその秩序を維持しうるのだろうか。それはつまり流れが流れつつも一種のバランスを持った系を保ちうること、つまりそれが動的平衡(イクイリブリアム)を取りうることの意味を問う問いである。
← 福岡伸一著『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)
この辺り、小生の説明が随分と端折ったものなのは、申し訳ない(ネットでその手の説明は見つかるだろうから、そちらに譲る)。
(しかも、著者は生命を巡っての考察を更に深めていくのだから、より前後の脈絡が大事なのに、せっかちな小生は省略してしまおうとしている。)
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