ゲロッパされちゃいました!
ゲロッパ! なんてタイトルにしたけど、別に、ジェームス・ブラウンのこととか、あるいは8年ほど前に公開された映画『ゲロッパ ! ( Get Up !)』を話題の俎上に載せようってわけではない。
← お客さんを下ろした先で、料金や時間・場所などの記録を日報に書いていたら、近くに小鳥たちの姿が。しきりにエサを探しているようで、小生のことなど無視!
実は、尾篭にも、ゲロを話題にしようというのである。
別に好き好んでゲロに焦点を合わせようってわけじゃない。
実は、過日、とうとうお客さんにゲロ(!)を車内で吐かれてしまったのである。
小生は、タクシー稼業に従事している。
東京で95年の9月に従事し、07年の12月までタクシー業に携わっていた。
家の事情で帰郷し、3年は、家事に勤しむ必要があって、バイト(代行業や新聞配達)に携わっていた。
その事情も昨夏、変わってしまい、身辺整理も付いたので、今年の2月に富山にて改めてタクシー稼業に就いたというわけである。
東京での最後の12年余り、タクシー稼業を生業としてきたのだが、その間も、タクシーの車内で吐かれたことがなかったわけではない。
大抵の客は、吐き気を催したら、運転手にその旨を告げてくれる。
車内には、急な吐き気をこらえられなくなった場合(特に高速道路上など、路肩に車を止められない場合など)に対処するため、ゲロを吐くためのビニールの袋を用意している。
客の苦しさに対応するため、可能な限り速やかに路肩に止める。
お客さんは慌てて降りて、歩道の植え込みの陰に潜んで、あるいは、その余裕もないときは、とにかく溝(ドブ)に顔を向けて、げーげーするわけである。
吐くだけ吐くとすっきりする。
車内に戻ると、大抵はもう、吐き気は飛んでしまうものである(小生自身の経験からしても、不思議に吐き気の峠は越えてしまうもののようだ)。
富山でタクシー業に携わって、約八ヶ月となる。
その間にも、車内で吐き気に襲われ、急いで車を路肩などに止め、お客さんが溝(みぞ)などに蹲るようにして、げーげーする場面に遭遇したこともある。
その方は、あまりに苦しそうだったし、ハンカチを所持していないようだったので、(自分用に)用意してあったウエットティシューをパックごと、差し上げた。
→ 富山駅北口へ。すると、何やら人だかりが。観ると、富山新聞主催(後援?)の、「富山あいの風 リレーマラソン」のスタート(ゴール)地点だったのである。まさにスタート直前のようだった。小生は走るのが大好き(だった)。大学(母校)の年末恒例の20キロマラソンとか、青梅マラソン(30キロ)、水野マラソン(5キロ)とかに出場したこともある。マラソンではないが、富士登山に挑戦したこともある。
あるときなど、その場に遭遇した若者が、近くにあった自動販売機から水のペットボトルを自分のおカネで買って、その方に提供する、なんて場面を目撃することもあった。
そんな若者もいるんってことに感心した…と同時に、そこまで思いつかなかった自分のふがいなさを痛感した。
というわけで少なくとも富山での八ヶ月ほどのタクシー営業の中では、車内でゲロをされるなんて悲惨な目に遭うことはなかった。
それが、とうとう、悲惨な事態に見舞われてしまったのである。
(以下、プライバシーの都合があるので、一部、乗車地点・降車地点など一部の具体的状況を割愛する。)
そのお客さんは、(客のプライバシーを晒すわけにはいかない。日本のトップ)バンクの一つの行員で、今月(十月)一杯で定年退職される方なのだった。
吐き気を訴えてくれればいいのに、訴えられたときにはもう既に吐かれたあと、何を(弁解めいたことを)言われても後の祭りなのだった。
静かに吐かれ、げーという呻き声を発することはなかった。
堪えきれないオシッコを漏らした、というふうだったのである。
← 「富山県水墨美術館」 その近くまでお客様を迎えに行った。待機している間に、向かい側にあるコンビニから、この美術館を撮影。「水墨画などを鑑賞する「場」とされてきた床の間など日本家屋の特徴的な生活空間を整備し、作品をその空間の中に展示することより、失われつつある日本文化の美を再認識するのにふさわしい美術館」ということで、この施設を訪れること自体を(も)目的にする方もいる。
その方の家に着いた。
泥酔されていて、一人では車を降りられそうにない。
体格のいい方で、小生が手助けするだけでも降りのには危なさを感じる。
その家のインターフォンを押したら、奥様や娘さんが出てこられた。
旦那様が泥酔し、車内で吐かれた旨を告げると、「まあ、まあ、迷惑をおかけしてしまって…」などと、さも申し訳なさそうに仰られる。
が、だからといって、迷惑を掛けたお詫びを小生に向かってするわけでもない。
結果的にタクシー代しか、受領することはできなかった。
その日は金曜日、下ろした時間は、夜の九時ごろである。
金曜日の夜は、タクシー(ドライバー)にとって、週で一番の稼ぎ時である。
土日はもちろんだが、他の週日より二割は多く、売り上げを期待できる。
→ 富山駅北口から出発する富山ライトレールの「ポートラム」。人気があって、撮影する人が絶えない。背後の建物は、富山市芸術文化ホールである「オーバードホール(AUBADE HALL)」。過日は、河村隆一のショーがあった。
車内にゲロされたら、当然ながら、その車で営業はできない。
お客さんを下ろした後、すぐに表示を「回送」にし、急いで会社(営業所)に戻る。
車の窓は全開にして、匂いが篭らないようにしておくのは言うまでもない。
他の運転手が金曜日の夜とて、売り上げを伸ばしているだろう時間帯に、営業所の隅っこで、一人寂しく洗車である。
普段の洗車は、ゴムの手袋など嵌めないが、ゲロされた車内を洗うとなれば、グローブの装着は絶対である。
汚されたシーツを交換し、ゴムマットを洗い、床を洗い、座席を中心に同僚に借りたファブリーズで匂いを飛ばし、さらに、今度は窓を閉め切って、車内の換気をする。
最後に同僚に車内の匂いを確認してもらって、営業に差し障りのないことを確認する。
それでも、まだ、何か見落としがあるかもしれないので、改めて窓を開けて、換気しつつ、車の様子を確かめる。
お客さんを下ろしてから、回送し洗車などを済ませて、心機一転、営業エリアに戻るのに、都合、一時間半ほどか。
たまたまお客さんを下ろした地点から営業所まで15分ほどで戻れたので、これくらいの時間で済んだのである。
ホント、無駄に費やされた一時間半、それも、花の金曜日の夜の営業時間帯をみすみす失ったその対価を弁済して欲しいものである(逸失利益は数千円か)。
ただでさえ、景気が悪く売り上げの伸びない日々を懸命に頑張っているのだよ。
← 「高岡古城公園」裏の脇道にて小憩。 (「富山県高岡市にある自然公園:高岡古城公園 公式ウェブサイト」参照)
(定年退職が迫っているとはいえ)あんなメガバンクの社員が、貧乏タクシードライバーに対して、モラル(社会的常識)の欠片もない仕打ちをするとは。
ホント、小生こそゲロッパしたいよー! である。
非関連拙稿:
「ゲロッパといえば」
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コメント
面白すぎる。
前半でふきだしてしまいました。
甚だ不謹慎なコメント、ご容赦ください。
ネットに復帰するにあたり、ペンネームを滝川から瀧野に戻しました。
また、よろしくです。
投稿: 瀧野信一 | 2011/10/26 04:09
小説家の瀧野信一さん
ネット復帰、待ってました、です。
雑文をダラダラ綴っています。
たまにでも、気合を入れに来てくださいね。
それにしても、okiさんの動静が分からず、心配です。
投稿: やいっち | 2011/10/26 21:11
はい、こんにちは。9/14から一ヶ月以上入院していました。
退屈で本を読むかラジオを聴くかしかありませんでした。
北海道出身のとび職人が同室でいろいろ教わりました。
弥一さん、雪おろしの時はちゃんと安全帯着けたりとかしていますか?
さてタクシーの中の嘔吐ですか、そのお客に賠償求められないのですかね。
会社の方針のなかにありませんか?
いやあ入院している間にもいろいろありましたが、今度は自転車の運転が社会問題になってますね、弥一さん危ないと思われたことはー。
投稿: oki | 2011/10/28 12:36
okiさん
おお、噂をすれば、何とやら、ご本人、登場です。
一ヶ月以上、入院していたとは、いきなりのびっくり。
本を読むか、ラジオを聴くか…。小生の仕事中の事情と同じですね。
読書、進みましたか?
お体、もう回復?
雪下ろし、命がけでした!
安全帯、確かにあったほうがいいね。
タクシー車内でのゲロは、ドライバーの裁量の範囲で、会社は関知しない。
自転車、原則、車道を走れって。
理屈は分かるけど、車道を走るなんて、怖いですね。
自転車の利便性は高いけど、鬼っ子的存在。
とにかく、他人に迷惑を掛けないよう、安全に走るだけです。
投稿: やいっち | 2011/10/28 21:45