九月の雨のこと(前編)
九月になって、雨の日が増えてきた…気がする。
気がするだけなのか、実際、八月までと比べて多いのか、分からない。
九月の雨というと、夏場の雨とは違うから、雨の印象が強くなり、実際に降った回数以上に、雨の日が多いなと感じる…のだろうか。
九月の雨は、夏の真っ盛りの頃の雨とは随分と違う。
夏の雨は切望の果ての雨である。
日中の暑さどころか、宵闇の頃を迎えても、夜になっても、真夜中になってさえ、熱気と湿気が家の内外に篭っていたり、肌や衣服に纏わりつくようで、うんざりする。
通り雨でいい、夕立でいい、なんでもいいから、一雨降って欲しくなる。
それも、中途半端な雨じゃ、困る。
弄(なぶ)るように、パラパラと降って、その水分が呆気なく蒸発して、たださえ湿気にうんざりしているのに、その湿度を高めるような雨では、反って迷惑なのである。
雨に向かって、天に向かって、迷惑だ、なんて言っても、甲斐がない話だが。
夏場に降る雨は、短時間なら、雷と一緒でも構わないから、周囲一帯が濡れ、気温が一度でも二度でもいいから、下がるような雨であって欲しいわけである。
雨雲が去って、元の木阿弥のような夏の日が舞い戻ることは分かりきっているのだけど、それでも、一服の涼は嬉しいのである。
夏場の雨なら、通り雨と思って、短時間なら傘だって差さないで歩くことも平気だったりする。
それが九月の雨となると、何か寂しさの念を伴っているように感じられる。
一雨ごとに、あれほど暑かった夏が遠ざかり、秋の到来を告げないまでも、予感させる。
それどころか、寄る年波なのか、一雨ごとに秋を一足飛びに越えて冬の到来をも怯えてしまう。
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