秋茄子と言えば(前編)
秋茄子と言うと、秋茄子は嫁に食わすなという昔からの言い伝えというか、諺がある。
意味合いは、一頃は、「秋茄子はとっても美味しいので嫁には食べさせるのはもったいない」とか、「秋茄子は種が無いので嫁に子供が出来ない事を気遣う」などという意味なのだと、言い習わされたりもしたものだ。
→ 東日本大震災を受け、一時は中止の憂き目に遭うと言われていた、富山市の花火大会が、何とか予定通り、8月1日(月)の夕方から夜にかけて、幸いにも開催された。正式名称は、「第65回北日本新聞納涼花火(富山会場)」。
クイズなどによく採り上げられ、今では、「ナスは、体を冷やすので食べ過ぎるのは体に良くない」ので特に嫁には食べさせないほうがいいのだという思いやり乃至は知恵の含まれた諺だと理解されてきている(この俗説や説明が妥当なものかどうかの確認は未だ行っていない。嫁に対する姑の意地悪だという説があるのは、言うまでもないだろうし)。
泉鏡花に『雁われの秋茄子は所帶の珍味』という極めて短い作品がある。
この小品を読むと、「雁《がん》われの秋茄子《あきなす》は、鮎《あゆ》の味《あぢ》がすると思《おも》へ、所帶持《しよたいもち》の珍味《ちんみ》なり」とある。雁われの秋茄子は鮎の味がするというが、雁われの秋茄子とは、どんなものか、小生はよく分からない。
同じく、この作品を読むと、明治の頃には、「鰹《かつを》の鹽辛《しほから》、烏賊《いか》の鹽辛」とか、「納豆」売りの声が街中で聞こえたのだと分かる。
イカの塩辛は好物で、昔はよく食べたものだったが(塩分が濃いので、今は控えている)、鰹の塩辛というのは、食べたことがないので、一度くらいは試してみたいものである。
それにしても、この頃は、金魚売りも風鈴売りの姿も見ない。
せいぜい、「棹や、青竹」(「竿や~、竿竹屋~」とも)の声くらいのものか。そんな風情のある時代ではないと言うことか。
← 小生が撮影した場所から花火大会の会場の方角を遠望すると、その直下に結婚式場が。まだ式の真っ最中だった。富山では憧れの式場だとか。
さて、言い忘れたが、小生は、ナスが嫌いだった。
食わず嫌いだった。しかも、嫌いなのはナスだけではない、小生のは度を越していて、ナスどころか、野菜を含め、凡そこの世に食べるものが何もないくらいにありとあらゆるものが嫌いだった。
食べられるものは、御飯と具のない味噌汁か御汁(おつゆ)くらいのもの。御飯にマヨネーズか、それとも味塩を振りかけて食べることしかできないところまで追い詰められた。
ここまで来ると、偏食という生易しいものではない。ほとんど拒食症である。小生が保育所の頃か、それとも小学校に上がった頃のことだ。そうそう、御飯に醤油を掛けて食べることもよくあった。オカズなど一切、箸を付けない。
野菜の類いが、牛蒡から大根からニンジンからフキから、何もかもが嫌いだったのだ。確か、小生はついに腎臓を壊して入院したことさえあった。
それが少しずつ食べられるようになったが、それでも野菜はダメで、御飯に卵とか、肉とかコロッケとかがせいぜいだった。小学校の終わり頃だったか、永谷園だったかの振りかけなるものが売られ始め、小生は御飯に振りかけというパターンに凝ったことがある。何のことはない、マヨネーズや味塩や醤油が振りかけに変わっただけなのだが、それでも、海苔も入っているし、多少は栄養面で進歩したことになる…のかどうか。
そういえば、ラーメンでも、ネギは残すし、シナチクも残す。たまにモヤシの入っているラーメンもあったりするが、当然、もやしなど口にするはずもない。
そんな小生に<革命>の時代が来たのは、大学生になってから。小生は下宿暮らしとなった。同じ下宿には郷里を同じくする者もいるし、そうでなくてもすぐにみんなと友達になってしまう。
朝と夕食の二食の賄い付きの下宿。下宿して、すぐに驚くべきことに、八宝菜なるものが出て、魂消てしまった。
小生は偏食家ではあるが、見栄坊でもある。小生は御飯はともかく竹の子やニンジン、木耳(きくらげ)などの具に関しては、噛むことを一切せず、ひたすら飲み込み、丸呑み作戦で乗り切ったものだった。
→ 小生が花火見物をした場所は、「富山県富岩運河環水公園」の一角である。絶好のデートコース、散歩コースである。スターバックスコーヒーもあるし、野外劇場もあれば、人気のある結婚式場もある。
カレーライスも、玉葱やニンジンがたっぷり入っている。入っているだけではなく、我が家のように具の原型がなくなるまで煮込まれているわけではない。そんなものでも残さず<食べた>。
下宿生活は二年間を経験した。この二年間が小生の食の上での訓練の時期となり、好き嫌いはほとんど変わらなかったのだが、食べられるか否かということでは、ゲテモノ以外は基本的に何でも食べられるようになった。
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