石倉町延命地蔵尊(前編)
富山市でも桜並木の美しさで有名なスポットの一つに、松川やいたち川沿い、そして神通川沿いの土手道がある。
春には、これらの川の土手に沿って歩けば、ずっと桜並木を愛で続けることが出来る。
広い空、川面、土手、桜並木…。
← 桜越しのいたち川。2008年4月6日、撮影。「富山県富山市を流れる延長約12kmの河川。常願寺川と神通川という富山の2大河川を結ぶ川である」(「いたち川 (富山市) - Wikipedia」より)。小生の家もこの2大河川の間の扇状地に位置している。
そのいたち川の土手道では、ムクゲが過日より満開である。
仕事の途上、その土手沿いの道を走るので、通勤のたびに、ムクゲなどの花を楽しむことができる。
そのいたち川の一角に、「石倉町延命地蔵尊」がある。
「観光とやまねっと - おすすめコース」によると:
いたち川沿いのわき水の中でも有名なのが石倉町延命地蔵尊の水。大洪水のときに立山から流された地蔵尊像がご本尊という。昭和二十年八月の富山大空襲のときにも尊像は無傷で残った。霊験あらたかな水を求めて多くの人が訪れている。
この富山大空襲は、東京大空襲に匹敵する、苛烈なものだった。
アメリカ軍の計算され尽くした、残虐極まる空襲が、東京と並んで富山にもなされたのだった。
本来は、原爆を投下する予定の地だったから、だとも言われている。
それが、当日の天候で、投下の地の変更を余儀なくされ、長崎に投下された。
富山大空襲は、原爆投下がならなかった、その代償として、徹底した空爆となったわけである。
→ 同じく、いたち川。「宮本輝の小説「螢川」の舞台となった川である」。拙稿に、「宮本輝著『泥の河・蛍川』雑感」がある。
「観光とやまねっと - おすすめコース」によると、「富山は水とともに歴史を刻んできた街。いたち川沿いはきれいなわき水が出ていて、地元の人たちが毎日のように汲みにやってくる」という。
実際、朝早くからはもちろん、真夜中にも、自転車などで湧き水を汲みにやってくる人影に遭遇することがあったりする。
富山市は、水の町を標榜し(ようとし)ているが、富山県は、湧き水の豊富な土地柄なのである。
なんといっても、三千メートル級の山々に囲繞されているし、富山湾は、砂浜が遠浅からは程遠く、海岸線を離れると、一気に千メートルの深みに達する。
つまり、富山県は、落差四千メートルの急斜面の扇状地に成っているわけである。
里もだが、山々への数メートルを超える積雪もあって、湧き水も豊富なわけである。
実際、「旧立山街道を歩き、石仏と語ろう!」によると、「いたち川周辺には「大泉」「清水」「泉町」と言った水にまつわる名前が付いた町名が残ってい」て、「いたち川は恵をもたらす反面、時には暴れ川となり数多くの犠牲者を出したこともあ」るのだとか。
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