« 一周忌の夏(後編) | トップページ | セミ時雨の夏はいつ?(前編) »

2011/07/12

読書に暑さ忘れる ? !

 一昨日、読了したサイモン・シャーマ著の『風景の記憶』(高山 宏/栂 正行【訳】 河出書房新社)に続き(あとがきなどは、今朝未明)、今日からはポール・オースター著の『オラクル・ナイト』を読み始めた。

2011_0712071003tonai0049

→ ゴーヤが結構、育ってきたので、今朝、ネットをダブルにした。これでゴーヤ(や朝顔やマンデビラ)がどんなに育っても大丈夫?

 サイモン・シャーマ著の『風景の記憶』は、実は、再読である。数年前に刊行直後に既に図書館で借り出して読んでいる。
 浩瀚な本だが、中身はもっと濃い。

4309255167

← サイモン・シャーマ著の『風景の記憶』(高山 宏/栂 正行【訳】 河出書房新社) 一度、数年前、図書館で借り出して読んでいる。が、本書の素晴らしさに、大枚をはたいて入手し、三週間以上を費やして再読したのだった。

 歴史をアカデミックな歴史学なら無視するか、軽視するような細部のエピソードや余談に臆面もなく、というよりとことん付き合っていく、物語を語るように描いていく。
 歴史を出来合いのものじゃなく、その都度に生きている人々の目線で読み込んでいく。
 人々が彼らの生きた時代に眺めた風景は、その当時に作られた物語や世相の裏返しだったり、その時代に語られている物語の投影され織り込まれた、記憶と想像の産物なのだということ。

 風景は、客観的にあるものじゃなく、人々の思い入れなしにはありえない。
 人が生活し移動する範囲の風景は、自然であって、自然ではない。
 人の手が加わるか、いずれにしろ影響を被っている。

2011_0712071003tonai0051

→ 我が家の、玄関先から見渡せる庭を彩るのは、今は、ムラサキツユクサを除くと、今はアガパンサスの淡い紫色だけである。

 人は眺めたいもの、読み取りたいものを風景に求めるし、時に人は望ましい風景を創出さえする。
 神々の山がやがて、政治的に征服され測量されつくした果てに、登攀と登山と、そして観光と眺望の対象としての、地上の山へ変貌を遂げていく。
 日本の古寺の侘びた佇まいも、日本人の長い歴史と文化の堆積の果てにある。

 
 シャーマの『風景の記憶』は再読だが、シャーマの本を読むのは、二冊目である。
 昨年末から年初にかけて、サイモン・シャーマ 著の『レンブラントの目』 (高山 宏 訳 河出書房新社)を読んでる。
 これまた700頁ほどの大部な本で、読み応えがありあまるほどにあった。

521714

← ポール・オースター/著『オラクル・ナイト』柴田元幸/訳 新潮社) 内容もだが、装丁もいい。

 さて、今日からは、好きなポール・オースターの本『オラクル・ナイト』を読み始めている。

 彼の本は、全て図書館で借り出す形で、既に四冊、読んでいる。

 以前の日記を引用すると:

 最初に手にしたのは、『幻影の書』(柴田 元幸訳 新潮社)で、この本でオースターの世界に魅せられ、早速、二冊目として『ムーン・パレス』(柴田 元幸訳 新潮社)を読み、ますます深入り、三冊目の『偶然の音楽』(柴田 元幸訳 新潮社)を手にした頃にはもう彼の虜になっていた。
 四冊目は、小生としては初の彼のエッセイ集である『トゥルー・ストーリーズ』(柴田 元幸訳 新潮社)を夜毎、読んでいた

 彼の書き手としての力量は納得付くだし、一冊くらいは所蔵したいと思い、とうとう日本語訳としては新刊の『オラクル・ナイト』を書店で購入し、今日から読み出した、というわけである。

2011_0712071003tonai0055

→ そのアガパンサスに、蝶々も魅せられているようだ。

 なかなか思い通りには本は買えないが、月に一冊か二冊なら、なんとか手が出る。
 もっと他に読みたいときは、所蔵する本の中から物色する。
 十数年前、あるいは三十年以上も前に買って読んだ本を再読するのも、結構、楽しい。
 内容を忘れて新鮮な気持ちで読めることもしばしばだが、そうでなくても、古い本も今の自分が読むことで、中身の手応えも違ってくるようである。

|

« 一周忌の夏(後編) | トップページ | セミ時雨の夏はいつ?(前編) »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

写真日記」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
暑い日が続いています。今年の暑さは節電もあってかなりキツイです。
浅草サンバ祭りは中止となってしまいました。みんなで元気を出すためにお祭りは絶対やるべきだと思いますが!
本は私も10年程経ってから読み返す事が時々あります。面白いもので感じ方が全く違ってきますね。
1回忌でしたか。色々と思い出が蘇るでしょうね。

投稿: シゲ | 2011/07/13 19:38

シゲさん

節電の意識、富山はやや希薄のようです。
それでも、心がけていますが。

浅草サンバカーニバルの中止は、非常に残念です。
あまりに早計な判断でしたね。

昼間のイベントですし、東京から元気を、ということで開催して欲しかったです。


読書、新しい本を読むのも楽しいし、以前、読んだ本を読み返すのも、それはそれで楽しい。
中には、前に読んだってこと、忘れてる場合も、結構、あったりして?!

投稿: やいっち | 2011/07/13 21:26

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 読書に暑さ忘れる ? !:

« 一周忌の夏(後編) | トップページ | セミ時雨の夏はいつ?(前編) »