ヘビは我が家の守り神(後編)
狭い穴の中にヘビが数匹、とぐろを巻いていて、絡み合うように、そして捩れ合うようにして、輪の形を描いていた。
ガキ連中のリーダー格の某が、ヘビを懲らしめだした。
理由があったとは思えない。
奴にしても、ヘビが怖いし、同時に何か不気味で目障りで、黙って通り過ぎることができず、ヘビ(たち)を苛めだしたのだった。
← 小島 瓔礼 (著) 『蛇の宇宙誌―蛇をめぐる民俗自然誌』(東京美術) 「蛇に対して我々が抱くアンビヴァレンス―畏敬と憎悪、混沌と秩序、死と再生、そして神聖にして邪悪なもの。人は蛇になにを仮託してきたのか」といった本。小生が読んだ蛇絡みの本の中の白眉。…といっても、91年刊のこの本以降、蛇絡みの本格的な本は物色していない。西洋では(キリスト教以降は特に)悪魔の化身、東洋(日本)では守り神、地の神、地の象徴的存在。とぐろを巻くことに宇宙のシンボルを読み取ってしまう…。
持ち合わせていたのか、何処かの家の庭から持ってきたのか、何かの木の切れっ端か棒でヘビを突っつき、あるいはヘビに向かって石を投げつけたりし、最初はのた打ち回っていたのが、やがてヘビたちは血を流し、動きが鈍くなり、ついには微動だにしなくなってしまった。
ヘビを苛める悪ガキの一人に小生が居た。
小生もこわごわ、ヘビを苛めた…はずである。
覚えていない(覚えていたくなかったのかもしれないが)。
その日だったか、それほど日にちの経ない或る日、小生は家のトイレへ向かった。
昼間だった。茶の間から廊下を歩くと玄関の土間に繋がる。
その玄関(土間)脇にトイレへの通路がある。通路の脇には、農作業のためのやや広い土間がある。
→ 雑草なのだろうか。雨などで数日、庭の世話を怠るだけで、謎の植物が育ってしまう。でも、とにかく、可憐だ。
通路はトイレへも繋がるし、農作業の土間への入り口でもある。
トイレに繋がるその通路は、当時既にコンクリートで固められていたような気がする。
あるいは、モルタル風な、一見すると土ではないような固い面だったのかもしれない。
その通路には、簀の子(スノコ)が渡してあった。
簀の子を踏んで、トイレへ、あるいは土間へ向かうわけである。
その日、何故なのか理由は覚えていないが、簀の子を持ち上げる羽目になった。
誰かに言われたのか、気まぐれでなのか、簀の子を持ち上げようとしたのは小生だった。
簀の子を持ち上げようと、ちょっと片面をずらした途端、何匹ものヘビがとぐろを巻いているのを目にしたのだった。
← 今日は父の月命日。仏壇に花を供え、住職に来て貰って、読経。お祈り。せっかくなので、お墓の掃除。先日、除草剤を撒いておいたので、蔓延る雑草も毟りやすかった。お墓のある一角の傍を流れる農業用水路。昔は、ここで「おしょらい」をやったものだった。
二匹(以上)のヘビ、とぐろ!
あの日、ヘビたちを苛めて殺してしまった(多分、死に至らしめたはず)、その仕返しにあの世からヘビたちが我が家へやってきた!
小生には、そうとしか思えなかった。
爾来、親か誰かに言われた、ヘビは我が家の守り神という発想を断固、守っている。
万が一、家に限らず何処でヘビを見かけようと、敬して近寄らず、まして関わらずを通している次第である。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 柴ストーブを脇目に数学エッセイを堪能する(2024.12.10)
- 俳優の中山美穂さん死亡(2024.12.09)
- しらすとちりめんじゃこの違い(2024.12.06)
- ハン・ガン著『菜食主義者』を読んだ(2024.12.05)
- 「日本航空123便墜落事故」(事件)の真相解明を!(2024.12.02)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 柴ストーブを脇目に数学エッセイを堪能する(2024.12.10)
- 俳優の中山美穂さん死亡(2024.12.09)
- しらすとちりめんじゃこの違い(2024.12.06)
- ハン・ガン著『菜食主義者』を読んだ(2024.12.05)
- 「日本航空123便墜落事故」(事件)の真相解明を!(2024.12.02)
「思い出話」カテゴリの記事
- 入浴も体力消耗の因?(2024.11.28)
- タクシードライバー談義(2024.11.19)
- 玄関の戸(鍵)を交換(2024.11.17)
- 柳 宗悦著『民藝四十年』に学ぶこと多し(2024.11.11)
- 早くも暖房に縋る(2024.10.21)
「駄洒落・戯文・駄文」カテゴリの記事
- 柳 宗悦著『民藝四十年』に学ぶこと多し(2024.11.11)
- 生け垣の補修はしたものの(2024.10.01)
- 「昼行燈2」を夜になって書いた(2023.09.16)
- 新しいスマホで野鳥を撮る(2023.09.14)
- 光は闇を深くする(2023.09.10)
「恋愛・心と体」カテゴリの記事
- 柴ストーブを脇目に数学エッセイを堪能する(2024.12.10)
- 俳優の中山美穂さん死亡(2024.12.09)
- しらすとちりめんじゃこの違い(2024.12.06)
- ハン・ガン著『菜食主義者』を読んだ(2024.12.05)
- 「日本航空123便墜落事故」(事件)の真相解明を!(2024.12.02)
「写真日記」カテゴリの記事
- 柴ストーブを脇目に数学エッセイを堪能する(2024.12.10)
- 俳優の中山美穂さん死亡(2024.12.09)
- しらすとちりめんじゃこの違い(2024.12.06)
- ハン・ガン著『菜食主義者』を読んだ(2024.12.05)
- 「日本航空123便墜落事故」(事件)の真相解明を!(2024.12.02)
コメント