なぜか、「ぜんざい」の話(後編)
「ぜんざい - Wikipedia」によると、「ぜんざい(善哉)は、主に小豆を砂糖で甘く煮て、この中に餅や白玉団子、栗の甘露煮などを入れた日本の食べ物」とある。
→ 隣家の庭で見つけた謎の花。南天の木の根元に一輪だけ、咲いていた。
それはまあいいとして(日本各地でさまざまなヴァリエーションがあるらしいが)、ここでは、「ぜんざいの語源」の項に注目する。
主に2説あって:
1つは仏教用語である「善哉(ぜんざい、よきかなとも読む)」にちなんだ説である。一休宗純が最初に食べたとされ、あまりの美味しさに「善哉」と叫んだとする説。「善哉」とは仏が弟子を褒める時に使う言葉である。もう1つは、出雲地方の神事「神在祭」で振る舞われた「神在餅」を由来とする説である。「神在餅」の「じんざい」が訛り、「ぜんざい」へと変化し京に伝わったと言われている。
さらに、後者については、「島根県松江市鹿島町の佐太神社のホームページ[1]にはこのような記載がある」として:
11月25日は神々をお送りする神等去出(からさで)神事が執り行われます。この日はカラサデさんといわれ、神前に供えていた餅と小豆を一緒に煮て小豆雑煮を作り再び供えていました。これを「神在餅(じんざいもち)」と呼び、今も宮司宅では家例としてこの日に小豆雑煮を作り、屋敷内の祖霊社、稲荷社、邸内の歳神にお供えいたします。昔は里人の間でもこの日の朝に餅をつ搗き参拝する慣わしがあり、参拝するものは必ず一重ねのオカガミ(餅)をもって参った後、小豆を入れた雑煮餅を作って家の神棚に供えてから銘々も頂く風習があったようです。この「神在餅」が転化して「ぜんざい」になったといわれているのです。– , 『ぜんざい発祥の地』佐太神社
「ぜんざい - Wikipedia」には、この点について、さらに詳しい説明が載っている。
前者の「仏教用語である「善哉(ぜんざい、よきかなとも読む)」にちなんだ説」については、「善哉(ぜんざい) - 語源由来辞典」にても説明が得られる:
【ぜんざいの語源・由来】. 善哉は元仏教語で、「すばらしい」を意味するサンスクリット語「sadhu」の漢訳。 仏典では、仏が弟子の言葉に賛成・賞賛の意を表すときに、「それで良い」「実に良い」といった意味で用いられる。

← シュボーン・ロバーツ著『多面体と宇宙の謎に迫った幾何学者』(糸川洋 訳 日経BP書店) 「幾何の美しさを追求し芸術家、建築家、物理学者からも認められたイギリス・カナダで活躍の数学者の生涯。2008年アメリカ数学会のオイラー賞受」といった本。書店の書棚で本書を…といより、本書の背の題名「多面体と宇宙の謎に迫った幾何学者」に惹かれて、つい手に取り、衝動買いした本。中学時代、初等的な幾何学の面白みに引き込まれ、今も数学(幾何学)への嗜好は消えずに残っている。幾何学、あるいは図形を描くことなどによる直観的思考が、現代数学での論理至上主義の流れの中、一度はもう時代遅れのものとして数学の世界から追放(ないし忘れ)されかけたという本書の主人公であるドナルド・コクセターは、(古典)幾何学の重要さを数学の世界に再認識させた人物。「古典幾何学を推し進め、計算中心の解析幾何学や代数幾何学では扱えない、多次元の多面体(多胞体)を中心に温もりを持った幾何学を提示しました。M・C・エッシャーのアートにヒントを与え続けたとか、あまりにも抽象的なブルバキの幾何学に批判を加えたとか、相対論の幾何学的説明(時空のゆがみ)を試みたり、多面体宇宙論に多大な影響を与えるなど、エピソードが多数盛り込まれてい」る。と言いつつ、小生、本書を書店で手にするまで、コクセターなる人物を全く知らなかった。「現代のユークリッド」と呼称されているとか。なのに、なんと、Wikipedia(ウィキペディア)にも、ドナルド・コクセターの項がまだない!(ただし、「コクセター群 - Wikipedia」は、さすがに載っている。) ダ・ヴィンチの伝記本を読了し、先週末から本書を読み始めた。数学(や物理学、その他のサイエンス、建築)に無視できない影響を与えた数学者なのに、一般に知られていないのは、なぜだろう。数学は好きじゃなくても、中学などの(ユークリッド)幾何だけは好きって人も多いだろうに。あまりに専門性が高い? 本書について、もう少し踏み込んだ、できれば本格的な形で知りたいという人には、「アル中ハイマーの独り言 多面体と宇宙の謎に迫った幾何学者 Siobhan Roberts 著」が非常に参考になるだろう。H.S.M.コクセターの翻訳本というと、『幾何学入門 上・下 』(ちくま学芸文庫)が一昨年、再刊されたようだ。
→ 我が家の庭には、この樹木も何本もある。名前がこれまた、分からない。
余談だが、ずっと遠い昔、小生がガキの頃、『夫婦善哉』(めおとぜんざい)という題名の番組がテレビで放映されていた。
「織田作之助が、上記の店や法善寺を舞台にした小説のタイトル」である『夫婦善哉』は、映画にもなったが、小生は観ていない(テレビで観たかもしれないが)。
とにかく、ガキの頃の小生には、やや難しい「善哉」の読みを「ぜんざい」と知ったのは、そのテレビ番組のお陰だった。
語感の上で、「善哉」と「ぜんざい」が似ているし、混じってしまって、夫婦がお餅と餡子が一つの茶碗の中で蕩け合っていることを「ぜんざい」に引っ掛けているのかなと、その番組の「めおとぜんざい」という言葉がテレビから聞こえてくるたびに、妙に艶かしいというか、妄想めいた想像が膨らんだりしたものだった。
(もっと正確に記憶を蘇らせると、当時、小生は「善哉」が、どうやっても「ぜんざい」とは読めず、字面だけを眺めると、「ぜんなり」とか「ぜんや」と読めてならないのだった。しかし、番組では堂々と「善哉」を「ぜんざい」と伝えている。漢字の表記と読みとが表面上の印象だけでは、決して短絡的に繋がらないのだと、日本語(漢字)の難しさを物心付いて初めて思い知らされたのだった。)
← これまた謎の樹木。名称不明。毎年、虫の被害に遭うので、そろそろ防虫剤を散布しないといけない。
実際には、「夫婦善哉 - Wikipedia」によると、「大阪の法善寺の横にある店名。ぜんざい一人前を2つの椀で出すことから夫婦善哉という」から、まあ、当たらずとも遠からぬ誤解だったわけである。
それにしても、今日が五月の下旬にしては、涼しいより、やや寒い日である。
だから、「ぜんざい」を巡る話題も、暑苦しくならないのだ。
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コメント
こんばんは
ぜんざい食べたくなりました
由来なんて考えた事なかったけど
どちらなんでしょうね 善哉と神前
美味しいからどっちでもいいや(^▽^;)
謎の花はクレマチス(鉄線)と思われます
真ん中の木はつげ じゃないですかね 犬つげ
我が家にも昔あった
下のはわかんないです
投稿: KIKO | 2011/05/24 22:38
KIKOさん
ぜんざい、寒い時期に食べたいですね。
これから暖かく…暑くなっていったら、ちょっと手が出ない?
冒頭の花、クレマチス(鉄線)なんですね:
http://www5.pekori.to/~unyako/clematis/clema_frame.htm
真ん中の木は、つげ(柘):
http://www.jtw.zaq.ne.jp/tanakun/watch3/tuge.htm
我が家にはツゲの木が何本かあるので、明日からは、「ツゲ」なんだねって、呼びかけられます。
樹木、やはり、分かるものだけでも、名札、つけておいたほうがいいかな。
来年になっても、同じこと、質問してちゃ、恥ずかしいし。
KIKOさん
教えてくれて、ありがとう!
投稿: やいっち | 2011/05/25 21:55