チェルノブイリの赤い森
つい先日、営業所の休憩所で、福島原発のことが話題になった。
原発のことが話題に上るのは日常茶飯事だが、その日は、ちょっと違う話題に話がチラッと及んだ。
→ 表の庭の隅っこの葉群も開花。
それは、チェルノブイリの魔の館、あるいは魔の森といった話だった(正確には、どんな言葉(表現)が使われたか、小生の記憶が曖昧)。
生憎、すぐに仕事が入ったので、その話題を持ち出した人に詳しく話を伺うことはできなかった。
放射能の漏出を抑えようする石棺ならぬコンクリートの<館>の中で、放射能に汚染された動植物たちが、奇異な姿に変貌を遂げ、既存の耐性を超えた体を持ち、やがて彼らが棺という縛りを解いて、世界へ広がっていく…。
何年か前、チェルノブイリの「不思議の森」伝説は、週刊誌をにぎわせたこともあったという。
週刊誌を買わないし、読まない小生は、迂闊にもこの話題は初耳だった。
せっかくなので、チェルノブイリの「不思議の森」伝説の周辺をさぐってみようと思った(たぶん、他人事ではないはずだから)。
「赤い森 - Wikipedia」に簡潔に纏めてある。
ほとんど、丸写しになりそうだが、関心が高いし、福島原発周辺のありうべき(あってはならない)近い将来の姿として、メモしておきたい。
チェルノブイリの「赤い森」とは、「ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所から10km圏内にある森を指す」。
「1986年4月26日のチェルノブイリ原子力発電所事故により放出された高レベルの放射性物質を取り込んだことにより枯死したマツが赤茶色に見えたので「赤い森」と呼ばれる。事故後の汚染除去作業で、赤い森の木々は伐採され埋め立てられた。この場所は現在でも世界で最も汚染された地域の1つである」という。
← 「放棄されたプリピャチの居住地区、残存している樹木」 「チェルノブイリは死の世界か、自然の宝庫か」 (画像は、「赤い森 - Wikipedia」より)
今、福島原発の周辺でも、たとえば瓦礫の(廃棄あるいは焼却)処分方法について、有識者らの間で検討されているという。
原子炉法では、原発の敷地内での放射能汚染物質(瓦礫、実際には放射能に汚染された防護服)の処分については、規定があるものの、20キロ圏外30キロ未満の自主避難地域など、敷地外の瓦礫の処分については、法的な決まりがないのだ。
瓦礫の放射能汚染の度合いなどに応じて、処分が違ってくる。
放射能に汚染された土壌についても、土壌の入れ替えや、表層と低層の混合(により汚染度合いを薄める)、などなどがされていくのだろう。
一方、福島原発から20キロ圏内、10キロ圏内の住民は、場合によっては、一定の期間(相当年数の間)、居住が許されない(つまり、強制移住の)可能性も高い。
なんといっても、水素爆発などで飛散した毒性の高いプルトニウムが散在している可能性がある以上は、居住は難しい。
人間はともかく、動物たちは、人間がいなくなったことを幸いに、我が世の春とばかりにパラダイスを謳歌するかもしれない。
高度な放射能汚染に適応したネズミやゴキブリ、ハエ、ノミ、野鳥…。あるいは「チェルノブイリの冷却水に生息するナマズ」…。
→ 「プリピャチの近くにある放棄された村」 (画像は、「赤い森 - Wikipedia」より)
「1986年に人々が避難すると、放射性物質に汚染されているにも関わらず赤い森へ動物が移動してきた。事故後の放射性物質による汚染によって、赤い森における植物相および動物相は劇的な影響を受けた」。
にもかかわらず、あるいは、放射能物質による汚染土壌(地帯)であるが故にか、「事故後、数年間で赤い森の生物多様性が増したように思われる」!
ここから、都市伝説ならぬ、チェルノブイリの魔の森伝説が始まるわけである。
一時期、一部巷間で話題になったりもした。
← 「チェルノブイリ原子力発電所(中央奥)の遠景」 (画像は、「チェルノブイリ原子力発電所事故 - Wikipedia」より)
放射能汚染土壌(地帯)であるがゆえに、何らかのメカニズムで生物多様性紛いの結果を生み出したのか、それとも、単に、人…人間が避難したことで、絶滅を危惧されていた一部の植物にとってのパラダイスが創出されたという皮肉を思うべきなのか。
そういった<パラダイス>環境は、植物にとってだけじゃなく、動物にとっても、当てはまる面がある…。
放射能に汚染された体で鳥たちがパラダイスを謳歌するのみならず、その中の一部の鳥たちがパラダイス外の動植物と交流を持つだろうことは容易に想像される。
別に放射能を撒き散らすとかじゃなく、遺伝子レベルで新奇な動物が生まれ、そういった動植物たちが世界に何かの影響を与える…。
→ 「チェルノブイリ原子力発電所発電施設 2007年撮影時の様子」 (画像は、「チェルノブイリ原子力発電所事故 - Wikipedia」より)
炉の中には、あるいは、<新種>の動物たちが、外の世界への進出の機会を待って、虎視眈々としているのかもしれない。
放射能に耐性を持った動植物が世界を席捲する…。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ナボコフからクンデラへ(2025.02.07)
- 耐震シェルター欲しい!(2025.02.06)
- 「寿司といえば、富山」(2025.02.04)
- あなたを・もっと・知りたくて(2025.02.03)
- 夢で目覚める日々(2025.02.02)
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 更新世パークとは(2024.09.03)
- 数学は数楽じゃなく、音楽は音学じゃない(2023.10.03)
- 歳暮……雪囲い作業やり直し(2021.12.16)
- ハーンのイギリスへ嘗ての中国へ(2020.05.30)
- 山村…古道を歩きたい(2020.05.22)
「社会一般」カテゴリの記事
- 耐震シェルター欲しい!(2025.02.06)
- 「寿司といえば、富山」(2025.02.04)
- あなたを・もっと・知りたくて(2025.02.03)
- 夢で目覚める日々(2025.02.02)
- 政権が変わった影響?(2025.01.31)
「写真日記」カテゴリの記事
- ナボコフからクンデラへ(2025.02.07)
- 耐震シェルター欲しい!(2025.02.06)
- 「寿司といえば、富山」(2025.02.04)
- あなたを・もっと・知りたくて(2025.02.03)
- 夢で目覚める日々(2025.02.02)
コメント