日の下の花の時(前編)
道路上で車中などから容赦ない直射日光を浴びる街路樹やグリーンベルトの花々(ツツジ)を間近に見て、そもそも書きたかったのは、別のことだった。
緑なす葉っぱや幹などはともかく、花々に何か強烈な印象を受けていた。それは何だろうと思い返してみたら、あまりにも呆気ない理由がそこにあった。
→ 日当たりのいい場所(道路沿いの花壇)に咲くチューリップがいよいよ咲き綻び始めた。…のはいいが、この花、目一杯、満開。開きすぎじゃないの?
そう、花というのは、端的に言って性器なのであり生殖器なのだということ。
が、それだけでは言い足りない。それは分かる。えげつなさ過ぎる表現だということもあるが、では何故、本来は単なる生殖器のはずの花が、少なくとも我々人間の目には美しく、あるいは可憐に見えてしまうのか。
それは、犬や猫などの動物(特にその子供)が可愛く見えるように、人間の勝手な思い入れや、長年に渡る親しみ、馴染みの故に過ぎないのか。そう、選択と丹精の結果に過ぎないのか。
← 車道沿いの花壇の今日(16日)の光景。寒菊、水仙、ムスカリ、奥にチューリップ。
花びら 花、花芯、雌蕊(めしべ) 萼(がく)根茎(こんけい)受粉 開花虫媒花 風媒花 雄蕊(おしべ)蕾 茎 冠毛 舌状花 蜜 柱頭 花粉…。
下手なエロ小説に使いたくなる用語が花を巡って、いろいろと思い浮かぶ。
人間にとって多くの花が魅惑的であるように、あるいはそれ以上に昆虫にとっては、花(の蜜)はなくてはならないものだろう。昆虫が花に誘われるのは、両者の長い関わりがあるのだろう。
花は人間に好まれるように進化したのか。そういった花もあるのだろう。そうでなく、勝手に人間の生活圏に侵犯する植物は、たとえ可憐な花が咲くものであっても、雑草とされてしまう。
→ 今朝、雨の中、庭掃除や、家の周りの溝(どぶ)浚いをしていて、ふと、我が家の生垣を見たら、見慣れない光景が。咲くとは全く思わない樹木に小花が咲き誇っている。ナナカマドって、花が咲くの? アセビか鈴蘭のような白い、可憐な小花。小生、今になって初めて開花に気がついた…。
同時に昆虫に受粉させるべく進化した花もあるのだろう。人目の届くところで見受けられ愛でられる花の多くが綺麗なものなのは、分かるとして、人里離れた場所にある花であっても、美しく感じるのは何故なのだろう。
単に花だから?
それとも、昆虫などを魅するように進化したことが、たまたま人間の審美眼にも適ったということ?
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コメント
そのへんに咲いてる花は、
人の手が加わってますから、少々あざとい。
では、手垢がついていない、
例えば高山植物を見ても、地味ながら、美しいと思う。
花は、花だけでは美しくもなんともなく、
人が花に美しさを与える。
種子植物の生殖器官であること、
そんな情緒も相まって。
花を食べていた遺伝子の名残り、
それだけでは説明できないなにかがありそうです。
いいですね~、
落としどころが楽しみです。
哲学や美学で、あるいは生物学や遺伝子で結ぶのか。
文学においても、人は花の美しさを育ててきましたし。
投稿: 青梗菜 | 2011/04/17 10:29
青梗菜さん
花を美しいと感じるのは、(桜などのように)教育や伝統や社会的な風習などのせいなのでしょうか。
誰にも教育も薫陶も受けないでも、花の美を感じる人は感じるのでしょうか。
無論、花には見向きもしない人も多いわけで、アプリオリに花は美しいなどと、同語反復みたいな議論を展開できるはずもない。
野の花も雑草もですが、人間が綺麗と鑑賞する花は、人間が選び、また、特殊な交配などして育ててきたもの。
人間が気に入ったものを人間の生活の周辺に配置してきた。
では、未開の地の花も、人が美しいと感じるのはなぜなのか。
そもそも動物…特に昆虫は花を美しいと感じている?
あくまで蜜などに惹かれるだけ?
人間の種の保存、人間の生存を象徴するものとしての植物であり花であるがゆえに、ただならぬ関心の対象になっているのか?
残念ながら、小生には憶測や妄想のレベルでさえも、何も知恵が浮かばない。
青梗菜さんの考えを伺いたいところです。
投稿: やいっち | 2011/04/18 22:13