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2011/03/10

2007年つながり、という話

 偶然なのだろうか、図書館で本を借りる際、可能な限り、新刊(新入荷)本の中から、読みたい本を物色する小生なのに、このところ、二冊、続けて2007年刊行の本を読んでいた。

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← アン・ギボンズ/著『最初のヒト』 (河合信和/訳 新書館.) 「現在ただいま進行中の、最古のヒト化石をめぐる熾烈な発掘競争物語」。発掘競争が、ここまで熾烈だとは! 数学(者)の世界も、生物学の世界も、研究者らの一番乗り競争は、苛烈を極める。一番手だけが歴史に残り、二番手以下は、エピソードを書き連ねる本の、刺身のツマ程度になれればいいほう。


 一冊は、ジョージ・G.スピーロ著の『ポアンカレ予想』であり、もう一冊は、アン・ギボンズ/著の『最初のヒト』 である。
 どちらも、いつかは読みたいと思いつつ、どういうわけか、借りるまでには至らずに来た本。
 書架で何度となく、手にはしていたのだが、なぜか、最後のところで借りるのをためらってしまった。

 まあ、ジョージ・G.スピーロ著の『ポアンカレ予想』については、一般向けの啓蒙書とはいえ、読んでもちょっと歯が立たないというのが理由で、それでも、敢えて借りたのは、トポロジーの理論をその雰囲気だけでも味わいたかったから、である。

 読了して、雰囲気さえも嗅ぎ取れたか疑問ではある。
 それでも、多くの名だたる数学者たちがポアンカレ予想に挑戦し、挫折してきた中、最後にロシアの天才数学者が独創的な発想と手法で解決するのだが、その悪戦苦闘ぶりをチラッとでも垣間見られただけで、小生は満足するしかないだろう。


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→ 東京でタクシー稼業に勤しんでいた最後の数年、夜半などに芝公園近くのタクシープールに車を止め、東京タワーの雄姿をしばしば撮影したものだった。

 後者のアン・ギボンズ/著の『最初のヒト』 を借り過ごしてきたのは、小生の関心が、「最初のヒト」より、人類のイブを巡るドラマのほうに重心が偏っていたからに過ぎない。
 読了して、学者たちの苛烈な研究事情が知れて、感動するより、凄みさえ覚えた。
 とことん研究・調査にのめりこまないと、何も得られない(のめりこんでさえ、結果が付いてくるとは限らない)!


 2007年のこれらの本を続けて、二月中、読んでいた…。
 その偶然をことさら、強調するのには、ちょっとした(小生にしか通じない)事情がある。
 小生は、この二月から(富山において)タクシードライバーの仕事に携わることになった。
 その前は、東京での生活の最後の12年あまりをやはり、タクシードライバーの仕事に携わっていた。
 が、家の事情があって、急遽、東京での生活を、つまりは、タクシードライバーの仕事を切り上げて、帰郷することになったのが、2007年(の12月)なのである(実際に帰郷したのは、2008年だが)。
 
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← ジョージ・G.スピーロ著『ポアンカレ予想』(監修: 永瀬輝男 ほか 訳者: 鍛原多惠子 ほか 早川書房) 「ポアンカレ予想」というのは、「20世紀初頭にポアンカレというフランスの万能数学者によって唱えられ、爾来100年、謎のロシア人数学者ペレルマンが現れるまで誰ひとり解けなかった数学史上の超難問」。ペレルマン変人ぶりも際立っている

 図書館で2007年刊行の本を二冊、続けて借りたのは、あくまで偶然である。
 本の裏表紙裏を覗いて、2007年を確認して借りたわけではない。
 たまたま、図書館の新入荷本のコーナーにめぼしい本がなかったから、余儀なく、書架で借りる本を物色しただけのことである。
 そして、あれこれ本を探した挙句、紹介した二冊を借りるに至っただけのことなのである。

 さあ、借りて読もうと、背のほうを見て、2007年刊行とあるのを見て、奇しくも、今、改めて富山において新生活をスタートさせる、それもタクシードライバーを、しかも東京で辞めたのは2007年だったものを、という事情に、少し感慨を覚えた。

 まあ、それだけの話なのだった。

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