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2011/03/22

もう一つの『デューン』それとも『砂の女』?(後編)

 マルセル・ブリヨンは、「美術評論家、考古学者、伝記作家、歴史家、小説家と多様な場面で活躍」した人物。
 学者として中央アジアなどを学術調査し、知見を広め、深めもしただろう。
 が、(考古)学者としては、遺跡などを前にしても、語りえることには制約がある。

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← 3月19日の夕刻、玄関前から月影を撮った。小生の腕前では、せっかくの月の姿も、みすぼらしい。その代わり、「スーパームーン写真集」を紹介しておく。「2011年3月19日は、満月と地球が最も近づく特別な日で、その日に見える月を「スーパームーン」と呼」ぶ。

 一方、伝記作家、歴史家、作家としての彼の想像力は、砂漠の世界、砂の海に埋もれた、発掘も叶わぬ世界を前にして、想像と創造の翼は羽ばたいてしまうことをどうしようもない。

 本書はたとえば、阿部公房の『砂の女』をSF小説と呼ぶ意味に近い線では、SF小説的かもしれないが、実のところ、性格は全くSFとは違う。

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→ 『デューン/砂の惑星 II 』(海外TVドラマ)


「砂に覆われ巨大な虫が支配する荒涼の惑星アラキス、通称デューンを舞台に、宇宙を支配する力を持つメランジと呼ばれるスパイスを巡る争いと、救世主一族の革命と世界の混迷を軸にした壮大なドラマ」といったアメリカの作家フランク・ハーバートによるSF小説、『デューン』とは訳が違う。

 何処までもブリヨン自身の夜毎に見ただろう夢にも似た、ある種の夢幻的なリアリティの枠を決して食み出さない。
 虚構のようで虚構ではない、が、SFのようでSFでは全くない。

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← 安部公房/著『砂の女』(新潮文庫) 「砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める村の人々」…。日本語訳上の題名である『砂の都』という題名からは、短絡的にも即座に『砂の女』を連想してしまう。余談だが、『デューン』もだが、『砂の女』も(昆)虫が作品の鍵を握っているのが面白い。砂と虫は、どこか連想させるものがあるのか。

 それどころか、ブリヨンは、もしかしたら小説とは全く思わないで、「幼い頃の思い出を魂の片隅に留める者には、星辰と共に言いようもなく懐かしい夢物語」を脳裏に思い浮かぶ(というよりブリヨンが生きる日常)世界そのまま素直に描いて見せただけなのではなかろうか、などとさえ思わせられてしまった。

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