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2011/02/07

『セルボーンの博物誌』の周辺(前編)

 ギルバート・ホワイト(Gilbert White)著『セルボーンの博物誌』(山内 義雄 訳)を今朝(7日)未明、読了した。

 日記「病院で読んだ本(その3)」の中で書いているように、本書は一月の入院生活最後の日に手にしていたもの。
 が、読みきれなかったもの。

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← 山茶花というと、垣根そして、「たきび」(巽聖歌作詞・渡辺茂作曲) 我が家の庭には、焚き火に資する落ち葉がいっぱい。でも、市の条例で(?)、焚き火は禁止されている。焚き火、やってみたいなー。あたりたいなー。 

かきねの かきねの まがりかど
たきびだ たきびだ おちばたき
「あたろうか」「あたろうよ」
きたかぜぴいぷう ふいている

 入院生活最後の日の朝、読み始めたが、(予想に反して?)なかなか面白く、せっせと読んだのだ。が、退院の日は、教授回診などがあって、70頁ほど読んで断念し、病院の図書コーナーに返却してしまった。

 よほど、借りてそのまま退院し、読了したら富山から小包にして京都の病院に返却しようか、なんて思ったが、それもまた我侭過ぎるかなと諦めた。

 病院のベッドで読んでいた感じが思い出されて、図書館で物色したら、倉庫の中にあった。版は違うが(出帆社)、訳者は同じ方。

 本書は、18世紀イギリスの牧師、博物学者であるギルバート・ホワイト(Gilbert White, 1720年7月18日 - 1793年6月26日)が書いた、「博物学やネイチャーライティングの古典」という。
「今日なお読み継がれている」というが、小生は病院の図書コーナーで目にして初めて存在を知った。
 当然、全く読んだことがない。

「セルボーン」というのは、「ロンドンの南西約80キロに位置するハンプシャーの小村」で、ギルバート・ホワイトが生まれた地。
ホワイトは、セルボーンで副牧師をつとめる傍らで、少年時代から興味を持っていた博物学の研究にほとんどの時間を費やし、その成果を約20年間にわたり博物学者のトマス・ペナントとデインズ・バリントンに送り続けた」。
 本書は、博物学者らに送付した書簡集(をまとめたもの)なのである。
 ホワイト自身は、彼の弟らと同様、牧師になりたかったのだが、とうとう生涯、副牧師にとどまった(このことは、たぶん、彼自身にとっての心の傷だった。生涯、独身でもあった)。

 ところで、日記「病院で読んだ本(その3)」では、本書を以下のように紹介している。

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← ギルバート・ホワイト(Gilbert White)著『セルボーンの博物誌』(山内 義雄 訳 講談社学術文庫) 「セルボーンはハンプシャー州の東端、ロンドンの南西約80キロメートルに位置する小さな村である。著者ギルバート・ホワイトは神学校の学生時代を除いて全生涯をこのふるさとの村で過ごした。 ホワイトは村の教会で聖職につきながら、自然の景観や植生、村人の暮らしぶりに重ねて、小鳥を中心に昆虫などの生態観察の記録をふたりの博物学者に送り続けた。その書簡をまとめたものが本書である」。博物誌関連の本の記述というのは、ともすると単調になりがち。好奇心に釣られて読み出しても、そのうち投げ出してしまったり。が、本書は違った。著者のギルバート・ホワイトの文章力が(その秘密がどこにあるのか、小生には分からなかったが)、読み手を飽きさせないのだ。環境破壊とか何とかを別にして、読む楽しさを味わえる。「フランス革命が始まった年に出版されたもの」だとか。病院での発見の一書だ。惜しむらくは、入院生活最後の日に手にした本で、全編を読み通すことができなかったこと。

 本書の特徴は、「鳥や植物、昆虫などの生態や自然景観の観察を、当地の歴史や山彦、日時計、田舎の迷信といった風土とともに記録した点にある」というが、それだけだったらホワイトの時代「18~19世紀には牧師らがその居住地域の博物誌をまとめる習慣が流行し」ていたわけで、古典として残ったかどうか。

 文体(に現れるホワイトの人柄)こそが魅力としか言いようがない気がする。
 文中、ギリシャ以来の古典の本からの引用が随所に挟まれている。
 このことが文章を典雅にし、文学的にもしているが、さりとて、そんな真似をする書き手は稀ならずいるわけだし、下手すると、反ってペダンチック臭が漂わなくもない。

 本書の魅力は、やはり、読んでみないと分からないかもしれない。

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