病院で読んだ本(その4)
退院して待っていたのは、雪、雪、雪。
そして職探し。
→ 今夕(19日)、ふと外を眺めたら薄い雲を透かして月影。満月? 雲の流れが速くて、久しぶりにまん丸の月を愛でることができた。ホントに久しぶり。でも、二時間もしないうちに全天が雲に覆われ、雪が降り出してきた。つもりそうな、雪…。
そう、小生は天下の素浪人なのである。
…とほほ。
さて、気を取り直して、「病院で読んだ本(その3)」の続き。
← 木島俊介著『女たちが変えたピカソ』(中公文庫 中央公論新社) 「ピカソの女性関係を軸に、九三点の作品を通して芸術創造の軌跡を辿り、ピカソの実像を解明する、刺激的美術論」といった本。「ピカソはある時期から制作した絵画に日付を入れるようになる」。そう、彼の作品は、日記でもある。ピカソ自らは自分の絵については語らない。著者の木島俊介氏は、東急文化村プロデューサーとしても有名。一月に一冊は、何かしら美術関連の本を読みたい。物色していて、パッと目が合った。…どうも、「女たちが変えた」に惹かれたらしい。何たって、ピカソというと、女(の絵)だもんね。病院の図書コーナーにも、図録を含め、ちゃんと美術書が何十冊か揃っていた。
図書コーナーの管理は、ボランティアの方たちがされている。常時いるわけではないが、それぞれの本の背などには、図書館の本に見るようなラベルが張ってあって、整理が行き届いているのが分かる。
とにかく、ここで何としても本を探すのだ。
そう、思い詰め(?)、腰を据えて物色したのだった。
← 高瀬保編『富山藩・町方事件簿 ― 「富山町方旧記」現代語訳』(若葉会 桂書房) 残念ながら本書の表紙画像が見つからなかった。病床で撮影しておけばよかった…。本書は、読んで字の如しで、旧富山藩での町方が扱った大小を問わない事件の数々の記録文書集である。喧嘩に盗み、町中あるいは町や村との交流上のトラブルの数々が淡々とつづられている。病院の図書コーナーで本書の背の題名を読んで、一瞬、目を疑った。京都の病院で富山藩。ホントに富山の富山藩なの?って疑ってしまった。富山という地名は他の地域にもあるし。でも、富山藩は江戸時代においては富山だけ。本書をパラパラ捲って、ああ、富山、それも、当時の富山藩というのは、旧富山市と領域的にほぼ重なる。まさに我が先祖たちの日常がつづられているのだ。あるいは我が家の先祖様も……いやいや、事件簿だから、登場していては困るのだが。我が町の名も登場していて、ちょっとワクワクしたり、当時の先祖の方々の暮らしを彷彿させてもらったり。題名からつい期待したくなるような、町方の役人はあまり登場しない。捕り物帳ではないのだ。「富山」という地名は、実は、普泉寺(富山寺)に由来する、という話は小生には初耳で、ちょっとした発見だった。富山の人間には常識なのかもしれない。この普泉寺(というより、もともとが富山寺(ふせん・じ)なのだ)は、「真言宗の古刹で富山市内で最古の寺院」とされているとか。いつか、ミニ特集を組んでみたい。
外部の方の寄贈による本も多いのだろうが、入院していた方からの寄贈も多いはず。
そう思って本を手にすると、手垢に塗れた、古びた本も何か慕わしく感じたりする。
そうそう、忘れられない、ちょっとしたいいことが図書コーナーであった。
← 綿矢 りさ【著】『インストール』(河出文庫 河出書房新社) 昨日、芥川賞や直木賞の受賞発表があったが、2001年「インストール」で第38回文藝賞を受賞し、17歳でデビュー。04年『蹴りたい背中』で芥川賞を史上最年少で受賞という、この著者の受賞の際も、かなり話題になった。小生、本作をとっくに読んでいたつもりでいた。あるいは、『蹴りたい背中』なども。勘違いだったのか。あまりの話題に、辟易したわけじゃないだろうが、話題の渦の勢いで、分かった、読んだつもりになったのかもしれない。『蹴りたい背中』は分からないが、『インストール』は、確かに鮮烈な…は言い過ぎか…新鮮な読後感を抱かされた。今、書いていて気付いたのだが、著者は京都の生まれだとか。本書を京都の病院で、しかも覗くつもりのなかった図書コーナーで出合って読むなんて奇遇だ。『蹴りたい背中』も近いうちに読んでみたい。
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コメント
今年の抱負は、ズバリなんですか?
投稿: 荒川区 日暮里の美容院よりお手紙 | 2011/01/20 01:46