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2011/01/17

病院で読んだ本(その2)

 退院して帰宅してみれば、待っていたのは、雪、雪、雪。除雪の日々。
 体の節々が痛む。
 除雪の疲れで再入院しちゃったりして。

 さて、以下は、「病院で読んだ本(その1)」の続き。

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← 山田詠美/編 『せつない話 第2集』(光文社文庫) 山田詠美の大ファンってわけじゃないけど、大人の女の考え方や感性、表現を知りたい……というより覗き見たい一心で、折々読むことがある。そのつもりだったのに、手に取ってみたら、本書は彼女編の短編集。でも、買ってよかった。最初の有島武郎『一房の葡萄』に降参。彼女曰く、「「せつない」という言葉は、実は、多くの人々がしまったまま忘れた心の内の宝箱を開ける鍵になり得るのではないか」とのことだが、実感させられた。身につまされた短編もあったし。残りの作品も一気に読み通した。病院の売店で選択の余地がなくて、余儀なく買った本で、その意味で不思議な縁、出会い方をした本、そして読書体験となった。

 入院した当日、院内でいろんな方に(なんと入院案内の職員やナースや清掃員の方たちに)、京大の近くに書店はないか、京大のキャンパスに売店はないか、図書館には入れるのか、などなど聞いて回った。
 いろいろ支障があり、仕方なく、地下の売店へ。

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← インフォペディア/編『飛鳥・大和・奈良 古代史の謎を巡る旅』(光文社知恵の森文庫) 京都(の病院)にいるのだ。入院中とて、観光は論外だが、それでも京都あるいは隣県の奈良に関する本を。でも、ありきたりの観光案内の本なんて、まっぴら。先月末、大山 誠一【著】『天孫降臨の夢―藤原不比等のプロジェクト』(NHKブックス 日本放送出版協会)を読んだこともあって、古代史関連の本を何か読みたい。幸い、病院の売店には本書があった! 幸い、刊行されて一年を経過していないし(専門書はともかく、一般書で古いのは手にしたくない)。「古都・奈良とその周辺の遺跡や寺社を巡りながら、古代史の謎を徹底解説。旅がもっと面白くなる歴史雑学満載」というが、退屈な病床生活の小生にしばしの古代への旅を恵んでくれる…。

 やはり、案の定の品揃え。書籍類の棚は二つあるが、一つは婦人ものだったり、雑誌だったり。一つ半ほどの棚には本がびっしり。
 でも、文庫本ばかり。岩波や中公など皆無。
 光文社に徳間書店に…。

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← 『松本清張短編全集 08 遠くからの声』(光文社文庫) 病床生活という稀有の機会を得たのだ、何か大作をじっくりと、という思いは呆気なく潰えたが、せっかくだから、誰か名前はしばしば耳(目)にするが、まだ読んだことのない作家(書き手)の本を読もうかなと思ったが、やはり、つい、この作家の本なら安心という本に手が伸びてしまう。いつか、『昭和史発掘』などを読み通したいものだ。本書は比較的初期の佳品集。読んでみて、やはり、彼は長編でこそ、力を発揮する作家だと感じた。意外な発見というべきか、時代ミステリー「左の腕」「いびき」などは、面白かった。時代小説に専念すれば、それなりに成功していたかも。彼の時代小説好きの性向が嗅ぎ取られる作品。他のミステリー作品も、いよいよ松本清張ワールドへを予感させる、清張らしさが楽しめた。本書は、帰りの日に読もうと、買い置きして、病院のベッド脇の棚の引き出しに大事に仕舞っておいた。いよいよ退院という14日の午後から読み始め、帰りの列車、そして帰宅した当日の夜から翌朝にかけて、読み浸った。本稿の題名である「病院で読んだ本」に、ぎりぎり引っかかる!

 好みの本を選ぼうにも、もう、選択の余地がまるでない!
 仕方なく、手術が終わった翌日には、大仏次郎著『猫のいる日々』(徳間文庫)と宮部みゆき著『スナーク狩り』 (光文社文庫)の2冊を。
 その二日後には、山田詠美/編 『せつない話 第2集』(光文社文庫)など3冊を買った。
 買ったはいいが、一日のうちに少なくとも一冊は読了する。下手すると2冊。
 これじゃ、本代が入院費より高くつく。
 この数年、年間に購入する書籍のだって数冊だったというのに。
 
 なんとかしないと!

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