「天皇陛下のリンネ協会での基調講演」とノーベル賞(前編)
過日、東京海洋大学の客員准教授さかなクン(さん)が、クニマス発見の功に関し、天皇陛下よりお言葉を賜ったという報道は記憶に新しいところだろう:
← 井内史郎著『分子生物学でダーウィン進化論を解剖する』(講談社)
このクニマス発見に大きく貢献され、近くクニマスについての論文を発表される京都大学中坊教授の業績に深く敬意を表するとともに、この度のクニマス発見に東京海洋大学客員准教授さかなクンはじめ多くの人々が関わり、協力したことをうれしく思います。 (天皇の発言全文は、「天皇陛下、会見でクニマス発見の「さかなクン」を名指しで褒め称える 【動画あり】」参照)今上天皇陛下は、生物学を研究されていることでも知られている。
ハーバード大学医学部細胞生物学部門主席研究員である井内史郎著の『分子生物学でダーウィン進化論を解剖する』(講談社)を読んでいて、天皇と生物学に関する話題が採り上げられていた。
天皇の講演自体は当時、マスコミでも報じられ、広く知られていることであり、今更なのかもしれないが、せっかくなので、ここで紹介を試みる。
というのも、上掲書において井内史郎氏は、2007年の天皇の講演「リンネ誕生300年記念行事での基調講演」が翌年2008年の日本人四人のノーベル賞受賞につながったのではないかと書いておられるのだ。
つまり、物理学の分野での小林誠、南部陽一郎、益川敏英の3氏、化学の分野の下村脩氏の都合4人の受賞である。
→ カール・フォン・リンネ(Carl von Linné) (画像は、「カール・フォン・リンネ - Wikipedia」より)
もう少し、天皇の講演の背景などを井内史郎氏の著書から引用する形で説明しておこう:
英国にロンドン・リンネ協会がある。ここは、(略)1858年にダーウィンとウォーレスの論文がライエルらによって紹介されたところだ。このリンネ協会はスウェーデン人の博物学者カール・リンネ(1707~1778年)の名にちなんで付けられている。その協会名は、英国人ジェームス・スミスがリンネの残した資料や出版物を買い取り、1788年にロンドンに協会を設立したことに由来する。この協会は生物学の分野では世界中で最も古く、今なお、生物の進化や分類に関することで活発な働きをしている。
明仁天皇は、同協会で行われたリンネ生誕300周年の祝賀記念式典で、英語による講演を行った。(略)天皇の講演はこんなふうに始まった。
以下、後編では、「リンネ誕生300年記念行事での基調講演」を本書での抜粋に沿う形で紹介する。
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