「穴」嫌いを勘ぐってみる
つい先日の日記「我が家の蔵のこと」の冒頭で、以下のように書いている:
我が家の蔵がいつ、建てられたのか、父に聞きそびれてしまった。
← 1945年8月1日に日本全国の都市に投下されたアメリカ軍による空襲予告のビラ。左下に「富山」の文字が書かれている。(画像は、「富山大空襲 - Wikipedia」より)
聞きそびれたことは、これだけじゃなく、数々あるし、これからも折々、悔いの念と共に思い浮かんでくることだろう。
さて、そうした父(や母)などに聞きそびれたことの一つに「地下壕」のことがある。
「防空壕」などと、ちょっと唐突な話題だが、実は、過日の北朝鮮による韓国・延坪(ヨンピョン)島への砲撃、あるいは、北朝鮮と韓国の間で起きた砲撃戦で、チラッとだがニュースの映像として流れた中に、「地下壕」の映像があったのである。
小生の郷里である富山市も、戦争末期、激しい空襲を受けた。死者・負傷者は三千人を超えるといわれている。
また、被災人口 は、109,592人であり、 焼失家屋は、 24,914戸で、市街地の99.5%という悲惨さ。
富山市は、まさに壊滅的打撃を被ったと言っていいだろう。
1945年8月2日にアメリカ軍が富山県富山市に対して行った空襲は、「富山大空襲」と呼称されている:
「富山大空襲 - Wikipedia」
「「富山大空襲」のことを知って下さい!」
ちなみに、「人的被害が大きかった一因に、誤認により空襲警報が一旦解除されたこと、憲兵隊や警防団が神通川にかかる連隊橋(現在の富山大橋)などを封鎖し、避難してくる市民を追い返して消火に当たるよう命じたことがあげられる」という。
小生の母も、不二越にあった軍事工場に動員されていたが、空襲で逃げ惑うことになり、神通川へ向かったのだが、火の手が回っていたこともあって(川への空襲もあったという)、川を渡ることが出来なかったという。
川には、死体が折り重なるように浮かんでいたとも聞いた:
小生は、母(だけじゃない多くの人)が橋を渡れなかったのは、真夜中の空襲という不意打ちめいた性格のせいとばかり単純に考えていたが、憲兵隊や警防団による橋の封鎖もあっての悲惨な結果だったようだ。
さて、さきの北朝鮮による韓国・延坪(ヨンピョン)島への砲撃の事件報道の際に流れた映像の中に「防空壕」に逃げ込む住民の姿があった。
ふと、そういえば、小生が小学生だった頃にはまだ近くの空き地に防空壕への入り口があったなと思い出したのだ。
我が家から歩いて十分ほどの場所で、まだ空襲の痕によるのだろう瓦礫が手付かずの状態になっていた。
あるとき、誰かとその傍を通り過ぎた時、瓦礫の中の一角を指差して、あれは「防空壕」だったんだよ、と言われたのである。
崩れ果てたコンクリートの瓦礫に埋もれるようにして、穴が空いているのが見えた。不気味な闇があるばかりだった。
臆病者の小生は、その穴に近づく覇気はなかった。
なので、その時は素直に信じたものの、その後、確認を取ったわけでもなく、本当に防空壕の痕なのかどうか、今もって定かではない。
→ 「当時の防空壕の内部」 (画像は、「防空壕 - Wikipedia」より)
ところで、冒頭付近で「父(や母)などに聞きそびれたことの一つに「地下壕」のことがある」と書いているが、もっと正確に言うと、度重なる空襲の際、我が一家はどのようにしていたのか、である。
家の近くに防空壕があったのだろうか。
それとも、ただ逃げ惑うだけだったのか。
あるいは、疎開していた?
いつだったか、父が、我が家の敷地内に穴を掘ると、ろくでもないことが起きる。井戸を掘った際も、庭先に池を作った際も、そうだった…などと話していたことがあるが、もしかして、地面に穴を掘ることへの嫌悪(恐怖)は、もしかして、防空壕として掘った穴と何か関係があるのか、それとも、小生の勘ぐり過ぎか。
せっかく、何度か戦争の際の話をあれこれ聞く機会があったのに、どうやってサバイバルしたのか、肝心の点を聞き逃していたのを、今になって気がついた次第なのである。
せめて、迫り来る危機に対処するため、改めて防空壕を掘ってみる?
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