エンドファイトへの期待は手放しでいいのか?
今日も寒い。氷雨がほぼ終日…、今も降っている。
昨日も冷たい雨だったが、父の月命日で近所の住職が来てくれて、住職と小生の二人で仏壇の遺影などを前にお祈りをした。
今日は今日とて、報恩講。
→ 本年十月の初め、台風の襲来の恐れが出たので、慌てて、松の木の幹を地上から10メートルほどのところでバッサリ。半分の高さに。昨年の十月、台風の直撃を受け、杉の木が幹の中途で倒れ、あわや隣家の出窓を直撃という<事件>があったので、それに懲りての決断だった。十年は哀れな格好をさらすことになる。でも、安心には替えられない。
この時期は、35年ほどずっと小生は富山に居たことがないので、報恩講に関わったことはない(子供の頃のことは覚えていない)。
一昨年は来てくれたが、昨年はどうだったか覚えていない。
小生は富山に居たし、父母もいたはずで、報恩講の檀家廻りに際会したはずなのだが。
今日については、親戚のものが一人、来てくれて、住職と合わせて3人でのお勤め。
過日、NHKクローズアップ現代で「エンドファイト」の特集を見た。
「エンドファイト(endophyte)」なんて、小生は初耳の言葉。
それこそ、番組のキャスター(?)の言い草ではないが(あるいは番組のナレーション中の言葉だったか)、何かの新手の格闘技の名称のような言葉である。
しかし、冒頭で「エンド」は内側、「ファイト」は細菌であり、植物の体内に入り込む微生物「エンドファイト」は、植物の成長を早めたり、病気や虫から植物を守る効果があること 、また、そういった細菌(微生物)を使っての農業(野菜作り)の研究熱が高まっていることを知り、俄然、興味が湧き、録画して、じっくりと見た。
海外ではすでに一部、実用化の段階に入って、実績を上げつつあるという。
農薬もだが、遺伝子操作といった技術を使っての食料というのは、避けるのが望ましいわけである。
「エンドファイト」について、大まかな説明をネットで求める。
「共生 - Wikipedia」によると、「内生菌(エンドファイト)は植物の体内に目に見える症状を起こさずに感染している菌類であ」り、ある種の内生菌(エンドファイト)は、植物の体内に潜むことで、「生理活性物質を生産し、宿主植物の病虫害抵抗性が向上したり環境ストレス耐性が向上したりする」するという。
ただし、共生菌の一種としての「内生菌(エンドファイト)」には注意すべき点もある。
「一方でこれらの菌には宿主の有性生殖を阻害するものがある」というのである。
どうやら、NHKではすでに「サイエンスZERO」にて特集したことがあったらしい。
好きな番組なのに、出演者の安めぐみさんのファンなのに、しかも、アンコール放送の機会をさえ、見逃してしまったようだ:
「サイエンスZERO|これまでの放送 つながる生物の謎 土の中の宇宙」
「エンドファイト」が農業に応用されると望ましいのは、農薬を使わない農業が可能になること。
生物多様性をめぐる条約会議(COP10)が先ごろ日本において行われ一定の方向性への合意を見たところだが、その意味でも、農薬に頼らない、環境に優しい農業という観点からも注目されているわけだ。
NHKクローズアップ現代【エンドファイト微生物農業】について、ちゃんとレポートしてくれているサイトがあった:
「NHKクローズアップ現代【エンドファイト微生物農業】詳細情報」
一部、転記させてもらう:
植物の体内に入り込む微生物「エンドファイト」は、植物の成長を早めたり、病気や虫から植物を守る効果があることがわかり、肥料や農薬に代わるものとして期待されています。研究者や企業も、より効果的なエンドファイトを求め、探索に乗り出しました。青森県弘前市でリンゴ園を営む木村秋則さんは、10年以上の試行錯誤を経て、農薬や肥料を使わないリンゴ園の栽培に成功しましたが、秘訣は、リンゴ園に自然の森と同じような土を再現したことと語ります。
茨城大学農学部の成澤丈彦准教授が屋久島の土のエンドファイトを培地としてトマトに使用したところ、他のトマトより6cm大きく伸びましたが、エンドファイトが病原菌の侵入を防ぐため、連作障害もなく順調に育ちました。
ニュージーランドでは、国を挙げてエンドファイトの普及に乗り出しています。主要な牧草の8割にエンドファイトが使われ、害虫の被害を大幅に軽減、肉の生産量が3割増加するなど大きな効果をあげています。
留意すべきは、「NHKクローズアップ現代【エンドファイト微生物農業】詳細情報」の末尾にあるコメント:
今回のNHKクローズアップ現代では、エンドファイトを使った次世代農業の可能性に迫りましたが、出演した百町満朗岐阜大学教授は、化学農薬や化学肥料を使用しない環境保全型農業が推奨されているが、使用する場合、
エンドファイトは特定の微生物を高濃度で使用することになるので、消費者に安全性をきちんと伝える義務があるとコメントしていました。
エンドファイト毒素(中毒)なる用語もあるくらいなのである!
しかも、エンドファイト中毒への注意を喚起するサイトの多いこと!
「動物生化学研究室 エンドファイト感染草摂取による中毒症に関する研究」など参照のこと。
← リン・マーギュリス(マーグリス)/ドリオン セーガン 著の『性の起源―遺伝子と共生ゲームの30億年』(長野 敬/長野 久美子/原 しげ子 訳 青土社)
ここまで書いてきて、「内生菌(エンドファイト)」は、「共生菌」の一種だという点で、大きくは、リン・マーギュリス
というアメリカの生物学者の真核生物の細胞内共生説のことを思い出した。
こちらは、ミトコンドリアの謎にも絡む、細胞の成り立ちの根幹に関わる話。
もう、十数年の昔に読んだ、リン・マーグリス/ドリオン・セーガン 著の『性の起源―遺伝子と共生ゲームの30億年』(長野 敬/長野 久美子/原 しげ子 訳 青土社)なる書が関連して面白い本。
つい先日、蔵に積まれていたダンボール箱を引っ張り出し、中身を我が寝室の書棚に並べたのだが、その中の一冊がこれ。
並べた途端、関連する話題がNHKテレビで放映されるなんて、ドキドキ。
再読するしかないか?
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