私が<それ>になる夜
宇宙の永遠の沈黙。
それはつまりは、神の慈愛に満ちた無関心の裏返しなのである。
神の目からは、これもそれも彼も、この身体を構成する数十兆の細胞群も、あるいはバッサリと断ち切られた髪も爪も、吹き飛ばされたフケや搾り出された脂も、排泄され流された汚泥の中の死にきれない大腸菌たちも、卵子に辿り着けなかった精子も、精子を待ちきれずに無為に流された卵子も、すべてが熱い、あるいは冷たい眼差しの先に雑然とあるに違いない。
<それ>である彼は、塵や埃と同然の存在。
それは卑下すべきことなのか。
そうではないのだろう。
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