ディラン・トマスの世界へ
ツイッターで、幾つか呟いた中に、以下のように書いたツイートがある:
今日からディラン・トマスの書簡集を読み始める。しょっぱなの書簡からして、圧倒された。こんな手紙を18歳の人間が書く? 辛らつで率直。詩や小説表現行為への愛情があるからこそなのだろうが。楽しみな読書になる!
← 裏庭の竹垣。バラなどが顔を覘かせている。真ん中付近には、正体不明の植物も。それにしても、竹垣の朽ちようときたら!
読み始めたのは、『ディラン・トマス書簡集(The Collected Letters(Thomas,Dylan;Ferris,Paul))』(徳永 暢三 太田 直也【訳】 東洋書林)である。
「ボブ・ディランやジム・モリソンなどロック界の詩人たちをも夢中にさせ」、実際、ボブ・ディランの「ディラン」は、ディラン・トマスから採ったと(も)言われている。
真偽はともかく、影響と刺激を与えたのは事実なのだろう。
小生は自分に欠けているものは多々あって、むしろ、あるものを数え上げたほうが早いくらい……と書こうとして、何も思い浮かばなかった(汗)……だが、欠けている最たるものの一つは、詩的感性だと自覚している。
(要は、いろんな意味で鈍感なのである。)
だから、ディラン・トマスにしても、敬して近寄らずの姿勢をとってきた。実際、彼の全詩集を書架で何度となく目にしながらも、いや、手にしながらも、じっくり付き合うのは避けてきた。
読んで落胆したら(あくまで自分への感性の欠如への落胆だが)、もう、決定的となる。
読まないでおけば、ディラン・トマスの世界を楽しめないのも、当然のことと自分を慰められるわけである(自分で書いていて情けない)!
今後、ディラン・トマスの世界に浸るに際し、まあ、個人的なメモ書きだけしておきたい。
「ディラン・マーレイス・トマス(Dylan Marlais Thomas, 1914年10月27日 - 1953年11月9日)は、ウェールズの詩人および作家」。
「ディラン・トマスは海沿いの町であるスウォンジーで生まれ」、「彼の父親は同校で英文学を教えた」「男子校のスウォンジー・グラマー・スクール」の学校誌で「初めての作品を発表した」。
→ 「ディラン・トマスの生家」 (画像は、「ディラン・トマス - Wikipedia」より)
但し、「彼は一年半の通学後、リポーターになるため16歳で学校を去った」という。
「トマスの幼年期の大半はスウォンジーで費やされ、夏になると彼はカマーゼンにある母親の実家の農場で過ごした。田舎での生活とスウォンジーの町での生活の対比は、彼の多くの短編やラジオ・エッセイ、代表作である「ファーン・ヒル」の中から窺える」とか。
ディラン・トマスファンなら一度はスウォンジーの町と夏を過ごした「カマーゼンにある母親の実家の農場」とを訪れ、対比しつつ、ディランの世界を味わい直したく思うに違いない。
「最初の詩集『18 Poems』は1934年11月に出版され、彼は最も刺激的な若い英語詩人の一人となった」というが、彼の早熟ぶりには驚かされる。
小生は、上掲の書簡集のほんの冒頭の数通を読んだだけなのだが(18歳頃のもの)、その頃、編集者の一員だったこともあり、内容的には投稿された作品への批評なのだが、実に率直にして苛烈。
だが、厳しいが愛情溢れる文面で、詩とか小説に限らず創作への情熱が真率なものであるがゆえに、当たり障りのない指摘などしないという姿勢となって現れているのだろう。
驚くのはその大人びていること。
書簡の日付が記されていないと、既に一端(いっぱし)の大人になっていると思っても仕方ないだろう。
まあ、まだ読み始めたばかりで本書の評価を、ましてディラン・トマスワールドを云々するのは、ちと早すぎるのだが。
← 『ディラン・トマス書簡集(The Collected Letters(Thomas,Dylan;Ferris,Paul))』(ディラン・トマス/著 ポール・フェリス/編 徳永 暢三 太田 直也【訳】 東洋書林) 「家族や恋人に宛てた書簡をはじめ、詩人T・S・エリオットやイーディス・シットウェル、作家のロレンス・ダレル、作曲家ストラヴィンスキーらに宛てた書簡など九六通を収めた」という。
なので、ここではいっそのこと思い切って先回りして(!)、「英語で執筆を行う最も偉大な20世紀の詩人のうちの一人として見なされる」彼の晩年の様子をメモっておくことにしよう:
彼はアメリカ合衆国でのプロモーション旅行中の1953年11月4日、ニューヨークのホワイト・ホース・タバーンで過度の飲酒の後に倒れ、5日後の11月9日、セント・ヴィンセント病院で死去する。39歳であった。その死因は肺炎と、脳および脂肪肝に対する圧力が要因であったと記録される。彼は死の直前「僕は18杯のストレート・ウィスキーを飲んだ。これは記録だと思う。」と言い、リズ・ライテルに対し「愛している。でも僕は孤独だ。」と語った。(「ディラン・トマス - Wikipedia」より)
(10/06/10 作)
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