せめて心は遊ばせます
もう一人の家人も、検査入院のはずが長引いている。
思ったより病状が重かったのだ。
歩くことは難しく、車椅子を使っての移動ができるよう、リハビリが続けられていく。
但し、車椅子を使うといっても、自分で移動できるだけの体力が戻るかどうか。
誰かが付き添って、車椅子を押すなど、世話が必要だろう。
それでも、外出する状態にまで復調できるならいいのだが、さて。
かく言う自分にしても、なんだか、心許ない状態である。
この十日あまりの中で二度も、悪寒。熱を出して、吐き気がして。
一昨日は、風呂上りに湯当たりして、立ち眩みし、数十分、蹲る羽目に。
そんなことは、若い頃以来、なかったのだが。
貧血気味のような気もする。
鉄分不足?
栄養が偏っているのは間違いない。
自分のためだと食事を調理するのも、面倒。
つい、カップ麺だけを食べて誤魔化すようになる。
そうはいっても、世話される立場になるわけにもいかず、とにかく気力で頑張るだけ。
家人の世話のために帰郷したはずなのに、何の役にも立てない自分に無力感を覚えるのみ。
実務に無能な自分を痛感させられる。
実務、生活の実際こそが人間にとって大切なものの筈なのだが、あまりに長く、一人暮らしを続けたせいか、浮世離れした自分を持て余すばかりである。
日に数度、時間が取れたときに、椅子などに腰を埋め、仮眠を取る。
睡眠障害を抱える身なので、どうせ、ベッドに入っても熟睡などありえない。
なので、つい、ベッドに入るのが億劫になり、椅子に腰掛けたまま、うつらうつらするというわけである。
脇には常に本。
どれほども読めるわけではないが、傍に本があると、何となく安心する?
数学や宇宙論や、文学や古代史などの本を読んでも、何の役にも立たないのだが、読んでいる間、ほんのひと時でも違う世界に心を遊ばせることができれば、それでいいのだろう。
(10/06/29 作・編)
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