意識の爆発的集中の恍惚
ガロアもだが、アーベルも夭逝の天才数学者である。しかも、どちらも早世を強く自覚していた。ガロアは時間がないと悲鳴にも似た叫びと共に(群論の)論文を書き上げた。
死を目前にしての高度な、この上ない集中力。
数学者でなくとも、若くして死を宿命付けられた人の、どんな宝石にも敵わぬ純度と透明感と、焔に炙られ切迫する真紅の業苦。
極めてささやかな形でなら、小生にもなくはない。
→ 内庭のツツジに今も咲いている花一輪。この花びらは我が庭で真っ先に一つだけ咲き、ずっと咲き続け、今も孤高を守り通している。何故、この一輪だけ咲いているのだろう。不思議だ。
中学のとき、幾何学の楽しみ、特に補助線を直感する、脳髄の底の底まで痺れるような、脳味噌がただそれだけのために特化し燃え上がっているような感覚。
悲しいかなそんな感覚の悦びを味わえる季節は、或る日突然到来し、あっという間もなく過ぎ去ってしまった。
(小生の場合、その代わり、形而上感覚、物質的恍惚感を追うようになるのだが。)
数学(算数)でなくとも、詩想や楽想、メロディの形、流れ、ある種の絶対感、絶望感にも匹敵する垂直な感覚、あるいは全てが溶け去り和み合っている世界に今、在るという確信……などなどを味わう恍惚の時は、誰にでも瞬間だけならあるのではなかろうか。
大概は、感傷の海の波に紛らせて溶解させ、苦しいほどに加速し渦を巻く意識の爆発を宥め賺し鎮火させて、やがては平穏無事な日常にしがみ付いていく。
しかし、若くしての死の定めを運命付けられ、あるいは自覚せしめられたなら、そうはいかない。一旦目にしてしまったものは、身を燃え尽きさせても、最後の最後まで見尽くしてしまわずには居られないのである。
[以下、ツイッター発言(投稿)集である。昨日の夜から今日の夜までの分。上のほうほど、新しい投稿。リンクや()内のコメントは、ブログにアップするに際し、付したもの。]
← 今朝未明の仕事の最中、ちょっと休憩。明け初めの空の水田に映る光景を撮る。
ガロアは有名だけど、アーベルはそれほどでもないのか。
(「ラディゲにはのらくろ生きる我遠し」参照。)
「地下鉄でツイッター見てると、目的地までアッッッ!というまに着いちゃいます~(^-^)楽しい♪」ってツイートがあった。そうか、だから、着いた!って言うのか、なんてコメントしそうになった。
今朝未明は、薄曇りの空のもとで仕事。満月を過ぎて数日、弓張月にはまだ数日という月影が雲を透かして見え隠れしていた。季節はずれの寒さは薄らいだが、今の時期らしい気温には恵まれていない。今年の気象の幾分の異常さは、政変などの風雲急を予感させてしまう。
→ 昨日、見かけた白猫と、この白黒斑(まだら)の猫が我が庭をも縄張りにしている。彼らは古株で、その縄張りは実に広い! このふてぶてしいまでの風格!
BSで「夕陽のガンマン」「ダーティ・ハリー2・3・4」「マディソン郡の橋」などの映画が立て続けに。これらの共通項は…、そう、クリント・イーストウッド! 彼の誕生日が5月31日なので、その日にちなんでの特集だったのだろう。俳優は演技力もだけど、やはり風格・個性・存在感だなー。 テレビ西部劇『ローハイド』が懐かしい。『ボナンザ』とか。再放送しないかな…。
(あとで思い出したが、『ボナンザ』はBSで再放送されていた……しかも、小生はそれを(一篇だけだけど)見たんだった!)
「レギンスって、暗色系のスパッツ…というよりモモヒキって感じがする。あ、モモヒキでいいのか」ってツイートから、「サルマタ」を連想した人が。小生、サルマタと聞いて、「サルマタケ」を思い出した! 「男おいどん」。青春だなー。実際は、もっと悲惨だったが。
(「甘い匂いの思い出」参照。)
← 夕餉の片付けも終え、自室に戻る前に、ちょっと裏庭に出て暮れゆく空を撮る。七時半を回っているのに、まだ明るい。
バローの『天空のパイ』を読了。数学を哲学するかなり高度な内容の本だった。今日からストゥーブハウグ著の『アーベルとその時代―夭折の天才数学者の生涯』を読み始める。ガロアと並ぶ夭逝した天才数学者アーベルの伝記本。ガロアは、「1811~1832」、アーベルは、「1802~1829」とほぼ同時代。
(10/05/31 作・編)
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