マッチ…アンデルセン…燐中毒 ? !
もう、何年も前になるが、ある雑文の中で、マッチのことについてあれこれ書いている。
「燐寸」とも表記する、箱の外でシュッと擦って火を点ける、木の切れっ端を軸にしている、あの「マッチ」のことである。
いろいろ書いたはいいが、その小文の中で「そもそも何故、マッチという名称なのかが分からない」という疑問を呈したまま、小生、放置したままだった。
→ 「燃えるマッチ」 (画像は、「マッチ - Wikipedia」より)
当時、マッチ箱のやすりとマッチ棒とを擦り合わせる…マッチさせる…ことからマッチと呼称されるようになったのか、などと勘ぐってみたが、さすがにさっさと却下したものである。
それが、今日、ひょんなことから「マッチ」という名称の語源が分かった。
上掲の小文を書いた当時も、調べれば分かったはずなのかもしれず、調べ切れなかっただけなのかもしれない。
マッチについては、いろいろ教えてくれるちゃんとしたサイトがあるのだが、せっかくなので、「マッチ」の語源と共に、数年前に書いた雑文を本ブログに載せておく。
「マッチ」の語源を教えてくれたのは、以下の頁である:
「神田雑学大学 2006-03-24 講座No304 マッチとマッチラベル」
その中に「3. マッチの呼び名の語源はラテン語から」という項があり、以下のように説明されている:
マッチは日本の発明でなく1827年イギリスの薬剤師のジョン・ウォーカーという人が摩擦マッチを発明したことに始まります。(中略)新しく発明されたマッチの語源MYXA、発音はミクサと発音するのかな、「ロウソクの芯」を意味するラテン語からきているようです。それが英語ではMATCHという言葉になりました。日本語では最初は「摺附木」といいました。附け木というのは日本に昔からあって、火種から火を取り出すときに使う先端に硫黄を塗ってある木片です。それをこすって火をつけるという摩擦の意味を加えて摺附木という名前になっています。それが外来語のマッチとなり漢字では「燐寸」と書くようになります。
マッチやマッチのラベルに興味のある方もそうでない方も、この頁「マッチとマッチラベル」は、とても面白いので、一読を薦める。
「マッチ…アンデルセン…燐中毒 ? !]
(前略)
ところで、その日、やはり信号待ちでボンヤリ路上の看板などを眺めていたら、「マッチ棒」という言葉に目が行った。そうだ、前にも、どうして「マッチ棒」なのか不思議だったのだ。
マッチ…。漢字では当て字で、燐寸と書く。昔は、煙草に火を点けるにしても、台所で火(炭)を熾すにしてもマッチを使ったものだった。喫茶店で貰う店名の入ったマッチを集めたりして。
マッチを擦ると、シュッという小さな音を立てて小さな焔が生まれる。そのふわっと焔が発生する感じがたまらなく切なく、素敵だ。
さて、「広辞苑」で「マッチ」を調べても、「摩擦によって発火させ火を得る用具」などと、成分などの説明がされているだけで、何故、マッチという名称なのかの説明がない。
事典を引くと、17世紀後半、リン(燐)の発見がされ、簡便な発火法の研究が生まれたとある。但し、マッチの原型は19世紀の初期になってやっと見られたのだとか。
← 「頭薬の燃焼」 (画像は、「マッチ - Wikipedia」より)
マッチは拘る物品として格好のターゲットのはずである。早速、ネットで検索したら、以下のようなサイトをヒットした:
「燐寸博物館」
このサイトには、ちゃんとマッチの歴史も紹介されている。
その冒頭には、「明治維新がおこる20年前の1848年、アンデルセンの童話「マッチ売りの少女」が発刊された」とある。懐かしい童話だ。小生もガキの頃、アンデルセンの童話は読んだものだ。
アンデルセンの童話については、小生らしい(?)思い出がある。
小学校の何年生だったかのクリスマスのプレゼントが何故かアンデルセンの童話で、子供の小生には分厚い豪華本に映った。
どうしてこんな本をプレゼントされたのか、小生はまるで分からず、内心はキョトンであり、また、ガッカリでもあった。
小生は本の好きな子供ではなかった(少なくとも自分ではそう思っていた)。漫画の本は読み漁っていたけれど。貰った本には、挿絵がたっぷりあり、行間も広いし、活字も大きいとはいえ、漫画の本でない本は小生には宝の持ち腐れだったはずだ。
それでも、健気にも無理に喜んでみせ、また、実際に一応は読んだという記憶がある。面白かったという印象は、まるで残っていない。その本は、今も屋根裏部屋の書棚にある。
しかし、そもそも何故、マッチという名称なのかが分からない。
マッチに使われる燐のことをちょっと思い出した。余談・雑談ついでなので、書いておく。小学校の何年の時だったか覚えていないが、友達を介して、燐を入手した。マッチの材料ともなる燐である。興味本位で燐を燃やすと、呆気ないくらいに火がつく。何だか怪しい色の焔が上がる。見惚れていると、そのうちに頭が痛くなった。燐の中毒にでもなったのだったろうか。
→ 6月3日、未明のバイトからの帰路は朝日を浴びつつ。
安全マッチに使われる燐は、無害な赤リンや硫化リンだし、さらに安全に気を配って、製品と成っている。その前は、黄リンが使われていたとか。もしかしたら、小生が入手し悪戯していた燐は、簡単に燃えたし、臭かったし、黄リンなのかもしれない。
黄リンは自然発火するほどに呆気なく燃える物質なのだとか。
(以下、略)
(「徒然なるままに」(04/01/08 作)より抜粋)
(10/06/04 作・編)
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コメント
自然発火というと、ハリウッド映画などでそこいらに擦りつけて火をつける光景を真似してみてもつかなかった思い出があります。しかしその当時は、自然発火の火事も起こっていたような記憶もあります。
今は簡便ライターが問題になっているようで、これも時代の移り変わりでしょうか。
投稿: pfaelzerwein | 2010/06/05 02:19
pfaelzerwein さん
マッチに絡む思い出って、ある年代以上の男なら、大抵一つや二つ、ありますね。
小生にしても、ガキの頃、稲藁の積んである土間の隅っこで灯油を缶に詰めて持ち込んで、マッチで火をつけようとしたのを覚えています。
風もあって、何度擦っても、マッチの火が呆気なく消えるし、消えなくても、灯油にはなかなか点火しなかったのでした。
新聞紙も用意してあったんだけど。
マッチをシュッと擦る感覚って、何かいい。
スパイ大作戦のオープニングの場面も印象的。
今はライターですら安全第一(当然なのでしょうが)。
バブル全盛の余韻の残っている頃、営業中、お客さんがまだ一度か二度しか使っていないような使い捨てライターをどんどん<忘れる>のが印象的でした。
あの頃は、とにかく消費する、捨てる時代。
お客さんも、ライターをわざと捨てていたようで、小さな箱に一杯、ライターが溜まったものです。
投稿: やいっち | 2010/06/05 21:23