『悲しみのダルフール』の一読を薦める
ハリマ・バシール/ダミアン・ルイス著『悲しみのダルフール』を読了した。素晴らしい本だった。期待を遥かに上回る。
副題に「大量虐殺(ジェノサイド)の惨禍を生き延びた女性医師の記録」とあるが、本書の内容は副題で想像されるよりずっと豊か。
とにかく語り手の女性(ハリマ)の木目細かで愛情溢れる観察力に基づく記憶力で語られ、情景が鮮やかに浮かんでくる。
ハリマの語り口が実にいい。
← ハリマ・バシール/ダミアン・ルイス著『悲しみのダルフール』(真喜志順子訳 PHP研究所)
ジャーナリストやルポライターが自ら危険を覚悟で紛争地域へ飛び込んで、熱気溢れる報告をする…そういった類いの本もいいが、やはり当事者が語る、しかも、自らが犠牲者の一人である人の文章の持つ迫力には敵わない。
人が人に対し悪魔になれる、しかも、虐殺する連中は自らの行為を正当化して憚らない。
民族や宗教の違い、そこへ介入する欧米や、特にダルフール紛争の場合は中国の、資源(石油)獲得のためには手段を選ばない政治(大国・先進国)の酷薄さ。
本書の前半は、主人公が「砂漠の中の伝統的なザガワ族の村に生まれ、家族の愛に包まれながら豊かでいきいきとした幼少期を過ご」し、「周囲の偏見や差別にも負けず、見事に首都ハルツームの大学に進学し、医師の資格を取得する。しかし、そんな幸福な日々も長くは続かなかった」といった、家族愛に満ちた、眩い話。
後半は、「アラブ系民兵組織ジャンジャウィードが各地でアフリカ系住民の村を襲撃し、国内は大混乱に陥」り、「その惨状は、とても正視に耐えるものではなかった。村人は手当たり次第に暴行、虐殺され、無垢な少女たちまでもがレイプされ」、「ハリマはそのなかで一人の医師として必死の抵抗運動を続けるが、ついに魔の手は彼女の身の上にまで及ぶ……」といった暗黒の(しかし間違いなくこの世での)話。
(「悲しみのダルフール 書籍 PHP研究所」の解説で概要が示されている。)
[以下、例によってツイッター発言(投稿)集である。昨日の夜から今日の午後の分。上のほうほど、新しい投稿。リンクや()内のコメントは、ブログにアップするに際し、付したもの。]
→ 今朝未明、四時半近く、ある学校の校庭脇にて。朝焼けの予感。
びっくり。そういうのもあるんですね!って、今、思い出した!
(「ユリシーズに出てくるのですが、「tattarrattat 」が世界一長い回文の単語のようです。意味は「トントン」。ドアをノックする擬音語」というコメントに対し。)
昨夕、テレビで見たけど、小型(家庭用)の風力発電が、発電効率がよくってビックリ。いっそのこと、風力の羽を車のフロントに組み込んだらどうか、なんて思ったっけ。
(「小型風力発電のゼファー株式会社」参照。家庭や山小屋、船舶、工場などなど用途は多彩。太陽光パネルに比べ設置する場所が狭くても対応できるし、強風にも耐えられ、発電効率が高いとか。)
教えていただき、ありがとうございます。有名…なのですか。冷や汗!
(「回文造語(一種のアナグラム)のことですね。「NABRUD」(ナブラッド)←→「DURBAN」(ダーバン)など割と有名」というコメントへのレス。)
「桃太郎のモデルである吉備津彦命。その家来に犬養健命・楽々森彦命・留玉臣命の三人がいた。それぞれが犬飼部・猿飼部・鳥飼部(日本では鳥=雉・国鳥)という氏族であったから」ってのが納得できました。
← 例によって明けつつある東の空を横目に、家路を急ぐ。朝焼けは、予感だけで終わって今日は曇天となってしまった。
ハリマ・バシール/ダミアン・ルイス著『悲しみのダルフール』を読み続けている。昨日は、主人公が割礼を受けた悲惨な体験談。今日は、ダルフール紛争の真っ只中へ。村はアラブ人に襲撃され家々は焼き払われ、女の子だけの学校はアラブ人らに襲われ集団輪姦の憂き目。彼女はどうやって立ち直った?
(10/05/10 作・編)
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