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2010/04/03

本は買って読みたいもの

 久しぶりに、実に久しぶりに図書館から借り出した本ではなく、買った本を読んでいる。
 自前の本を読む!
 何年か前までは、それが当たり前だったのだが、不況の直撃を喰らい、それまでは月に十冊前後、年に百冊以上は買っていたのが、数年前からは年に数冊となり、一冊も買わない年もあったり。

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→ 今日(2日)の午後、雨上がりの外をふと眺めと、近所の家の庭に咲く「白木蓮 (はくもくれん)」(?)の枝に鳥たちが。…でも、何か振る舞いが変。

 別に高価な本を買うわけじゃないし、けちな性分で、積読などはせず、買った本は、ほぼ全て読了する。
 といっても、読む速度は遅いほうなので、読む本は、つまり、買う本の数は、百冊を越える程度。
 図書館を利用することで、図書費を節約している?
 そんな感覚も自覚もない。
 節約するために買わないのではなく、買えないから買わないわけで、買えたら買う!


 図書館の本を利用するメリットは確かにある。

 書店で本を物色していて、欲しいと思った本は、断固、買う。
 当然ながらつまらない、読むに値しない、あるいは値するとしても興味の対象外だと買わない。

 問題は、大概のことに付いていえそうだが、物事にはグレーゾーンがあることだ。
 買おうかな、でも、面白そうだけど、いざ腰を据えて読んでみてつまらなかったら、ガッカリだし、使った本代が勿体無いな。
 面白かったら、多少、本代が高くても、たとえ一度しか読まなくて、書架の一隅を埋める一冊に終わるとしても、決して惜しくはない。

 だが、書店で物色していて、面白そうと直感しても、椅子に腰を埋め、じっくり本に向かうと、頁を捲る手が重くなり、そのうち、その本を目にするのも億劫に感じられたりする。
 小説など文学関係もだが、小生など、数学や物理学が苦手なのにも関わらず(数式を見ると頭が痛くなる!)、下手の横好きというわけじゃないが、そうした自然科学関係の本に手を出してしまう。
 素粒子論や宇宙論関係、数学のトピックを扱った本などは、分からなくても最新の話題に食いついていきたいのだ。
 頭を捻りながらも何とか読破できるときもあるが、時には、まるで歯が立たない内容の本もあったりする。
 文学だって、趣味というか、テイストが肌に合わない時は、どうしようもない。

 本を買うときは、間違いなく面白そうな本は買うが、グレーゾーンの本は、躊躇う。
 躊躇った挙句、えいやっと買って後悔することもあれば、買わないで帰宅して、寝床に入ってから、ああ、やっぱりあの本は入手しておけば良かったと臍を咬む、なんてことは間々あること。

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← 「白木蓮 (はくもくれん)」(?)の白い花の陰に鳥たちが姿を、顔を隠している…。我輩のカメラに気付いて、恥ずかしがってる? それとも…。

 その点、図書館から借り出すとなると、グレーゾーンの本だって何だって、ちょっと気を惹く題名やジャンルや話題の本だったら、目にしたら即、借りる。

 94年の春四月から失業して、やむなく図書館を利用する羽目になった。
 失業の一年の間に、二百冊以上の本を借り、その大半を読破した。
 その際、文学に限っても、従来は中々手が出なかった、あるいは大作過ぎてまとまった時間がないと読破の可能性が乏しいと思えていた古典などや、気になってはいたが、いざ読むとなると躊躇っていた有名作家の本を片っ端から読破していった。
 失業時代に読書に限っても視野が随分と広がった。
 日本の古典にもかなり触れることが出来た。
 
 その失業時代に初めて触れた作家・書き手、あるいはジャンルは少なからずある。
 買って読むとなると、まず、手を出さなかったような作家に触れて、失業さまさま、図書館さまさまと、つくづく感じたものである。
 しかも! 図書館にはAVコーナーもあり、音楽CDも、これまた片っ端から借りまくり、聴きまくった。
 ジャズ、クラシック、演歌、歌謡曲、ポップス、民族音楽……。
 そのクラシックだって、聴いたことのない作曲家・演奏家のCDを次々に借りていったので、新たにお気に入りとなったアーティストが随分と増えたものである。
 ハープの演奏が好きになったし。

 なんたって、タダなのだ。
 
 しかし、それでも、小生は、本は買って読みたいのである。
 図書館から年に百冊の本を借りたとしても、上記したように、節約しているという感覚は全くないのだ。
 節約は、その気になれば買えるのだが、敢えて買わず、その費用を貯蓄に回す、借金返済に充てる、他のモノの購入に回すということなのだろう。

 小生は買いたいのだが、全く手が出ないので買わない…じゃなく、買えないのだ。
(音楽CDも、かなり借りているのだが、趣味性が強く、買わなくて良かったと感じたことがしばしば。)
 
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← フランク・ウィルチェック著『物質のすべては光―現代物理学が明かす、力と質量の起源』(吉田 三知世【訳】 早川書房 (2009/12/25 出版)) 買って読んだ本というのは、これ。あと、レイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』(村上春樹訳)も控えている! 「ノーベル賞物理学者が大胆かつ軽やかに綴る素粒子物理学によるエキゾチックな世界像」というが、それなりに素粒子物理学関連の本(啓蒙書)を読んできた小生だが、かなり斬新な発想があって興味深かった。題名の「物質のすべては光」が小生のハートを射た。「新しいかたちの物質が、実験室で現れる前に方程式のなかに登場するという事例」があるって、そのことだけでも理論物理の凄みを感じさせる。拙稿「真冬の月と物質的恍惚と」「物質的恍惚」など参照。

 買って読むことのメリットは、いろいろあろうが、返却期限のことを気にしなくて済むこと。
 根が真面目というか、気が小さいので、頭の中に常に返却期限がチラついている。
 よせばいいのに、二週間に6冊という限度が決まっていると、限度いっぱいに借りてしまう。
 それじゃ、砂時計を横目に読んでいるようなもので、味読などできるはずもない。

 段々、自制していって、今は二週間に4冊、つまり、一週間に2冊のペースを目途にしている。
 これなら無理はない。
 しかも、半分は大部の本あるいは難解な本でも、半分は手軽な、息抜き風の本を選ぶようにしている。
 御陰で返却期限のことはそれほど気にしなくて済むようになった。

 それでも、脳裏に期限がチラついているのだ!
 頁数を計算し、日に何頁がノルマ、なんてやっちゃう性分なのだから、まあ、仕方ないと諦めているのだが。
 
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→ 「白木蓮 (はくもくれん)」(?)の白い花びらの中に顔を突っこんで、匂いを嗅いでいる? 花の蜜を吸っている? 花びらの中に虫でも潜んでいるのを啄ばんでいるのか?

 …で、久しぶりに購入した本を読んで、気がついたこと。
 あまりに長年、図書館の本を借りて読むという習慣が続いたもので、所蔵している本なのに、期限を気にし、日に何頁とノルマを思わず知らず計算しているのだった。
 習い性ってことか。
 貧乏性が堂に入ったってことか。
 
 ま、いっか。
 購入した本を読むという機会も、今だけなのだし…。

 …非常に寂しい!


関連……拙稿:
読書という営みの果てに
バタイユ著『宗教の理論』


                                   (10/04/02 作)

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コメント

弥一さんおはようございます。チンゲンサイさんが復帰されましたね!忘れたころにやってくる、(笑)さて僕は最近図書館は使いません。なにより本に線は引けないし、飲み物でも零したら困りますから。といって本屋であれこれ買えるわけでもなく雑誌中心ですね。弥一さんは古本屋は?新書一冊百円だったりしますね。古本屋のご主人は愛想が悪いと評判ですが、お客さんが本をゆっくり眺めるのを邪魔しないだけで、質問すれば丁寧に答えてくれますね。最後のバタイユ、岡本太郎を思い出しましたよ

投稿: oki | 2010/04/06 07:30

oki さん

チンゲンサイさん、復活ですか。
神出鬼没の方ですね。
そのうち、来てくれるかな…。

古本屋で本を買う。
昔ながらの古書店はあまりないから、ブックオフのような店で買われるのでしょうか。
掘り出し物がありそうだけど、目当ての本(CD)ってあまり見つからないような。

まあ、小生の場合、本に線を引くって習慣(性癖)は、学生時代までのこと。
貧乏性が昂じて、勿体無くて本に線など引けなくなってしまった! 惨め!

それほどの数の本を読むわけじゃないので、買って読みたいってのが切なる願いです。

雑誌も読みたいなー。
特に考古学とかオートバイの雑誌など。
H系の雑誌もこの数年、入手してない。
教養が痩せ細っている!


バタイユ(についての拙稿)で岡本太郎を?
不思議な連想?

投稿: やいっち | 2010/04/07 13:52

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