空を飛ぶ夢を叶えるには
アメリカの「オバマ米大統領は15日、(中略)、2030年代半ばまでに宇宙飛行士を火星の軌道に送り込む目標を掲げた新宇宙政策を公表した。人類初となる火星への着陸も目指すという」!
久々の痛快な夢、だろうか。
さすがに故ケネディ大統領が人類を月に、といった往年の時代のようには手放しで快哉を叫ぶというわけにはいかないだろう。
← 軒先のスズメたち。番(つがい)なの? いつの日か、君たちのように空を飛べるだろうか…。
ガキだった小生は、人類が月に立つなんてことが可能だとは当時、信じられなかった。
実を言うと、未だに信じられない。
夜空に浮かぶ月を眺めあげるたび、人類があの月に足跡を残したなんて夢のようだ、本当なのかなーなんて思ってしまう始末。
まして、いつか、月より遥かに遠い星の世界へ人類が到達することがあるなんて、いやその前に、そんなことを企てるなんてありえないことのように思えてならない。
まあ、小生など、想像力も意欲も凡人の極みだから、ただただ空の高みを眺めあげて呆けているのが関の山なのだろう。
空を飛ぶという夢。
空を飛びたいというのは、人間の根源的な夢の一つだという。
鳥のように空を自由に舞う。
尤も、高いところは苦手だという人もいるのだろうが、それはまた別に話である。
まして、空を飛ぶという夢をフロイトやユングらの心理学などで俗っぽく理解したくない。
もっともっと根源的な衝動に関わっている気がする。
生命の、というより、物質の根源的な衝動なのに違いない。
凧揚げが爽快で楽しいのは、人が飛ぶという夢を擬似的に体験させてくれるという面があるからというのも、理由の一つではなかろうか。
風(空気)の力だけで空を舞っている、滑空している、空を泳いでいる…。
空を飛びたいのだ、空を泳ぎたいのだ。
人の体を織り成す無数の細胞たちの、否、原子たち一つ一つが宇宙の鼓動を波動として感受しているのに違いないのだ。
→ 「ハンググライダー」 (画像は、「ハンググライダー - Wikipedia」より)
空を飛ぶという夢は科学や技術の力に頼ることで、叶ったと言えるのだろうか。
そこは考え方次第なのだろう。
飛行機や飛行船や、ヘリコプター、プロペラ機からジェット機まで様々な空飛ぶ乗物が開発されてきた。
雲の上から下界を睥睨する快感。
小生にしても、念願のヘリコプターは乗れていないが、旅客機には国内線・国際線と何度か乗ったことがある。
しかし、人が空を飛ぶという夢を語るとき、胸に切望するとき、それは恐らくは機械の力を借りてという形を想定してはいないのではないのではないか。
それはあくまで代用に留まる。
何処かしら、違うという思いが蟠(わだかま)っている。
機械を偏見視するわけじゃないが、いわゆる飛行機の類いは、鳥のように蝶のように舞い飛ぶとはどうにも思えないのである。
せめて、ダ・ヴィンチのように、あるいは気球のように、それとも背中に羽を生やすか装着して、音というと、ゴーかサーか分からないが、せいぜい風の唸る音だけであって欲しいのである。
鳥は、滑空する際には、相当に煩い音を聞いているのだろうか。
地上の生き物の鳴き声なんて、上空から聞こえるのだろうか。
頼りにするのは匂いか、やはり生き物の動きなのだろうか。
空を飛ぶ。
いずれにしろ、地上を鳥が覚束ない足取りで歩いていたのが、何かの拍子にサッと舞い上がり飛び立ち、ホバリングしたり上空高く飛び去ってしまう、あの優雅さというか見事な飛びっぷりこそが望まれるのだ。
その際、何かを背負うとか、何かに引っ張りあげてもらうなんて余計な真似はナシである。
グライダーも悪くはない。
が、少なくとも最初は何らかの機械的動力が必要だろう。引っ張りあげてもらって、一定の高さで気流に乗れて始めてグライダーたりうる。
← 「ダ・ヴィンチのヘリコプター図案」 (画像は、「ヘリコプター - Wikipedia」より)
グライダーというと、ハンググライダーのように、丘の高みに登り、風の動きを読んで、斜面に沿って懸命に駆け下りて、勢いに乗り、風に乗り、空を飛んでいくってのも、擬似的には素晴らしいとは思う。
飛行機で空に飛び、パラシュートで舞い降りるってのも、怖くはあるが、空を舞う(実際には舞い落ちているのだろうが)浮遊する感覚を味わえるのだろう。
小生は、怖くて体験できそうにないが。
大切なのは、空を飛ぶ際、両手両足が自由だということ。
手が、足が何かの操作で塞がっていたり不自由だったりするのでは、空を飛ぶ夢は興醒めになってしまうのだ。
昔、何かのSF作品で、反重力装置を使って、空を飛ぶというアイデアがあった。
その装置は、とても小さくて、腰のベルトにコンパクトな器具を装着しておいて、あとは適宜に操作して自在に中空を舞うという次第。
例えば、エアバックじゃないけれど、背中(か何処か)に小さく織り込まれたバッグを背負っておいて、携帯電話にそのバッグを操作する機能が付いている。
あるいは帽子を被っていて、その帽子に人間の意志を機械に伝える装置を組み込んでおく。
でその人が飛びたいと思ったら、そのバッグにヘリウムや水素より軽い気体が注入され、羽(か風船)のようになり、物音も立てずに舞い上がっていく…。
多分、夢の実現を阻むのは技術の問題に過ぎず、いつか誰かが小生の貧しい想像力では思いつかないようなアイデアを思いつき、夢が実現されるに違いない。
人が機械音に悩まされることなく(間違っても、耳に消音装置や耳当てをしたりせず)、空を飛んで、耳に聞こえるのは風の鳴る音、体に感じるのは、必要以上に早くないゆえの心地いい風圧だけ。
→ 「気球」 (画像は、「気球 - Wikipedia」より) 「ルーク・ハワード(後篇:雲と風景画と)」参照。
鳥のように舞う夢は、やっと叶う…。
そんな時、人は何を感じ考えるのだろうか。
夢見心地になるだけなのだろうか。
…となると、空を飛ぶ夢は、夢で見るのが手っ取り早いってことになる ? !
(10/04/17 作)
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